
福岡ソフトバンクホークスで「堂上隼人」としてプレーした元プロ野球選手・美嶋隼人容疑者(43)が、神奈川県横浜市の路上で面識のない20代女性2人へわいせつ行為を試みた疑いで再逮捕された。
これで逮捕は8度目に及び、今年にかけて被害者は計11人。かつてグラウンドで汗を流した男は、夜の街で女性を執拗に狙う“連続性犯罪者”としての素顔を露呈している。
横浜の夜道で再び浮上した「同一犯の影」 面識なき若い女性を標的に
神奈川県警が今回、美嶋隼人容疑者を不同意わいせつ未遂の疑いで再逮捕したのは、今年4月と5月に横浜市の路上で起きた二つの事件だ。
被害にあったのは20歳の女性と、当時22歳の女性の計2人。前者は自転車で走行中、後者は帰宅途中の歩行中に襲われたとされる。いずれも時間帯は夜間で、面識のない女性を狙った点が共通していた。
捜査関係者によると、防犯カメラの分析などから美嶋容疑者の関与が浮上。すでに今年6月、不同意わいせつの疑いで逮捕され、7月には起訴。その後も不同意性交容疑や不同意わいせつ容疑で立て続けに逮捕・追送検されており、今回で実に8回目の逮捕となった。
警察は「横浜市内の路上を1人で歩く若年女性を、夜間帯に繰り返し狙っていた」とみて、犯行の連続性や動機を慎重に調べている。
被害者は10代・20代の女性11人 広がる恐怖と怒り
これまでに検挙された事件は計11件にのぼる。被害者はいずれも10代から20代の若い女性で、時間帯も場所も“人通りの少ない夜の路上”という共通項が際立つ。
横浜市内の女性は「何度も逮捕されているのに外を歩いているのが恐ろしい」と声を震わせる。SNSでも「常習性が高すぎる」「女性が安心して歩けない」と批判が相次ぎ、地域の安全への不安が広がっている。
犯行の手口は、背後から近づき、わいせつ行為を迫るか、無理やり連れ込もうとするもの。逃げ出した女性が警察へ届け出たことで犯行が明るみに出るケースが多かった。
“かつての捕手”の知られざる過去 13年前の強制わいせつで実刑判決
美嶋隼人容疑者は、プロ野球界では「堂上隼人」の登録名でプレーした元捕手だ。
【プロフィール】
- 氏名:美嶋隼人(旧登録名:堂上隼人)
- 年齢:43歳
- 出身:神奈川県
- ポジション:捕手
- 所属歴:福岡ソフトバンクホークス
ソフトバンク時代は高い身体能力を買われて育成選手として契約。守備面の期待もあったが、一軍出場は果たせず、短期間で退団している。野球界で名を残した選手とは言いがたいが、二度と注目されたくない形で名前がニュースに登場することになった。
じつは今回が初めてのわいせつ事件ではない。
捜査関係者によると、美嶋容疑者は2012年、福岡県内で10代女性を駐車場に連れ込み脅してわいせつ行為をしたとして強制わいせつ容疑で逮捕され、その後の裁判で懲役2年の実刑判決を受けている。
つまり、今回の連続的な不同意わいせつ事件の背景には、過去から続く“性犯罪の前歴”があったことになる。更生は果たされず、むしろ手口は夜の路上へと移り、若い女性たちを繰り返し狙う常習性が顕著になっていた。
「夜の街で若い女性を狙う卑劣さ」 連続性犯罪者の異常な執着
今回浮き彫りになったのは、ターゲットの一貫性と犯行の反復性だ。
すべての被害者が10代から20代の女性であり、いずれも一人で行動している時間帯を狙っている。また、美嶋容疑者の逮捕歴の多さから、逮捕→釈放→再犯という極めて危険なサイクルが繰り返されていたことがわかる。
専門家は「性犯罪の常習化は強い衝動性が背景にあり、再犯率も高い。社会的監視を強め、早期の段階で治療介入すべきケース」と指摘する。
それでもなお、美嶋容疑者は8度目の逮捕に至るまで犯行を重ねており、警察は余罪の可能性も視野に調べを進めている。
横浜市内の一部地域では、事件の報道後、夜の外出を控える女性が増えている。自治会では防犯パトロールを強化する動きも出ており、地域全体が深刻な影響を受け始めた。
今回の再逮捕は、真摯に日常を送る女性たちが突然巻き込まれた不条理の連続であると同時に、性犯罪対策の遅れを社会に投げかける事件でもある。
警察は引き続き犯行の全容解明を進めている。



