
韓国発のガールズグループ aespa をめぐり、過去のSNS投稿が再燃し、「第76回NHK紅白歌合戦」への出場を問題視する声が広がっている。問題となっているのは、メンバーが2022年に投稿した、いわゆる“きのこ雲”を想起させるランプの写真だ。
紅白初出場が発表されたことを受け、出場停止を求めるオンライン署名は約14万筆に達したが、NHKは定例会見で「出場予定に変更はない」との方針を示した。賛否が割れるなか、公共放送の判断を巡る議論が続いている。
小さなランプが呼び覚ました記憶
問題とされたのは、2022年にメンバーの一人がファン向けアプリに投稿した写真だった。
「かわいいライトを買ったよ」という短い言葉とともに写っていたのは、いわゆる“きのこ雲”を想起させる形状のランプ。投稿当時は大きな問題とならなかったが、紅白初出場の発表を機に、再び注目を浴びることになった。
原爆の記憶が今なお色濃く残る日本社会において、その造形は決して中立ではなかった。
「意図があったのか」「無知だったのか」。答えの出ない問いが、SNS上で繰り返された。
14万筆の署名、そして拒否されたとされる提出
騒動が拡大するなか、出場停止を求めるオンライン署名が立ち上がった。賛同は急速に広がり、集まった署名は約14万筆に達した。
呼びかけを行った人物は、「署名を提出しようとしたが受け取りを拒否された」とSNS上で明かし、記者会見やデモ行進の検討にまで言及した。
抗議はネット空間にとどまらず、現実の行動へと移行しつつあることを印象づけた。
NHKが下した「変更なし」という判断
こうした反発の声が高まるなか、NHKは定例会見で明確な姿勢を示した。
「原爆を揶揄する意図はなかったと確認している。出場予定に変更はない」
年末の大型番組である NHK紅白歌合戦 において、出演者の選定は極めて慎重に行われる。そのなかで示された“変更なし”という判断は、結果として賛否をさらに二分することになった。
著名人の賛否と、割れる世論
この判断を受け、著名人からも相次いで意見が表明された。
「不愉快だ」「公共放送として配慮が足りない」といった否定的な声がある一方、「言いがかりではないか」「文化的な誤解に過ぎない」と擁護する意見も出た。
SNS上では、
「国民の声を聞く気がないのではないか」
「過剰反応に屈してはいけない」
と、相反する言葉が飛び交う。
論点は、aespaの是非を超え、「公共放送とは何か」「説明責任とは何か」という、より大きな問いへと広がっている。
収束しない波紋、その先に残るもの
本番まで残された時間はわずかだ。
騒動が完全に収束する兆しは、いまだ見えない。
ただ一つ確かなのは、この出来事が、音楽番組の枠を超え、歴史認識、表現の自由、そして公共性という複雑な問題を浮かび上がらせたという事実である。
大みそか、aespaのステージをどんな思いで見つめるのか。
視聴者一人ひとりに、その問いは委ねられている。



