静かな会場に立つ“登山家の娘”　ファイナリスト発表の瞬間

柔らかく光るステージに呼び出された瞬間、絵子さんは軽く一礼し、番号と名前を告げた。
声は澄んでいて、山の冷気を思わせるほど透明だった。

報道によると、ミス日本コンテスト2026のファイナリスト発表会は8日、都内で開催された。
応募約2000人弱から選び抜かれた13人。それぞれが照明の中心に立ち、自らの言葉で挑戦の理由を語った。

これまでの「美」の基準をなぞるだけではない。
今年のステージには、聴覚障がいの大学生や海外の医学部を卒業した女性など、多彩な背景が並んだ。
絵子さんはその中に立ちながら、自然と向き合ってきた経験を静かに語り始めた。

山が教えてくれた「対話する力」

「自然を恐れるのでもなく、支配するのでもなく、対話する力を社会に届けたい」

その言葉は彼女が登ってきた山々の稜線のようにまっすぐだった。
9歳で雪山に立ち、キリマンジャロを登頂し、父とともに6000m級の山に挑んできた経験は、単なる冒険ではない。

山は常に正直で、そして時に厳しい。
自然に向き合うには、傲慢さや恐れではなく、丁寧な“対話”が必要なのだと、絵子さんは山から学んできた。

この自然観こそ、他の候補者とは違う唯一無二の背景であり、記事としての独自性もここに宿る。

父・野口健氏　多くを語らない“指針”

報道によると、ミス日本挑戦の報告を受けた父・野口健氏の返事は驚くほど淡々としていた。

「うん、そうか。頑張って。登り続ければいいんじゃないの」

山での経験と同じように、父の言葉にも強制はない。
“親というより、山のような存在”。
過度な干渉はなく、ただ「やり遂げてこい」という背中だけを見せる。

絵子さんは「いつも泳がされている気持ち」と笑った。
だがその“泳がされる感覚”が、自分で判断し行動する力を確かに育ててきた。

アコンカグア登頂を断念してでも挑む理由

今年、絵子さんは南米大陸最高峰・アコンカグアへの登頂を予定していた。
だが、ミス日本の挑戦を優先し、その計画を断念したという。

「本当は両方挑戦したい。でも、欲を出しすぎても良くないと思った」

山の世界では、一つの判断の誤りが命に関わる。
慎重さと大胆さのバランスを知っているからこそ、彼女は今年挑む山をミス日本に定めた。

その決断自体が、彼女らしい「挑戦の作法」だった。

多様性が広がるミス日本　変化の中に立つ

ミス日本はこれまで、整った美しさという明確な型を前提にしてきた歴史を持つ。
しかし今年のファイナリストを見つめる観客からは、「時代が変わった」という声が漏れた。

聴覚障がいの候補者は手話で力強く意思を示し、海外の医学部を卒業した女性は国境を越えた学びを語った。

美しさの捉え方が多様化する現代において、絵子さんの自然との対話という視点は、ミス日本の概念をさらに広げる可能性を秘めている。

SNSが映す父娘の関係と“期待の大きさ”

ヤフーコメントでは、絵子さんを称賛する声が相次いだ。

「聡明でユニークで、いつか世に出ると思っていた」
「父の背中を見て育ってきたのだろう」
「山に登る挑戦精神が美しい」

ファイナリストとしての注目だけでなく、野口健氏の娘としての注目も強い。
その視線を受け止めながら、絵子さんは静かな笑みで前を向いていた。

最終審査へ　彼女が持ち込む“新しい美”

ミス日本が目指す「日本らしい美しさ」。
その定義を、いま多くの人が問い直している。

山で学んだ対話、父から受け取った挑戦心、そして自分の力で未来を切り開こうとする静かな意志。
これらを纏ってステージに立つ絵子さんは、これまでの“美”とは異なる新しい価値観を浮かび上がらせるかもしれない。

1月26日の最終審査。
彼女がどんな表現で「自然と生きる美しさ」を伝えるのか、期待が高まっている。