創設者・橋下徹氏が怒りの連投「維新スピリッツが泣いている」

日本維新の会の藤田文武共同代表に、公金をめぐる重大な疑惑が浮上している。
「しんぶん赤旗日曜版」が報じたところによると、藤田氏の公設第1秘書が代表を務める会社に対し、2017年から昨年にかけて約2100万円が支払われていた。その原資の大部分は政党交付金や調査研究広報滞在費など、公金にあたるとされる。
この報道に対し、維新の創設者で弁護士の橋下徹氏が激しく反応した。自身のXに連投し、「適法か違法かではない。政治家として『これはまずい』と感じなければ終わりだ」と投稿。「公金を身内企業に発注して利益を出すなど、維新スピリッツが泣いている」と痛烈に批判した。
藤田氏は「すべて実体のある正当な取引であり、専門家にも相談の上で適法に行っている」と釈明しているが、橋下氏は「もしこんな仕組みを許せば政治家はボロ儲けできる」「ルールがないからやっていいという話ではない」と強調した。
“改革政党”の看板が揺らぐ 「身を切る改革」との矛盾
藤田氏はこれまで、政治資金の透明性を訴え「身を切る改革」を掲げてきた。
自身の配布したチラシにも、「政治家の活動は国民の税金で成り立っているからこそ、厳しいルールを課すべきだ」と記していた。だが今回の構図は、その理念と真逆に映る。
橋下氏は関西テレビの番組「旬感LIVEとれたてっ!」でも、「違法ではないかもしれないが、政治家としての倫理観が欠けている。業者に直接発注すれば済む話だ」と断じた。
さらに「維新の国会議員が『やっても大丈夫』という雰囲気に浸っていたのだろう」とし、党内の空気そのものを問題視した。
SNS上では維新支持者からも「やってはいけないことをやってないと言い張るのが一番まずい」「橋下さんが一番維新らしい」といった声が相次ぎ、党の統治に対する不信感が広がっている。
吉村代表も釈明へ 高市連立に“火種”となるか
維新の吉村洋文代表は「連休明けに藤田氏本人が丁寧に説明する」と述べたうえで、11月4日夕方に記者会見を開く方針を明らかにした。
政党交付金という公金を扱う以上、「説明責任」は党代表にも及ぶ。藤田氏の疑惑は単なる個人問題にとどまらず、党のガバナンスそのものを問う事態に発展している。
この問題は、政権への波及も避けられない。
維新は現在、高市早苗首相率いる自民党との連立与党として政策協議を進めており、藤田氏はその中核に位置している。連立パートナーの共同代表が「公金還流疑惑」で会見を開くという異例の事態に、永田町では早くも「高市政権にとって最初の火種になる」との見方が出ている。
ある自民党関係者はこう漏らす。
「維新は“クリーンな政党”として期待されていた。橋下さんの怒りは本物だろう。もし党内で処理を誤れば、政権の信頼にまで響く」。
政策連携を進めたい高市政権にとっても、維新の説明次第では連立の足場が揺らぐことになる。
「合法でも信頼を失う」 企業なら懲戒の構図
今回の問題は、法的な違反よりも「倫理」と「見え方」が問われている。
たとえ意図がなくても、自身の関係者に公金が流れる構図は、外形的に疑惑を持たれて当然だ。企業でいえば「利益相反」に相当し、たとえ契約が合法でも懲戒や信用失墜につながる行為だ。
橋下氏の言葉を借りれば、「やってはいけないこと」ではなく「やってはいけないように見えること」こそが問題の本質だ。維新が築いてきた「身を切る改革」というブランドの根幹に、この疑惑は静かに亀裂を入れつつある。
改革を止めてはならない
とはいえ、ReHacQなどの対談番組や講演を見ても、藤田文武氏は極めて優秀で、構想力と政策理解の深さに定評がある政治家だ。
今回の件を教訓とし、透明性と説明責任を徹底することで、もう一段上の政治家として成長してほしい。
維新が掲げてきた「改革」の灯を、こんなところで消してはならない。藤田氏には、信念を貫き、再び前を向いて歩んでほしい。



