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新米が“異例の売れ残り” 価格高騰で消費者離れ深刻化|米価高止まりの裏側と流通現場の危機

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PhotoACより

新米の季節にもかかわらず、米の売れ行きが大きく落ち込んでいる。一部の報道によると、5キロ5000円台が常態化した今年、消費者は値札を見て古米へと手を伸ばすケースが相次ぎ、店頭には新米だけが残る逆転現象が起きている。

昨年の米不足を背景に、農家への高値買取が相次いだことが価格上昇の一因だが、その反動が小売の現場を直撃している。米屋の廃業懸念も漏れるなか、米の流通と価格をめぐる混乱は深刻さを増しているようだ。

 

 

新米が売れない。現場が語る異常事態

例年なら「新米が出たら買っていく」という消費者の動きが、今年は大きく変わっている。
新米コーナーの前で立ち止まった客は、値段を見比べた末に古米を手にするケースが多いという。

ブランド米の新米は5キロ5800円台、昨年産の古米でも5キロ4900円台。
これに対して、5キロ4000円台前半の割安な米は早々に売り切れる。

「新米が動かないため、販売量は前年に比べ大幅に減少している」と複数の米店関係者は口をそろえる。

かつての新米シーズンの熱気は影を潜め、売り場は異例の静けさを見せている。

 

価格高騰の理由|高値買取が流通を押し上げた

新米が高値となった背景には、昨年の深刻な米不足がある。
各地の集荷業者が在庫確保を急ぐあまり、農家に高値での買取を提示し、田植え前から価格が決まる地域もあった。

その結果、流通段階での仕入れ価格が高騰。
小売店は高値で仕入れた米をそのまま価格転嫁せざるを得ず、消費者が実感する販売価格は一気に跳ね上がった。

「今年の新米は相当な高値になる」と早い段階で小売側は懸念していたというが、その不安は現実となった。

物価高と家計負担の増加が消費者の財布を硬直化させ、高価格帯の米は見向きもされない状況だ。

 

廃業の懸念|米屋が耐えられない“在庫リスク”

新米の売れ行きが読めないなか、「一般向け新米の在庫はリスクが大きい」と判断し、販売を縮小する米屋も出てきている。
飲食店向けなど業務用需要に特化する店もあるが、売上は大幅に落ち込む。

業界団体では「来年秋までに何軒の米屋が続けられるかわからない」という声もあり、小売現場の疲弊は深刻だ。

さらに痛手となっているのが、卸売との年間契約である。
昨年の品薄時に「なんとか在庫を確保してほしい」と頼み込んだ手前、今年になって「仕入れ量を減らしたい」とは言いづらい。
長年の信頼関係が、逆に身動きを取れなくしている。

 

スーパーでは新米が“山積み” それでも値下げできない事情

スーパーのバックヤードには、新米の袋が積み上がっているという。
精米済みの米は品質劣化が早く、おおむね1カ月ほどで廃棄対象になる。

だが値引きに踏み切れない背景には「他の米の価格構造に影響する」という理由がある。
特にブランド米を安売りすると、全体の価格帯を崩してしまうため、店側も慎重だ。

一部では、廃棄する前に従業員向けの割引販売で在庫を処理しているケースもある。
現場は、売れない新米をどう抱えるかで苦悩している。

 

“年明け値下げ”の可能性 米価はどこまで下がるのか

食品表示法では「新米」と表示できるのは年内に精米・包装された米だけで、年をまたげば通常米扱いになる。

その新米プレミアが消える 来年1月 以降、スーパーでの特売が本格化する見通しだ。

流通関係者は「1割程度の値下げが始まる可能性がある。赤字覚悟の価格で出す店もあるかもしれない」と話す。

高値に疲れた消費者にとっては朗報となるが、米屋やスーパーにとっては痛みを伴う展開となる。

米不足から始まった価格のゆがみは、すぐには解消されそうにない。
主食をめぐる需給バランスの混乱は、まだ続く可能性が高い。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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