
右肩痛からの復帰をかけた最終テストへ
米大リーグ・ドジャースの佐々木朗希投手(23)が、ついに復帰への正念場を迎えている。右肩のインピンジメント症候群(肩の骨や筋肉がぶつかって炎症や痛みを引き起こす症状)により、5月から戦列を離脱していた佐々木。5月9日のダイヤモンドバックス戦で、中5日という短い間隔で先発した直後に異常を訴え、以降は治療とリハビリに専念してきた。
肩の故障から続いた長期離脱
佐々木は単なる治療だけでなく、故障再発を防ぐためのフォーム改善や肉体強化にも取り組んできた。その努力が実り、8月14日にマイナーリーグで実戦復帰を果たした。
しかし、ここまで3試合に登板した結果は防御率7.00と厳しい数字。予定された投球回数を投げ切れず、制球難に苦しむなど課題が残っているのが現状だ。
復帰条件は「3つの壁」
ドジャースのデーブ・ロバーツ監督は、佐々木のメジャー復帰に必要な条件を明確に示している。
- 75球を投げ切ること
- 5イニングを投げ切ること
- 球速を上げること(目安は100マイル=約161キロ)
佐々木は8月26日の3Aメンフィス戦で75球を投げ、ひとつ目の条件は達成。しかし、球速は最速98.8マイル(約159キロ)にとどまり、四回に制球を乱して途中降板となった。
依然として「5回」と「球速アップ」の課題が立ちはだかる。
本人もその難しさを理解している。20日の登板後には「今すぐ100マイルを出せるかは分からない」と慎重な姿勢を見せつつも、「自分には100マイルを投げる力がある」と強い自負を口にした。
ツーシームやカットボールといった新しい球種の習得にも取り組む一方で、「自分は直球とフォークで勝負する投手」と、軸となる投球スタイルを崩さない覚悟を示した。
一方で、ドジャースのチーム事情は佐々木の復帰を急がせない。序盤は故障者続出で先発ローテーションが苦しい時期もあったが、
現在は山本由伸、カーショー、スネル、グラスノー、大谷翔平、シーハンと充実した布陣が整い、8月にはメジャー最多の月間13勝を記録。防御率も3.28と安定感を見せ、地区首位を走っている。
ロバーツ監督も「来週、投げた後に決めたい」とコメントしつつ、「彼の映像は見ていない」と冷めた言葉を口にした。これは、現時点で佐々木がチームに不可欠な存在ではないことを示しているとも言える。
9月1日からはメジャーのベンチ入り選手枠が26人から28人に拡大されるが、同時に故障者リスト入りしている救援投手コペックや主力野手のマンシー、エドマン、金慧成らの復帰が近づいている。
枠が広がる中で誰を登録するかは難しい判断だが、佐々木が後回しにされても不思議ではない。
SNSで広がる期待と辛辣な批判
佐々木の復帰を巡ってはSNSでも大きな注目を集めている。
応援の声もあるが、厳しい意見が増えつつあるのが実情だ。
「100マイルを出せると言いながら制球も不安定。メジャーでは通用していない」
「防御率7点台で復帰を期待するのは無理がある」
「ドジャースは先発が足りている。朗希は必要とされていないのでは」
中には、メジャー挑戦そのものに疑問を投げかける声も少なくない。
「日本で実績を積んでから渡米するべきだった」
「早すぎた挑戦。今の姿は“見切り発車”の結果に見える」
「このまま伸び悩むなら、日本球界に戻った方がいいのでは」
一方で、依然として復帰を待ち望むファンも存在する。
「まだ23歳、長い目で見れば必ず成功する」
「無理をせず、来年以降にピークを迎えられればいい」
こうした声は励ましであると同時に、佐々木に対する期待値の高さを物語っている。しかし、メジャーの舞台では「成績がすべて」。ファンからの辛辣な批判は、彼に課せられた現実の重さを映し出している。
今後の焦点と岐路
佐々木にとって、週明けのマイナー4度目の登板は「最終テスト」となる可能性が高い。
- 5回を投げ切れるか
- 球速を上げられるか
この2つの条件を満たせなければ、今季のメジャー復帰はさらに遠のくだろう。チームがすでに地区首位を固めつつあることを考えれば、佐々木の「今シーズンの居場所」は見いだしにくい。
さらに10月のプレーオフでは、先発を4人に絞り込む作業が進む。大谷翔平でさえ配置転換が話題になる中で、実績のない佐々木に出番が回ってくる保証はない。
ファンの間でくすぶる「日本に戻った方が良いのでは」という声も、現状を象徴している。早期挑戦が正しかったのか、いまはまだ答えが出ない。ただ確かなのは、この先数試合の結果が、佐々木朗希という投手のキャリアにおいて極めて大きな分岐点になるということだ。