
午後2時、静まり返った国会議事堂に高市早苗首相の声が響いた。
「この内閣が最優先で取り組むのは、国民が直面している物価高への対応です」
初の所信表明演説に臨んだ高市首相は、力強い口調で“暮らしの安心”を掲げた。
ガソリン税の暫定廃止や光熱費の支援など、生活に直結する対策を相次いで表明。
新政権の方向性を示すスピーチは、野次と拍手が交錯するなかでも一貫していた。
「暮らしの安心を届ける」 最優先は物価高対策
壇上に立つ高市首相の声は、力強く、よどみがなかった。
物価上昇が家計を直撃する中、「安心を確実かつ迅速に届ける」と語ったその表情には、経済対策への覚悟がにじんでいた。
政府はすでに経済対策の策定に着手。
ガソリン価格引き下げや、冬季の電気・ガス料金の補助など、生活の基盤を支える施策を打ち出す。
「暮らしの安心を守る補正予算とするため、与野党で知恵を結集したい」
と語った首相。スピード感ある実行を求める姿勢が印象的だった。
「バラマキ」ではなく構造改革へ。現金給付の見送りと税率廃止
高市首相は演説で、自民党が掲げた「2〜4万円の現金給付」を見送る決断を表明した。
「国民の理解が得られなかった」と述べ、一時的な支援ではなく「構造的な負担軽減」を目指す方針に舵を切る。
注目を集めたのは、ガソリン税・軽油引取税の暫定税率廃止を「今国会で成立を期す」と明言した点だ。
補助金による一時的な支援と並行し、税制そのものの見直しを進めることで、長期的な物価安定を狙う。
ただし、地方財源の確保や国の歳入減をどう補うかという課題は重くのしかかる。
実現までの道のりは平坦ではない。
地方と中小企業への支援 “底上げ”が経済再生の鍵
演説では、中小企業支援や地方経済の立て直しにも力点が置かれた。
生産性向上、事業承継支援、取引の適正化を通じて「賃上げと設備投資を強力に後押しする」と明言。
給付付き税額控除の制度設計にも着手し、“成長と分配”の両立を掲げた。
この一文に、長期的な経済再建のビジョンが込められている。
「一過性の給付」ではなく、企業や地方の自立を促す仕組みを重視する姿勢が見て取れる。
「絶対にあきらめない」強い決意と政治の現場
「私は、日本と日本人の底力を信じてやまない者として、この場に立っている」
高市首相の冒頭の言葉は、静かな緊張のなかで響いた。
しかし議場では、「統一教会」「裏金問題」などの野次が飛び交い、怒号が交錯した。
それでも首相は声を張り上げ、言葉を途切れさせることなく演説を続けた。
中継番組『ミヤネ屋』では、橋本五郎氏がこう苦言を呈した。
「野次で中身が聞こえない。議員の態度として感心しない」
混乱の中でも一歩も退かなかった高市首相の姿に、信念の強さがにじんだ。
政権の試金石 “スピードと実効性”が問われる
高市内閣の船出は、物価高という国民生活の核心から始まった。
暫定税率廃止、光熱費支援、中小企業支援。
いずれも実現性とスピードの両立が問われる政策だ。
「短期的な人気取り」ではなく、「構造的な変化」を志向する今回の演説。
政治の安定を掲げる首相の姿勢が、どこまで国民の実感につながるか。
新政権の本当の評価は、これからの実行力にかかっている。



