
首都圏北東部に位置する茨城県は、日立グループをはじめとする重電・インフラ産業、自動車部品、食品・家電・アパレルといった多彩な分野が集積する産業県である。研究学園都市つくばの先端技術とも連動し、製造業から小売、金融までを含む厚みのある産業構造を形成してきた。
本稿は決算短信・有価証券報告書など一次資料のみを突合し、連結売上高(金融は経常収益)を基準に“県内に本社(登記本店)を置く企業”20社で作成した最新ランキングだ。
20位 京三電機(古河市) 売上 444億5,900万円〈2024/3〉
名門ポイント:自動車向け電子部品の製造を主力とし、ワイヤーハーネスや電子制御ユニット(ECU)など、車両の運転制御・安全機能に不可欠な製品を幅広く手掛けている。
国内外の主要自動車メーカーと長年取引があり、品質・納期・コストのバランスに優れた供給体制を確立。発電機やスパーク制御など電装系部品も生産し、パワートレインや安全システムの性能向上に寄与している。関連会社にデンソーがあり、技術協力や共同開発を通じて高度な設計力と量産技術を確保している。生産拠点は国内外に分散し、グローバルな需要変動にも対応できる体制を整備。さらに、IoTやデータ解析を活用した生産監視や品質保証を進め、安定供給と不良低減を実現している。
自動車産業の電動化や自動運転の進展に伴い、さらなる高機能部品へのニーズが高まる中、高信頼部品の供給を通じて次世代モビリティの発展を支える存在として成長が期待される。
19位 茨城トヨペット(水戸市) 売上 474憶7,700万円〈2025/3〉
名門ポイント:トヨタブランドの販売ディーラーとして、県央・県北エリアを中心に新車・中古車販売、車検・整備、リース、保険、法人向けフリートサービスなど幅広い事業を展開している。地域の移動インフラを支える存在として、店舗ごとに顧客ニーズに応じた提案を行い、接客品質と整備技術に定評がある。ショールームの改装や設備更新を進め、来店体験をより快適にし、次世代型店舗としての機能を高めている点が特徴。
近年はハイブリッド車や電気自動車の普及にあわせ、充電インフラの整備やEV試乗イベントを実施し、電動化時代に向けた啓発活動にも積極的だ。加えて、中古車販売の拡大とサブスクリプション型サービスの導入など、新しいカーライフ提案を進めることで顧客層を広げている。
こうした地域密着の販売網とアフターサービス体制が、顧客との長期的な関係を築き、今後も次世代モビリティの普及を牽引する役割を果たしていくだろう。
18位 平成興業(ひたちなか市) 売上 550憶円〈2024/12〉
名門ポイント:パチンコホール「ZENT」を北関東を中心に展開し、アミューズメント事業を主軸とする企業である。茨城県に複数店舗を展開し、地域ごとの独自サービスや接客文化でリピーターを獲得してきた。
アミューズメント以外にも、商業施設開発や不動産賃貸、ホテル・飲食など複合的な地域展開を推進しており、事業エリアをエンタメから生活基盤へ拡大する総合都市創生企業へと進化を遂げている。地域との信頼関係を重視し、CSRとしてイベントや地域活動への参画も積極的。今後は、持続可能性に配慮した運営や生活密着型サービスの拡充を通じて、地域経済と暮らしを支える多面的企業としてさらなる成長が期待される。
次世代の地域インフラ的存在として、エンターテインメントを核にしながらも、新しい価値創造を担う企業としての役割を深めていくだろう。
17位 山新(水戸市) 売上 567億円〈2025/2〉
名門ポイント:ホームセンター事業を主軸とし、「山新」ブランドで茨城県内を中心に店舗を展開する。DIY資材、園芸用品、住宅関連商品、日用品まで幅広いカテゴリーを取り揃え、プロユーザーから一般家庭まで多様な顧客層を取り込んでいる。大型店舗では資材館・園芸館・ペット館など専門館を併設し、ワンストップで買物が完結できる利便性を提供している点が特徴だ。
近年はプライベートブランド商品の比率を高め、価格競争力と差別化を両立。店舗改装や売場導線の見直しによって買物体験の向上と効率化を同時に進めている。さらに、園芸教室やリフォーム相談会、地域イベントなどを通じて顧客接点を増やし、ホームセンターを暮らしの提案拠点として活用している。物流効率化やセルフレジ導入など省人化施策にも取り組み、収益基盤の強化を図る。
