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NHK相次ぐトラブル──中継乱れ、映像演出疑惑、NHK ONE不具合、受信料未払い 公共放送の信頼が揺らぐ

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日米首脳会談

10月28日、日米首脳会談の公式セレモニーでNHKの中継映像が数分間にわたって乱れるという異例の事態が発生した。国旗演奏中の映像トラブルに加え、直前には報道映像の「ダッチアングル」演出を巡る批判、さらに新サービス「NHK ONE」での登録不具合、そして受信料未払いの拡大が相次いでおり、公共放送としてのNHKへの信頼が大きく揺らいでいる。

 

国賓セレモニーで発生した異例の中継乱れ

10月28日午後、東京・迎賓館で行われた高市早苗首相とトランプ前米大統領による初の首脳会談。その国賓セレモニーで、米国国歌が演奏される最中、NHKの中継映像が突如として乱れた。

大統領の顔がぼかしのように不鮮明になり、一時的にカラーバー画面が数分間映し出されるなど、明らかに異常な状態が続いた。
国の威信をかけた外交儀礼での映像障害に、SNS上では批判が殺到した。
「国歌演奏中に映像が乱れるなんてあり得ない」「わざとではなくても技術レベルが低すぎる」「受信料を払う気が失せた」などの書き込みが相次ぎ、放送体制への不満が噴出している。

 

“ダッチアングル”演出が火種に

今回の中継トラブルが波紋を広げた背景には、NHKが直前に起こした映像演出を巡る批判もあった。
NHKは高市内閣発足のニュースを報じる際、画面を意図的に斜めに傾ける「ダッチアングル」という映像技法を使用。視聴者の一部から「政府を否定的に見せようとしたのではないか」との指摘が上がった。
ダッチアングルは、映画やドラマで不安や緊張を表現するための手法で、報道番組では通常使用されない。NHKは「意図的な印象操作ではない」「他のニュースでも用いている技術的手法」と説明したが、報道機関としての中立性が問われる結果となった。
その直後に外交儀礼中継の乱れが重なったことで、「NHKの放送姿勢そのものに問題があるのでは」との見方が広がった。

NHK ONE、初日から不具合連発

さらに10月1日、NHKが開始した新インターネットサービス「NHK ONE」でも混乱が起きた。旧サービス「NHKプラス」からの移行を促したものの、アカウント登録時に認証コードが届かない、入力してもエラーになるなどの不具合が多数発生。
NHKは公式に謝罪し、「新ドメインを使用した大量送信が一部メールサービスで制限を受けた」と説明。現在は復旧したとするが、移行期間に登録を断念した利用者も少なくない。
SNS上では「移行準備が不十分」「一斉切替は無理があった」「初日にアクセス集中するのは予測できたはず」と批判が相次ぎ、ネット配信への信頼にも影を落とした。
NHK ONEは「放送とネットを一体化する新時代の公共サービス」を掲げてスタートしたが、滑り出しはつまずいた格好となった。

 

受信料支払率78%、未契約・未払い続出

技術やネットでの混乱が続くなか、受信料制度の実態も厳しい。NHKの公表値によると、2023年度末の全国平均支払率は約78%で、5世帯に1世帯が未払いまたは未契約の状態にある。
支払率が90%を超えるのはごく一部の県に限られ、東京都や大阪府では6割台、沖縄県では5割を切る地域もある。
さらに自治体の未契約も発覚している。愛知県では200台を超える公用受信機器が32年間未契約のままで、未払い額は2,000万円を超えた。長野県や軽井沢町でも同様の事例が確認されており、公共機関でさえ受信料制度の徹底がなされていない現実が浮き彫りとなった。
「受信料を徴収しながら、技術トラブルや説明不足が続くのでは説得力がない」との声が広がっており、制度そのものへの信頼も揺らいでいる。

 

技術・制度・演出――三重の揺らぎ

中継の乱れ、演出手法への批判、ネットサービス不具合、受信料問題──。いずれも表面的には異なるが、共通しているのは「公共放送としての体制と説明責任の欠如」である。
放送現場では、技術的な冗長構成やバックアップ体制が十分に機能していたのか、編集や演出に対する倫理的ガイドラインが明確であったのか、ネットサービス移行に際して利用者視点の検証が行われていたのか、それぞれが問われている。
NHKは営利を目的とせず、公平・中立の報道と公共性の高い情報提供を使命とする。その理念を支えるのが受信料制度である。だが現実には、支払率の低迷やトラブルの多発が、視聴者からの「信頼という資本」を目減りさせている。

 

信頼回復へ NHKに求められる再出発

相次ぐトラブルを受けて、NHKには三つの改革が求められている。
第一に、外交儀礼など国家的行事の中継においては、二重・三重の監視と即時対応体制を確立すること。
第二に、報道番組の演出手法を再検証し、視聴者の受け止め方を重視した「信頼される映像」を徹底すること。
第三に、受信料制度の透明化を進め、集めた資金の使途を具体的に示し、利用者が納得できる説明責任を果たすことである。
NHKが「受信料を払ってでも見たい」と思われる公共放送であり続けるためには、ミスを隠すのではなく、原因を明らかにし、改善を公開する姿勢が不可欠だ。視聴者は今、誠実な改革を見守っている。

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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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