
千葉県は首都圏における産業と生活を結ぶ要衝として、空港・港湾・鉄道など交通インフラに加え、食品、金融、小売、エンジニアリングと多様な産業が集積している。流通大手や世界的食品メーカーから、地域に根差す金融機関や建設会社まで幅広い企業が県内経済を支えてきた。本稿は決算短信・有価証券報告書など一次資料のみを突合し、連結売上高(金融は経常収益)を基準に“県内に本社(登記本店)を置く企業”20社で作成した最新ランキングだ。
20位 ZIPAIR Tokyo(成田市) 売上 768億6,500万円(2025/3 連結)
名門ポイント:国際線LCCの運航を主軸とし、親会社の日本航空グループにおける新たな収益柱として設立された。成田空港を拠点に、ソウル、バンコク、ホノルル、サンノゼ、ロサンゼルスなど中長距離路線を展開し、既存の短距離中心のLCCとは一線を画すビジネスモデルを築いている。機内サービスでは飲食や受託手荷物を有料化する一方、フルフラットシートを導入したビジネスクラスを備え、価格競争力と快適性を両立させた点が特徴である。完全キャッシュレス決済や機内Wi-Fiなどデジタル技術を積極的に取り入れ、効率的な運営と利用者利便の向上を進めてきた。航空業界特有の燃料価格や為替の変動リスクに直面するなかでも、シンプルで合理的な運航体制により安定性を高めている。今後は北米やアジアの新規路線拡大、環境対応型燃料(SAF)の導入などに取り組み、持続可能な航空事業への移行を加速させる方針を掲げている。成田発の中長距離LCCという独自の立ち位置を活かし、訪日需要や国際交流の拡大に貢献する存在感は、今後さらに高まっていくだろう。
19位 TOTOバスクリエイト(佐倉市) 売上 789億円(2025/3)
名門ポイント:システムバスの製造を主軸とし、TOTOグループの住宅設備供給を支える中核企業として成長してきた。ユニット化された浴室は施工性に優れ、品質の均一化や工期短縮に寄与しており、全国の住宅メーカーやリフォーム市場で高い採用実績を持つ。生活様式の変化に対応するため、断熱性能や清掃性の向上、防カビ仕様など快適性を追求した製品を開発し、ユーザーの多様なニーズに応えてきた点が特徴である。高齢化社会に向けてはバリアフリー設計や安全性を高めた仕様を拡充し、誰もが安心して利用できる浴室環境を整備している。さらに、省エネルギー性能の向上やリサイクル可能素材の採用を進めるなど、環境負荷低減への取り組みも強化されている。住宅設備業界は人口減少や市場縮小という課題に直面しているが、リフォーム需要や環境対応製品への需要は確実に拡大している。グループの技術力を背景に、これからも快適性・安全性・環境性能を兼ね備えた浴室づくりを推進し、暮らしの質を高める製品を提供し続けることで、持続的な成長を実現するだろう。
18位 京葉銀行(千葉市中央区) 経常収益 803億7,000万円(2025/3 連結)
名門ポイント:預金・融資・為替を主軸とする地域金融機関として、千葉県を中心に広域に店舗網を展開している。給与振込や公共料金決済など日常生活に直結するサービスを担い、個人資産形成や住宅ローンでも地場の利用者を支えてきた。法人分野では中小企業の運転資金や設備投資を下支えし、地域経済の安定成長に寄与している。長引く低金利環境で収益構造が厳しさを増す中、経営課題に寄り添う「伴走型金融」を強化し、事業承継やM&A支援、地域インフラ投資などへ積極的に関与している。キャッシュレスやインターネットバンキングなどデジタルサービスの拡充も進め、利用者の利便性を高めている。地域経済と直結する金融機能を持続的に提供し続ける姿勢は、人口減少下でも千葉の産業・暮らしを支える基盤として重要性を増していくだろう。
17位 朋和産業(船橋市) 売上 884億5,500万円(2025/3 連結)
名門ポイント:食品向けの包装資材を中心に製造・販売を行い、印刷やラミネート加工を駆使した高機能パッケージを提供している。スーパーやコンビニの売場に並ぶ弁当や総菜、菓子など、多様な食品を包む包装資材を手掛け、流通・小売を支える基盤となってきた。軽量化や保存性の向上を目的とした素材開発にも積極的で、消費者の利便性と衛生面の確保を両立させている。さらに、プラスチック使用量削減やリサイクル適合素材の採用など環境負荷低減の取り組みも強化し、持続可能な社会の実現に貢献している。国内市場は成熟が進んでいるが、アジア圏を中心とした海外展開やバイオマス素材など新分野への応用で成長余地を広げている。包装は商品の品質保持だけでなく購買意欲を左右する重要な要素であり、機能性とデザイン性の両立を追求し続けることで、今後も生活に欠かせない存在として市場での存在感を高めていくと期待される。