地域密着型経営と品揃え力を武器に、今後も住生活分野の需要変化に対応し、地域に愛される店舗として成長が期待される。
16位 日立建機ロジテック(土浦市) 売上 594憶円〈2024/3〉
名門ポイント:建設機械メーカーの物流・サービス機能を担う中核子会社として、建機の輸送、リース、整備、部品供給までを一体で提供する体制を構築している。土浦市を拠点に全国にネットワークを持ち、建設現場の稼働状況や作業計画に応じた迅速な部品配送や整備派遣を行い、ダウンタイムの最小化に貢献している点が特徴だ。
リース事業では短期・長期の両ニーズに対応し、ICT建機や環境対応型機械もラインナップに加えることで、施工現場の省力化や安全性向上に寄与している。整備部門では予防保全やリモート診断を活用し、機械寿命の延長と運用コスト低減を両立。さらに、環境負荷を抑えた再生部品の供給や、CO₂削減を意識した輸送計画など、サステナビリティにも取り組んでいる。
社会インフラ整備の需要が高まるなか、物流とサービスの両輪で現場を支える体制は今後ますます重要性を増し、脱炭素建機や次世代施工技術の普及局面でも存在感を強めていくだろう。
15位 茨城トヨタ自動車(水戸市) 売上 667憶9,473万円〈2024年度〉
名門ポイント:トヨタ、レクサス、フォルクスワーゲン、ダイハツの正規販売ディーラーとして、県内に50以上の拠点を持つ地域最大級の販売網を展開している。新車・中古車販売に加え、車検整備、保険、情報通信サービス(au・UQモバイル)まで幅広いサービスを一体的に提供し、カーライフ全般を支える体制を整えている。
特徴的なのは、1エリア1人のテリトリー営業制を導入し、担当者が長期的に顧客をフォローすることで深い信頼関係を築く点である。整備工場はトヨタ認定の最新設備を備え、定期点検から高度修理まで対応可能。安全啓発や地域イベントへの協賛、子ども向け職業体験などCSR活動にも積極的で、地域社会との接点を大切にしている。電動化やコネクテッドカーの普及に合わせ、EV充電設備や最新診断機器の導入も進めており、次世代モビリティ時代にふさわしい販売・サービス網へ進化しつつある。
今後も安心・快適な移動を支える存在として、地域のモビリティ文化の発展に貢献していくだろう。
14位 タカノフーズ(小美玉市) 売上 809億円〈2025/3〉
名門ポイント:納豆ブランド「おかめ納豆」で全国的に知られ、発酵食品メーカーとして高い知名度を持つ。茨城県内の複数工場を拠点に、納豆の製造・販売を主軸とし、全国のスーパーやコンビニに安定供給している。
長年培った発酵・包装技術を活かし、食感や風味を損なわない製品づくりに注力。近年は納豆に加え、豆腐や惣菜、調味料分野へも商品展開を広げ、食卓における存在感を高めている。原材料価格の高騰局面では、生産ラインの効率化や物流体制の見直しを進めるとともに、適正な価格改定を実施し、収益の安定を確保してきた。国内市場の成熟化を背景に、健康志向や簡便調理ニーズに応じた新商品の開発も進めており、若年層や単身世帯向けの個食パックやアレンジしやすい製品群が増えている。
伝統食品を基盤としながら、時代の変化に合わせた商品戦略を展開し、今後も日本の食文化を支えるリーディングカンパニーとして成長が期待される。
13位 ルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング(ひたちなか市) 売上 1,061億3,500万円〈2024/12〉
名門ポイント:日本の半導体メーカーであるルネサスエレクトロニクスの主要製造子会社として、車載マイコンやパワー半導体の量産を担う拠点である。ひたちなか市を中心に国内外の工場群で生産を行い、世界的な自動車産業のEVシフトに合わせて安定供給を続けている。
エンジン制御、車載ネットワーク、安全制御などに用いられるマイコンや、電動車向けインバータに必要なパワー半導体は同社の主力製品であり、高信頼性と量産技術の両面で強みを発揮している。製造ラインでは先端パッケージングや自動化設備を導入し、歩留まり向上とコスト低減を同時に実現。災害時の事業継続計画を整備し、供給途絶リスクへの備えも強化している。さらに、省エネルギー設備や再生可能エネルギー活用など環境対応も推進し、持続可能な生産体制を築いている。
