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千鳥・大悟、映画初主演で綾瀬はるかと夫婦役に挑む 是枝裕和監督『箱の中の羊』2026年公開へ

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箱の中の羊
千鳥スタッフ【公式】インスタグラムより

お笑いコンビ「千鳥」の大悟が映画初主演に挑む。相手役は国民的女優・綾瀬はるか。是枝裕和監督の新作『箱の中の羊』が2026年公開される。舞台は少し先の未来、夫婦がヒューマノイドを息子として迎え入れる物語。テクノロジーと人間の心が交錯する家族劇が動き出す。

 

 

大悟の第一声は「ビビってます」

クランクイン初日、現場の空気をやわらげるように響いたのは千鳥・大悟の素直な一言だった。
「ビビってます」。
芸人として舞台やテレビで笑いをとり続けてきた大悟が、初めて映画の主演という大役を担う。その姿は意外性に満ちていながら、同時に「新しい何かが始まる」という期待感を漂わせていた。

その隣には、是枝裕和監督作品で数々の名場面を残してきた女優・綾瀬はるか。大悟に向かって「えーそんな!」と笑顔を返す彼女の柔らかさが、張りつめた緊張をほどく。現場には笑い声が広がり、未来を舞台にした家族劇の撮影が、静かに幕を開けた。

 

『箱の中の羊』少し先の未来を描く物語

映画のタイトルは『箱の中の羊』。2026年、全国公開予定の完全オリジナル作品である。監督・脚本・編集を担うのは、世界が認める巨匠・是枝裕和。『そして父になる』(2013年)でカンヌ国際映画祭審査員賞、『万引き家族』(2018年)で最高賞パルムドールを受賞し、国際映画界にその名を刻んできた。

舞台は“少し先の未来”。建築士の妻・甲本音々(綾瀬はるか)と、工務店の二代目社長・甲本健介(大悟)。二人がある決断を下す。それは「ヒューマノイドを息子として迎え入れる」ことだった。
テクノロジーで“死者を蘇らせる”という発想から生まれたこの物語は、科学と人間の心が交錯する問いを突きつける。果たして人と人との絆は、技術によって補えるのか。それとも、そこにこそ乗り越えられない壁があるのか。

 

監督の新境地 SF要素と家族劇の融合

是枝作品といえば、血のつながりや親子の葛藤といった「家族の物語」を描き続けてきた。『海街diary』『万引き家族』『怪物』。いずれも現代社会を射抜くテーマ性で支持を得てきた。そんな監督が、初めて近未来を舞台に選んだことは注目に値する。

是枝は語る。
「数年前、中国で“死者を蘇らせるビジネス”が広がっていると聞きました。これは日本でもいずれ起こる可能性がある。テクノロジーと人間の感情が衝突する現場を想像し、作品にしたいと思ったのです」

最新技術と人間の愛情を交差させること。それが『箱の中の羊』の核心にある。

 

綾瀬はるか 変わらぬ魅力と挑戦

綾瀬はるかが是枝監督作品に出演するのは『海街diary』(2015年)以来。久々の現場について「変わらず和やかな空気でした」と語る。
「わだかまりがある二人が、ヒューマノイドの子を迎え、心が通い合っていく過程を大悟さんと演じるのが楽しみです。きっと見終わった後に心が温かくなる作品になるはずです」

女優として幅を広げ続ける綾瀬が、感情表現の難しい建築士の妻役に挑む。観客は再び、彼女の繊細な演技に心を揺さぶられることになるだろう。

 

大悟 漫才師から主演俳優へ

一方、大悟にとってはまさに新境地。これまで映画では『漫才ギャング』(2011年)、『任侠野郎』(2016年)、『ひとよ』(2019年)などでアウトロー役を演じてきたが、主演かつ夫役は初挑戦だ。

「大悟さんは存在感があり、人間味がある。70年代の日本映画界にいた俳優のような顔をしている」
是枝監督はそう評し、キャスティングに確信を持った。さらに現場では「セリフはきっちり覚えなくてもいい。僕が耳打ちした言葉をそのまま表現して」と伝えたという。子役にも用いてきた演出法で、大悟の自然体を引き出そうとしている。

本人も「自由にやっていいんだなと気持ちが楽になった。大悟が出た、しゃべった、で笑われないように頑張りたい」と意気込む。芸人として培った間合いの感覚が、スクリーンでどう昇華されるのか注目だ。

 

現場に漂う温かな空気

撮影が始まって間もなく、ヒューマノイド役の少年が大悟の坊主頭をなでて懐く場面があったという。綾瀬はそれを見て微笑み、是枝監督も「和やかな現場です」と語る。冷たい近未来を描く物語でありながら、カメラの外には人間らしい温もりが広がっている。

 

世界に届くか?映画祭への期待

これまで是枝作品はカンヌをはじめ世界各地の映画祭で評価を得てきた。『万引き家族』がパルムドールを獲得してから7年。新作『箱の中の羊』は、果たしてどのように国際的に受け止められるのか。
監督は「まだ見たことのない家族劇になる」と自信を見せる。日本発の近未来ドラマとして、世界に議論を巻き起こす可能性は高い。

 

“未来の家族”に投げかける問い

芸人・大悟の挑戦、綾瀬はるかの確かな演技、是枝裕和の新境地。この三者が交わることで生まれる『箱の中の羊』は、単なるSFではなく、愛と記憶とテクノロジーの狭間に立つ私たち自身の物語だ。

2026年、観客はスクリーンの中で「未来の家族」の姿を目撃することになる。

 

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ライター:

広島県在住。福岡教育大学卒。広告代理店在職中に、経営者や移住者など様々なバックグラウンドを持つ方々への取材を経験し、「人」の魅力が地域の魅力につながることを実感する。現在「伝える舎」の屋号で独立、「人の生きる姿」を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。​​https://tsutaerusha.com

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