16位 横河ブリッジ(船橋市) 売上 913億2,000万円(2025/3)
名門ポイント:横河ブリッジは橋梁事業を主軸とし、国内外で数多くの大型プロジェクトを手掛けてきた。設計から製作、架設、維持管理まで一貫した体制を構築し、高速道路や鉄道橋などの社会インフラを長年にわたり支えてきた点が特徴である。鋼構造の高度な技術力を背景に、耐震性や耐久性に優れた橋梁を提供し、安全性と信頼性で高い評価を確立した。国内では高速道路網や都市再開発事業に参画し、社会基盤整備に欠かせない役割を果たしている。さらに、海外においてもアジアや中東で大型橋梁を受注し、国際的な展開を進めてきた。近年は老朽化するインフラの長寿命化ニーズに応え、補修・補強やモニタリングシステムを活用した維持管理技術を強化している。環境課題にも取り組み、省エネ型製造プロセスや環境負荷低減技術を導入する姿勢を打ち出しており、持続可能な社会づくりに貢献する方向性を明確にしている。社会基盤を担う企業として、今後も国内外での存在感をさらに高めていくことが期待される。
15位 イケア・ジャパン(船橋市) 売上 952億7,900万円(2024/8)
名門ポイント:北欧発祥の家具ブランド「IKEA」の日本法人で、家具と生活雑貨の販売を主軸とし、組み立て式家具を中心に低価格とデザイン性を両立させた商品群を展開している。大型店舗にはショールーム形式の売場を設け、生活空間を再現した展示を通じて購買体験を提供するほか、スウェーデン料理を提供するレストランや子ども向けの託児施設なども併設し、単なる小売を超えた施設運営を行ってきた。近年はオンラインストアの拡充や配送サービスの改善を進め、店舗来訪が難しい層にもアクセスを広げている。さらに、都市部では小型店舗の出店を進め、利便性を重視した新しい形態を導入した。再生可能素材やリサイクル材の採用などサステナブル資源の活用にも注力し、循環型社会の実現を意識した取り組みを推進している。多様化するライフスタイルに合わせ、体験型サービスと環境配慮を融合させる姿勢は、日本の住環境に新しい価値をもたらし、今後の成長を後押しする要因となるだろう。
14位 京葉瓦斯(市川市) 売上 1,156億900万円(2024/12 連結)
名門ポイント:都市ガスの供給を主軸とし、市川市を拠点に千葉県北西部の家庭や工場へエネルギーを届けてきた。戦後の都市化と工業化の進展とともに需要を拡大し、地域の産業基盤や生活基盤を支える役割を担っている。ガス導管網の整備や保安体制の強化を継続し、安全で安定した供給を最優先にしてきたことは長年の信頼につながっている。電力や通信など異業種が参入するエネルギー自由化の中でも、顧客基盤の厚さと地域密着のサービスが競争力を維持する柱となっている。さらに、再生可能エネルギーの活用や水素社会を見据えた研究にも取り組み、事業領域の拡大を模索している。脱炭素化への対応や災害時のエネルギー確保といった課題が重視される中で、地域と共生しながら新しいエネルギー供給モデルを構築する姿勢は、今後も千葉の暮らしと産業を支える基盤として重要性を高めていくだろう。
13位 ユアサ・フナショク(船橋市) 売上 1,230億9,200万円(2025/3 連結)
名門ポイント:食品卸売を主軸とし、首都圏を中心に業務用食品や冷凍食品、加工食品の供給を担ってきた。外食産業、ホテル、給食事業者など幅広い顧客に対し、多様な食材や加工品を安定的に届ける体制を整えている。冷凍食品やチルド品の需要拡大に合わせた物流網の整備、季節やトレンドに応じた商品提案力は、取引先の信頼を支える要因となってきた。全国的な食品卸の再編が進む中で、地域に根差したきめ細かな営業網を保持し、顧客ニーズに迅速に応える姿勢が強みである。近年は食品安全管理やトレーサビリティの確立に注力し、HACCP対応や品質保証体制の整備を進めている。さらに、環境負荷を意識した物流や省エネ配送システムの導入も開始しており、持続可能性への取り組みも鮮明になってきた。食の多様化や高付加価値商品の需要が高まる中で、安定供給と品質保証を両立する事業モデルは将来の成長基盤となる。地域経済と食文化を支える食品卸として、今後も信頼性と革新性を兼ね備えた存在感を発揮し続けるだろう。