次世代モビリティや自動運転の普及に伴う半導体需要拡大に応える中核拠点として、今後も技術革新と供給体制の強化が期待される。
12位 日立パワーソリューションズ(日立市) 売上 1,188億8,900万円〈2024/3〉
名門ポイント:発電設備や再生可能エネルギー設備の建設・運転・保守を主軸とし、社会インフラ全体の安定稼働を支える事業を展開している。制御技術やO&M(運転・保守)で長年培った知見を背景に、計画から設計、建設、運用、メンテナンスまで一貫対応できる体制を整えていることが特徴だ。これにより、顧客は複雑な設備プロジェクトを一括で委託でき、ライフサイクル全体のコスト最適化や稼働率向上を実現できる。近年は脱炭素社会への対応として、風力や太陽光発電の導入支援、蓄電池システムやスマートグリッド関連のソリューションにも注力。
こうした取り組みは、電力の安定供給と環境負荷低減を同時に実現するものであり、社会全体の持続可能性に寄与している。技術革新とエネルギー転換の追い風を受け、次世代のインフラづくりを担う存在として、今後さらに成長が期待される。
11位 株式会社ジョイパック(つくば市) 売上 1,194憶円〈2024/9〉
名門ポイント:アミューズメント事業を主軸とするエンターテインメント企業として、パチンコチェーン「ビックマーチ」を茨城県内を中心に23店舗展開する。店舗網は地域密着型を原則とし、常連層の支持を得ることで安定した集客を実現している。
営業は接客体制と「楽しさを提供する場」の創出に注力し、店舗スタッフによるイベント企画や地域住民との交流を通じてブランドの地域浸透を強めている。
加えて、飲食業・ホテル業・美容・海外飲食など多角的な事業にも挑戦し、エンターテインメントを軸とした複合サービス展開を進めている点が特徴。ECやDX活用にはまだ余地があるものの、地域に根ざした「楽しさの還元拠点」として、今後も幅広い世代に向けた娯楽空間の提供を通じ、新たなファンづくりと価値創造を図っていくだろう。
10位 ジョイフル本田(土浦市) 売上 1,289億8,000万円〈2025/6〉
名門ポイント:超大型ホームセンター業態を先駆的に展開し、資材・園芸・工具・インテリア・リフォームまでをワンストップで提供するのが特徴である。店舗は広大な売場面積と駐車場を備え、DIY愛好者からプロ職人まで幅広い顧客層を集客する力を持つ。
建築資材や木材のカットサービス、塗装・金物加工、リフォーム相談など、来店者の作業ニーズを支えるサービスを店舗内で完結できる点が強みとなっている。園芸やペット関連商品も充実しており、家族連れの来店動機を高めている。さらに、ホームセンターだけでなく大型複合商業施設の核店舗として出店し、食品スーパーや専門店と合わせた買物利便性を提供。ネット通販や店舗受取サービスの整備も進め、オンラインとオフラインの融合による顧客接点拡大に取り組んでいる。
広域商圏からの集客力と、専門性の高い商品・サービスの提供を両立することで、今後も住生活分野の多様なニーズを取り込み成長が期待される。
9位 タイヨー(神栖市) 売上 1,426億1,700万円〈2024/9〉
名門ポイント:食品スーパーマーケットチェーンを主軸とし、茨城・千葉・東京・埼玉の広域に「スーパータイヨー」「ビッグハウス」「イキイキ生鮮市場」、お酒専門の「ベストリカー」を展開する。商圏特性に応じてブランドを使い分け、郊外型大型店から都市型小型店まで幅広いフォーマットで出店するのが特徴だ。
青果・鮮魚・精肉の生鮮3品では鮮度や品揃えにこだわり、地場産品の取り扱いを強化して地域農業や漁業とも連携している。惣菜・ベーカリー部門では店内調理や品揃えの多様化を進め、日常の食卓を支える存在感を高めている。さらに、セルフレジ導入や物流効率化、電子マネーやアプリ会員サービスの拡充など、顧客利便性と店舗運営効率の両立を目指した施策を実施。物価高や人件費上昇といった外部環境に対応しつつ、地域の生活インフラとしての役割を果たしている。
今後もブランドごとの強みを活かし、利便性と新鮮さを兼ね備えた店舗づくりで成長が期待される。
8位 関彰商事(筑西市) 売上 1,500億円〈2025/3 グループ〉
