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停戦下で再び空爆。ガザで100人超死亡、崩れゆく和平の約束

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少年
DALL-Eで作成

停戦が続くはずのガザで、再び爆音が響いた。イスラエル軍による報復空爆で100人を超える市民が犠牲となり、住宅や避難所、学校までもが攻撃の対象となった。イスラエルは「報復を完了した」として停戦の再開を発表したが、ハマスは関与を否定。和平をめぐる脆い均衡が、再び揺らいでいる。

 

停戦の空を破った閃光

10月28日、ガザの夜空を再び閃光が切り裂いた。
イスラエル軍が南部ラファで兵士1人が殺害されたことを受け、報復としてガザ全域を空爆。その攻撃はわずか数時間のうちに100人以上の命を奪った。現地の防衛当局によれば、犠牲者には多くの子どもも含まれている。

ガザの住宅街や避難民のテント、病院周辺までもが被害を受け、救急車のサイレンが鳴り止まなかった。病院関係者によると、重傷者は250人を超え、医療体制は限界に達しているという。

 

「報復完了」と「停戦再開」

イスラエル軍は翌29日、「ハマスによる停戦違反に対する報復を完了した」と発表し、停戦の再開を宣言した。
「今後も合意違反には断固対応する」との声明を出し、強硬姿勢を崩していない。

この一連の攻撃は、10月10日の停戦発効以降で2度目の大規模空爆にあたる。
イスラエルでは国内世論の一部が強硬対応を支持しており、政府は停戦維持と国防の狭間で難しい舵取りを迫られている。

 

ハマスの否定とすれ違う主張

一方、イスラム組織ハマスはラファでの攻撃への関与を否定し、「停戦を維持している」と主張した。
しかし、イスラエル軍は「ハマスが停戦を破った」として、報復攻撃を正当化。双方の主張は大きく食い違っている。

さらに、両者は人質の遺体引き渡し問題でも激しく対立している。
イスラエルは「ハマスが人質の遺体を意図的に埋め直した」と非難し、映像を公開。
これに対しハマスは「イスラエルが捜索に必要な重機の搬入を拒否している」と反論した。
相互不信が積み重なり、和平への道筋は見えないままだ。

 

米国の反応と国際社会の視線

停戦の仲介役を務めるトランプ米大統領は、「停戦は維持されている」と強調しつつ、イスラエルの対応を擁護。
「(停戦を)危うくするものは何もない」と述べたが、実際の現場では攻撃が続き、被害は拡大している。

国際社会では、国連やEU各国が民間人の犠牲増加に懸念を表明。
特に国連人権高等弁務官事務所は「停戦合意下での空爆は明白な国際法違反の可能性がある」とし、調査の必要性を訴えた。

 

揺らぐ和平と市民の現実

ガザ市北部では、住宅が瓦礫と化し、人々はわずかに残った持ち物を抱えて避難を続けている。
電力や医薬品の供給は断たれ、通信インフラも不安定。
国際的な「停戦」の言葉とは裏腹に、市民の生活はなお戦時下にある。

停戦発効からわずか数週間。
「報復」と「再開」という言葉が交錯するたびに、和平の約束は現実の爆音にかき消されていく。
そして、ガザの空にはいまも、薄く立ちのぼる煙が消える気配を見せない。

 

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ライター:

広島県在住。福岡教育大学卒。広告代理店在職中に、経営者や移住者など様々なバックグラウンドを持つ方々への取材を経験し、「人」の魅力が地域の魅力につながることを実感する。現在「伝える舎」の屋号で独立、「人の生きる姿」を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。​​https://tsutaerusha.com

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