12位 新日本建設(千葉市美浜区) 売上 1,316億6,200万円(2025/3 連結)
名門ポイント:分譲マンション事業と建設請負を主軸とし、首都圏に強固な供給力を持つ。土地取得から企画、設計、施工、販売、管理までを自社で一貫して行う体制を整えており、品質とアフターサービスの一体運営によって顧客満足度を高めてきた。首都圏の住宅需要に応じ、景気動向に左右されやすい市況の中でも柔軟な商品企画と販売戦略を打ち出してきた点が特徴である。分譲住宅にとどまらず、再開発や公共施設の建設、耐震補強やリニューアル工事など社会的要請に応じた事業領域を拡大してきた。近年は省エネルギー性能を高めた住宅や脱炭素建材の活用など、環境配慮型の建築への対応も進めている。地場に根差しながら全国で存在感を高め、総合建設会社としての地位を固めつつある。今後は都市再生や環境対応住宅の需要増に的確に応えることで、首都圏を超えた市場での発展も期待される。
11位 QVCジャパン(千葉市美浜区) 売上 1,317億1,900万円(2024/12)
名門ポイント:テレビショッピングを基盤とし、24時間放送とオンライン通販を融合させた独自の小売モデルを展開している。幕張新都心に本社とスタジオを構え、ファッション、コスメ、家電、生活用品など多彩な商品を紹介し、視聴者と出演者の双方向コミュニケーションを通じて購買意欲を喚起してきた。映像を活用した販売手法は従来の店舗小売や紙媒体通販にはない臨場感を生み出し、エンターテインメント性を兼ね備えた消費体験を確立した点が特徴である。中高年層を中心に厚い支持を得ており、信頼性の高い商品選定と顧客サービスで定着した。近年はインターネット通販市場の拡大を背景に、自社ECサイトの強化やスマートフォンアプリとの連動を進め、テレビとデジタルの融合を加速させている。動画配信やデジタルマーケティングを積極的に活用する姿勢は、次世代の消費行動を取り込むための重要な布石となっており、今後も新しい小売モデルとして市場に存在感を示し続けるだろう。
10位 タイヘイ(匝瑳市) 売上 1,386億円(2024/12)
名門ポイント:食品事業を主軸とし、業務用食材の供給から家庭向け宅配弁当、冷凍食品まで幅広い分野を手掛けている。特に病院や高齢者施設向けの給食用食材や調理済み食品では豊富な実績を持ち、栄養バランスと安全性を両立した商品づくりで信頼を得てきた。家庭向けでは宅配弁当サービスを展開し、健康志向や高齢化社会のニーズに対応した食の提供を進めている。また、印刷事業や物流事業も展開し、食品分野を中心に多角的な事業モデルを構築している点が特徴である。食品の安全・安心に対する社会的関心が高まる中、HACCPに準拠した管理体制や品質保証の徹底を進め、安定供給を実現してきた。近年は冷凍食品や簡便調理品の需要拡大を追い風に新商品の開発を加速させており、調理現場の効率化と家庭の利便性向上に寄与している。今後は高齢社会に向けた健康配慮型メニューの充実や、環境に配慮した包装・物流の改善に取り組むことで、持続可能な食のインフラ企業としての地位を一層強めていくことが期待される。
9位 マブチモーター(松戸市) 売上 1,962億1,200万円(2024/12 連結)
名門ポイント:小型直流モーターの製造を主軸とし、世界有数のシェアを誇る製品群を展開してきた。自動車分野ではパワーウインドウ、ドアミラー、シート調整機構など多くの部位に採用され、家電や産業機器にも幅広く搭載されている。松戸市を拠点にグローバル拠点を配置し、アジア・欧州・北米に生産や販売ネットワークを築き、安定した供給体制を確立した。為替や原材料価格の変動にさらされる環境下にあっても、製品ポートフォリオを高付加価値領域へシフトさせることで収益基盤を強化してきた点が特徴である。近年は車載用モーターにおける需要が拡大しており、電動化や自動運転などCASEの潮流が大きな成長機会となっている。長年培った品質管理と信頼性は顧客から高い評価を受けており、今後も世界的なモビリティ産業の変革に即応する形で、製品群の技術進化と市場拡大を続けていくことが期待される。
8位 ZOZO(千葉市稲毛区) 売上 2,131億3,100万円(2025/3 連結)
