
大阪府吹田市のダスキンが運営する「ミスタードーナツ」が、2025年11月上旬からポケモン(東京都港区)とのコラボレーションを開始する。今年で8年目を迎えるこの取り組みは、ピカチュウやディグダをはじめとする人気キャラクターをドーナツに仕立て、限定グッズと共に展開される“冬の恒例イベント”へと成長してきた。
冬の風物詩として定着
2017年に始まったコラボは、毎年年末年始シーズンに合わせて実施され、ファミリー層を中心に熱烈な支持を獲得。
過去には「ポン・デ・モンスターボール」や「ラッキー ドーナツ」、そして昨年の「ポン・デ・ディグダ」などが登場し、SNSでは「可愛すぎて食べられない」「家族で並んで買うのが恒例になっている」と話題になった。
2025年は“進化したピカチュウ ドーナツ”のリニューアルに加え、新たなポケモンをモチーフにしたドーナツが発売予定。既にファンの間では「次は誰が登場するのか」と憶測が飛び交っている。
歴代の人気ラインナップ
- 2018年:「ピカチュウ ドーナツ」初登場、大ヒットに
- 2019年:「ポン・デ・モンスターボール」で話題拡散
- 2020年:「ラッキー ドーナツ」が癒し枠として好評
- 2021年:「イーブイ ドーナツ」が仲間入りしSNS映え需要を獲得
- 2022年:復刻商品でリピーター確保
- 2023年:「ポン・デ・ディグダ」が爆発的人気に
限定性と毎年の刷新が、飽きられない仕組みとして機能してきた。
経済効果とブランド戦略
発売初日から長蛇の列ができ、グッズは即日完売するケースも少なくない。外食業界全体が厳しい状況にあるなかで、ポケモンとのコラボはミスドにとって安定した集客策だ。
マーケティング専門家は「このコラボは商品販売にとどまらず、消費者に“体験”を提供している。子どもとの思い出やSNSでのシェアが購買動機となり、顧客ロイヤルティを強めている」と指摘する。
ポケモン側の狙い――IP戦略の一環
ポケモンは「ゲーム」「アニメ」「映画」だけでなく、「食品」「雑貨」「アパレル」まで広がる“日常ブランド化”を推進している。ミスドコラボはその一環であり、
- 家族で楽しめる接点を作る
- 限定グッズでコレクション欲を刺激
- 海外展開に向けた布石を打つ
といった狙いがある。
特に東南アジアでも人気が高いミスタードーナツと組むことで、将来的なグローバル展開の足場にもなり得る。
消費者の購買行動に表れる熱狂
人気コラボの裏側では、消費者の購買行動にも特徴が見られる。
- 早朝からの行列:発売初日には店舗前に長蛇の列ができ、整理券が配布される店舗もある。
- 予約殺到:一部店舗では事前予約を受け付けるが、即日上限に達するケースも多い。
- 転売問題:限定グッズはオークションサイトで定価の数倍で出品されることもあり、入手困難さが“プレミア感”をさらに高めている。
- SNS拡散:購入したドーナツを写真に撮り、InstagramやX(旧Twitter)で投稿することが一種のステータスになっている。
消費者行動が話題化を後押しし、それ自体が宣伝効果となる「二次的拡散モデル」が確立していることが分かる。
他社コラボとの比較
- マクドナルド×ポケモン:ハッピーセットで子ども需要を掘り起こすが、短期型。
- サーティワン×ポケモン:夏向け商品で人気、ただし季節感は限定的。
- ミスド×ポケモン:冬季シーズンに定着し、家族で楽しむ「恒例行事」にまで進化。
ミスドは「冬×ファミリー×シェア体験」という強固な軸を築いたことで、他社にはない持続性を確保している。
まとめ
8年目を迎えるミスド×ポケモンのコラボは、冬の甘い風物詩として定着した。単なる限定商品を超えて、消費者の行動や社会現象を巻き込み、経済効果も大きい。
今年もまた、ピカチュウや新ポケモンが笑顔と行列を生み出し、SNSをにぎわせるだろう。両社の戦略と消費者の熱狂が重なり合うこの企画は、2025年の冬を象徴するイベントになるに違いない。