名門ポイント:エネルギー、モビリティ、ビジネス、ライフ事業の四本柱に据える地域大手の総合商社である。ガソリンスタンド(SS)網に加え、車販・整備を担うディーラー事業、法人・公共向けのソリューション提供を組み合わせたグループ構成が特徴だ。
グループには、SSを核とする運輸・物流関連、ICT機器の販売・ネットワーク構築、さらには住宅リフォームや保険サービスを展開する企業群が含まれ、生活インフラ全般をカバーする体制を構築している。エネルギー供給の安定性と、車売買・整備・情報サービスを組み合わせたワンストップ受け皿として、地域の中小企業や自治体、住民の多様なニーズに応えられる。地域密着の総合サービスモデルを進化させることで収益基盤の強化を図り、グループ横断の協業体制を整備。脱炭素やデジタル化の流れにも対応すべく、再生可能エネルギーの取り扱いやICTソリューション強化にも取り組み始めている。
こうした事業多様化とグループの総力結集は、地域の将来を支える存在としての持続的成長へとつながるだろう。
7位 三桜工業(古河市) 売上 1,595億3,800万円〈2025/3〉
名門ポイント:自動車向けパイプ部品の開発・製造を主軸とし、燃料・ブレーキ・冷却系統などの流体制御部品を世界規模で供給している。軽量化と耐久性を両立させる加工技術を強みに、車両の燃費性能や安全性向上に寄与しており、国内外の完成車メーカーから高い信頼を得ている。
北米、アジア、欧州に生産拠点を持ち、現地調達・現地生産体制を整えることで、地域ごとの需要変動やサプライチェーンリスクへの耐性を高めている点が特徴だ。近年は自動車産業の電動化シフトに合わせ、EVやFCV向けの冷却配管、水素供給パイプなど新しい用途の製品開発に注力。研究開発投資も継続的に行い、量産技術と試作スピードの両面で競争力を高めている。
軽量化と環境対応を両立させる技術基盤を軸に、次世代モビリティ市場における存在感を一層強め、成長機会を広げていくだろう。
6位 JMホールディングス(土浦市) 売上 1,723億3,100万円〈2024/7〉
名門ポイント:食品流通事業を主軸とし、「ジャパンミート」や「肉のハナマサ」などの店舗ブランドを展開する。精肉の調達から加工、販売までをグループ内で一貫管理する体制を確立しており、調達コストの安定化と粗利益率の確保を両立している。特に業務用需要に強い首都圏の店舗網は、飲食店やホテルへの大量供給に対応できるスケールを持ち、景気変動時にも一定の売上を維持する基盤となっている。
IFRS基準への移行後も、売上収益は拡大基調にあり、既存店の改装や新規出店が着実に奏功していることが決算短信から読み取れる。また、グループ内で生鮮食品や惣菜を中心に付加価値商品の開発も進めており、PB(プライベートブランド)の拡充による収益改善も期待される。
多様な販路と物流機能を活かした高効率のバリューチェーンを強化することで、今後も地域社会に安定的な食の供給を担う存在として成長が続くだろう。
5位 日立GEベルノニュークリア・エナジー(日立市) 売上 1,781億6,100万円〈2025/3〉
名門ポイント:原子力発電所の設計、建設、試運転、運転支援、保守サービスを主軸に展開し、国内外の原子力事業に長年携わってきた。沸騰水型軽水炉を中心に、原子炉系・タービン系設備のエンジニアリングや据付工事、保全計画の立案まで幅広い工程を担う。安全性と信頼性を最優先に、国の規制基準や国際的な安全指針に準拠した設計改良や安全対策を継続している点が特徴だ。
運転中プラントの定期検査、機器更新、廃炉計画支援といったライフサイクルサービスも提供し、電力事業者の長期安定運営を支える役割を果たしている。海外では、小型モジュール炉(BWRX-300)など新型炉の導入計画への技術協力や、国際的な安全行動原則への参画を通じてプレゼンスを維持している。こうした活動は脱炭素電源の確保と技術継承に直結しており、今後も次世代エネルギーの基盤づくりに貢献する姿勢が期待される。
4位 カスミ(つくば市) 営業収益 2,750億2,900万円〈2025/2〉
名門ポイント:食品スーパーマーケット事業を中心に、茨城・千葉・埼玉を含む広域でドミナント出店を進めている。主力は生鮮3品と惣菜部門で、地域の買物需要を高頻度で取り込む構造を持つ。決算短信では、営業収益の安定成長とともに販売管理費の抑制が進み、利益率が改善していることが示されている。