名門ポイント:ファッション通販サイトを主軸とし、国内最大規模のアパレルECプラットフォームを形成している。多数のブランドが参加し、利用者は一度に多様な商品を閲覧・購入できる仕組みが整備されている点が特徴である。独自のユーザーインターフェースや購買データの活用により、消費者とブランド双方にとって利便性の高いマーケットプレイスを実現してきた。物流拠点「ZOZOBASE」を中心にした効率的な配送システムは、短納期での出荷と高い処理能力を支える基盤となっている。自社によるプライベートブランドの展開や、身体計測スーツを用いた採寸サービスなど、先進的な取り組みを通じて市場に新しい潮流を生み出した。さらに、広告やB2Bサービスなど周辺事業でも収益を拡大し、単なるECにとどまらない多角的な成長を遂げている。今後はAIやARなどの技術導入による購買体験の高度化や、海外市場への進出を通じて新たな顧客層を取り込むことが期待される。
7位 成田国際空港(成田市) 営業収益 2,637億7,300万円(2025/3 連結)
名門ポイント:空港運営を主軸とし、航空旅客サービス、貨物取扱、商業施設の運営など多様な事業を展開している。成田市に拠点を置き、首都圏の国際ゲートウェイとして機能してきた。航空会社への発着料や施設使用料に加え、免税店や飲食・物販店舗からの収益も重要な柱となっている。新型感染症の影響で大幅に減少した利用者数は回復基調にあり、旅客数や貨物取扱量は増加傾向を示している。空港関連の直接雇用に加え、周辺地域の宿泊、交通、物流など幅広い分野に経済効果を及ぼし、千葉県経済における存在感は極めて大きい。現在は第3滑走路の建設計画が進行しており、容量拡大と国際競争力の向上が見込まれている。さらに、手続きのデジタル化や環境負荷低減への取り組みを強化し、利便性と持続可能性を両立させる方向性を打ち出している。地域振興と国際的な航空ネットワーク強化を同時に実現する姿勢は、今後の発展を支える大きな基盤となるだろう。
6位 東洋エンジニアリング(千葉市美浜区) 売上 2,780億9,100万円(2025/3 連結)
名門ポイント:プラントエンジニアリングを主軸とし、石油・ガス・石化の分野に加え、発電や環境関連施設の建設で豊富な実績を積み重ねてきた。インドや東南アジア諸国を中心に大型案件を受注し、国際的なエネルギーインフラ整備に寄与している。設計・調達・建設を一括で請け負うEPC事業は市況や原材料価格の変動に左右されやすいが、近年は保守・改修・運転支援を含むライフサイクルエンジニアリングを強化し、長期的な収益基盤の安定化を進めている。国内では発電所や化学工場の改修、海外では再生可能エネルギー関連設備や新興国の基幹インフラ整備に取り組むなど、社会的な役割は拡大している。水素やアンモニアを利用した次世代燃料や脱炭素技術の需要拡大に向けて、研究開発や実証プロジェクトにも関与しており、エネルギー転換の時代に適応する戦略を描いている。産業と社会を結ぶインフラの担い手として、今後も国内外での存在感を高めていくことが期待される。
5位 京成電鉄(市川市) 営業収益 3,193億1,400万円(2025/3 連結)
名門ポイント:鉄道運行を主軸とし、スカイライナーを中心とした成田空港アクセスと、東京都心から千葉県北西部に広がる沿線輸送を担っている。空港アクセス特急は高速性と快適性で評価され、国内外の利用者に広く利用されてきた。通勤通学輸送と空港需要を両立させることで安定した収益基盤を確立し、沿線の開発や地域交通の利便性向上に寄与している。不動産開発やホテル・レジャー事業、さらにバス路線の運営を通じて、総合交通グループとして事業領域を拡大している点も特徴である。近年はインバウンド需要の回復が追い風となり、旅客収入の増加が顕著となっている。今後はデジタルチケットやモバイルサービスの導入、省エネ性能を備えた車両更新を進め、利便性と環境対応を両立させる取り組みが求められる。国際都市・成田を結ぶ幹線鉄道としての役割を果たしながら、沿線地域と空港を結ぶハブ機能を一層高めていくことが期待される。
4位 千葉銀行(千葉市中央区) 経常収益 3,621億7,900万円(2025/3 連結)
