
沖縄本島北部・今帰仁村のテーマパーク「ジャングリア沖縄」が、新たな局面を迎えようとしている。開業から間もなく、「ガラガラ」「期待外れ」といった厳しい評価も聞かれる中、運営会社は大型絶叫アトラクション「やんばるトルネード」を2026年ゴールデンウイーク前後に導入すると発表した。高さ約20メートルで体が逆さまになる48人乗りの新ライドは、失速ムードを一変させる“切り札”となるのか。期待と不安が交錯する現場を追った。
来年GW前後に登場、48人同時搭乗の大型アトラクション
沖縄本島北部、やんばるの森に隣接するテーマパーク「JUNGLIA OKINAWA(ジャングリア沖縄)」が、新たな一手を打つ。運営会社ジャパンエンターテイメントは12月15日、大型絶叫アトラクション「YAMBARU TORNADO(やんばるトルネード)」を、2026年ゴールデンウイーク前後に導入すると発表した。
直径約16メートルの巨大ライドに2人一組で乗り込み、ゆっくりと回転を始めた機体は、やがて傾きながら上昇する。視界が開けた瞬間、足元にはやんばるの森、頭上には空。最高高度約20メートルに達した頂点で、体は完全に逆さまになり、まるで竜巻の中に投げ込まれたかのような浮遊感を味わえるという。
「気持ちよさ」と「絶叫」を両立、整理券不要で混雑対策も
利用基準は身長120センチ以上。一度に最大48人が搭乗可能で、整理券や事前予約を必要としない設計とした。琉球新報によると、パーク内の回遊性を高め、待ち時間を短縮する狙いがあるという。
設置されるのは、大自然とスリルを前面に押し出した「ジャングル・エクストリームズ・エリア」。担当者は「風を感じながら回転し、爽快感と絶叫の両方を楽しめる」と説明する。
「ガラガラ」報道の影で…問われるパークの現在地
ジャングリア沖縄を巡っては、開業から数か月で「客が少ない」「期待外れ」といった厳しい声が広がった。来場者の少なさを指摘するYouTube動画が話題となり、「入場料が高い」「屋内で休める飲食施設が少ない」といった不満が噴出しているようだ。
一方で、沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)の人流データでは、2025年8月の来訪者数は約9万2000人。オフシーズンを考慮すれば、一定の集客があったとの見方もできる。
実際、修学旅行で訪れたという来場者からは「スタッフの対応が良く、思った以上に楽しめた」という声もあり、評価は一様ではない。
安全性と快適性への不安、ネットに渦巻く声
新アトラクションの発表を受け、ネット上では期待と同時に不安の声も目立つ。「高さ20メートルで逆さまになるのは怖い」「停電や悪天候時の安全対策は万全なのか」といった指摘だ。
沖縄特有のスコールや台風、炎天下での運営を前提とした場合、屋外型アトラクション中心の構成そのものを見直すべきだ、という意見も少なくない。
USJ再生の再現なるか、問われる“次の一手”
ジャングリア沖縄は、USJのV字回復を手がけたことで知られる森岡毅氏が関わるプロジェクトとして、大きな注目を集めてきた。そのため、「USJも最初は酷評された」「長期視点で育てるテーマパークになるのでは」と、再起に期待する声も根強い。
新絶叫アトラクション「やんばるトルネード」は、単なる話題作りに終わるのか、それとも流れを変える起爆剤となるのか。安全性の担保と快適な滞在環境づくりを含め、ジャングリア沖縄の真価が問われる局面に差しかかっている。