さらに、グループの統合物流体制やプロセスセンターの機能整理と活用が計画されており、コスト効率化の取り組みが続いている。販促面ではスマートフォンアプリを活用した会員施策やポイントサービスを強化し、購買データを活かしたマーケティングを展開。立地戦略では、郊外型大型店だけでなく都市近郊の小商圏にも対応する店舗フォーマットを増やし、買物利便性を高めている。
これらの施策により、地域消費者との接点を深め、食のインフラとしての役割を果たしている。
3位 アダストリア(水戸市) 売上 2,931億1,000万円〈2025/2 連結〉
名門ポイント:アパレルSPA(製造小売一体型)事業を主軸とし、「グローバルワーク」や「ニコアンド」を展開する姿勢が、地域消費に応える新たな店舗モデルを確立している。
商品企画から製造・販売まで内製するビジネスモデルを活かし、商品供給と在庫をECと店舗で一体運用するオムニチャネル戦略を推進。これにより、店舗在庫の過剰と欠品を同時に抑制し、販売効率の改善に成功している。
リアル店舗での顧客体験を重視した売り場作りを補完するように、オンライン接客やスタイリング提案などのデジタル機能も強化中。これは店舗とネットの相乗効果を高め、ブランド価値と顧客満足を両立させる取り組みとして顕著である。
2位 めぶきフィナンシャルグループ(水戸市) 経常収益 3,601億6,300万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:常陽銀行と足利銀行を中核とする広域地方銀行グループとして、北関東から首都圏にかけて広がる営業基盤を持つ。預金・貸出ともに地域最大規模で、企業向け融資や個人ローンを含む幅広い金融ニーズに応えている。
近年は、事業承継やM&A、資産形成支援などのコンサルティングサービスを強化し、金融仲介にとどまらないソリューションビジネスへの比重を高めている。ディスクロージャー資料では、法人向けコンサル収益や手数料収益の増加が確認されており、収益源の多様化が進展。さらに、デジタル化対応としてスマート通帳やインターネットバンキングの機能拡充を進め、顧客接点の利便性を向上させている。
広域店舗網を活かした広範な営業ネットワークは、中小企業の経営支援や個人のライフプラン支援に寄与し、地域経済のインフラとしての役割を果たしている。
1位 ケーズホールディングス(水戸市) 売上 7,380億1,900万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:家電量販チェーン「ケーズデンキ」を中心とした事業モデルを展開し、郊外型の大型店を核にドミナント出店を進めてきた。価格政策は現金値引きを前提とした明瞭会計を徹底し、消費者にとって分かりやすい買物体験を提供している。こうした戦略は、価格競争が激しい家電市場において信頼と差別化を同時に実現するものである。
加えて、オンラインストアと店舗在庫をリアルタイムで連動させる仕組みを構築し、EC購入と店舗受取をシームレスに結ぶ対応を強化。余剰在庫の圧縮や物流効率の向上が進み、収益性の改善にもつながっている。さらに、長期保証や訪問修理、設置サービスなどアフターサポートを重視し、購入後の顧客体験を含めた満足度を高めてきた。
こうした一連の取り組みがリピーターの増加と口コミ評価の維持につながり、厳しい競争環境下でも安定した成長を支える要因となっている。
総評
茨城県の産業は、消費、製造、インフラ、金融、サービスの5分野がバランス良く構成される。消費分野では食品スーパーや家電量販、アパレルが商圏支配力と効率経営で安定成長を実現。製造分野は自動車部品や半導体が集積し、EV・次世代半導体など新市場への対応が進む。インフラでは電力・原子力・再エネ関連が地域雇用を支え、脱炭素と技術継承の要となる。金融・物流は事業者支援や統合物流で地域経済を下支え。さらに、アミューズメント・サービスが生活文化を豊かにしている。これら多層的な産業が連携することで、県経済は「消費×製造×研究」の好循環を形成し、今後も技術革新と地域密着サービスで発展が期待される。