名門ポイント:県内最大の地方銀行で、千葉県を中心に広域に店舗網を展開する地方銀行の最大手として知られている。法人向けには中小企業から大企業まで幅広く融資や資金繰り支援を行い、個人向けには預金、住宅ローン、資産運用サービスを通じて生活基盤を支えてきた。長年の営業実績と高い信用力を背景に、県内外の企業や住民から厚い信頼を集めている。近年は低金利環境下で収益構造が厳しさを増す中、デジタルチャネルの拡充やキャッシュレスサービスの導入など利便性向上に注力している。さらに、地域経済の成長を促すため脱炭素関連投資やスタートアップ支援に積極姿勢を見せ、社会的課題の解決に金融機能を直結させている点が特徴である。地域に根差した伝統を維持しつつ、新しい分野に挑戦する姿勢は、人口減少や産業構造の変化が進むなかでも存在感を強め、持続可能な成長を下支えする力となるだろう。
3位 オリエンタルランド(浦安市) 売上 6,793億7,400万円(2025/3 連結)
名門ポイント:テーマパーク運営を主軸とし、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーを中心に事業を展開している。長期的な投資と安定した運営により、国内外から年間数千万人規模の来園者を集める日本を代表するレジャー産業の旗艦となった。近年は2024年開業の新エリア「ファンタジースプリングス」が大きな話題を呼び、入園者数の増加と客単価上昇の双方に寄与している。ホテル事業やバケーションパッケージ、関連商品の販売など周辺事業も拡大し、総合的な体験価値を高めてきた。混雑緩和や価格戦略、デジタルチケットの導入など、顧客体験と収益性の両立を図る経営手法も定着している。観光需要の回復とともに、インバウンド誘致や国際的なテーマパーク市場での注目度も高まっている。今後は新アトラクションの開発や持続可能性への対応を強化し、環境負荷低減や地域との共生に取り組むことで、長期的な成長を見据えている。日本発のテーマパーク運営モデルを深化させ、世界に通じるレジャービジネスの成功例を発信し続ける存在であり続けるだろう。
2位 キッコーマン(野田市) 売上収益 7,089億7,900万円(2025/3 連結)
名門ポイント:しょうゆ製造を主軸とし、調味料・食品事業を世界規模で展開している。野田市を拠点に江戸時代からの伝統を受け継ぎ、近代的な生産技術と品質管理を融合させて発展してきた。国内市場では家庭用・業務用の両分野で高いシェアを維持し、北米・欧州・アジアを中心に海外事業を拡大した結果、売上の過半を海外が占めるまでに成長している。現地生産体制を整備することで為替や原材料価格の変動リスクを抑え、安定した供給網を築いてきた点が特徴である。健康志向や和食人気の高まりを背景に、植物性食品や機能性調味料の開発にも取り組み、商品群を多様化させている。サステナブル調達や環境配慮型の生産体制の整備も進めており、食品業界における持続可能性のリーダーとしての役割を担いつつある。今後は和食文化を世界に広める存在として、伝統と革新を両立させた発展が期待される。
1位 イオン(千葉市美浜区) 営業収益 10兆1,348億円(2025/2 連結)
名門ポイント:総合小売を主軸とし、GMS(総合スーパー)、SM(食品スーパー)、ドラッグストアをはじめ、金融、ディベロッパー、サービス事業まで幅広い領域を展開するグループ体制を築いている。国内外で2万店規模の流通ネットワークを形成し、国内小売における圧倒的な存在感を確立してきた。店舗事業に加え、カード・銀行・保険などの金融分野やショッピングモール開発を組み合わせ、顧客との接点を多層的に拡大している。海外では中国やASEANを中心に出店を加速し、グローバル小売企業としての成長を遂げている点が特徴である。近年は環境負荷低減に向けた店舗改装や再生可能エネルギー活用、キャッシュレス化やデジタル技術の導入を進め、持続可能性と利便性を両立する経営を追求している。生活圏の設計者として地域社会と共生しながら、流通産業の未来像を示し続ける姿勢は、国内外での持続的な成長を後押しするだろう。
総評
千葉県の企業構造を俯瞰すると、小売と食品が双柱を成す形が浮かび上がる。流通産業は県内外の生活基盤を広く支え、食品分野は伝統産業からグローバル市場を視野に入れる展開まで裾野が広い。観光や交通インフラを担う分野は、直接的な雇用や消費を喚起し、地域経済に即効性のある波及効果を生んでいる。金融業は地元の中小企業や個人を下支えし、建設・エンジニアリング分野は都市再生やエネルギー転換の担い手として存在感を強めている。加えて、航空や家具など国際色豊かな事業領域も加わり、多様性が際立つのが特徴である。地域密着型の基盤と世界市場を見据えた事業展開が同居する千葉経済は、今後も首都圏の成長とともに進化を続け、持続的発展の基盤を固めていくだろう。