
広島県の名門・広陵高校野球部において、1年生部員に対する暴行・性加害を含む重大ないじめ事件が発生していたことが明らかとなった。事件は2025年1月に起きたとされ、現在SNS上では「甲子園出場を辞退すべきではないか」との批判が高まっている。初戦を控えた広陵ナインに今、逆風が吹いている。
「カップ麺を食べた」ことから始まった暴行の連鎖
発端は、1年生部員が寮内でカップラーメンを食べたという些細な行動だった。これが2年生(当時)に知られ、「正座させられ10人以上に囲まれ蹴られた」「顔も殴られ、死ぬかと思った」と証言している。
さらにその暴行に加わった上級生の一部からは「チ◯コを舐めろ」といった性的な強要もあったという。これらは、部員の親による告発文や、X(旧Twitter)上に投稿された記録メモ、さらには直筆と思われる聞き取りノートにも詳細に記されている。
被害者が監督に相談するも“逆に圧力”
1年生部員は監督に直接相談したが、その対応もまた被害者を追い詰めた。
「お前、嘘はつくなよ。お前の両親もどうかしてるな。俺なら家に入れんわ」
監督は高野連への報告の必要性を口にする一方で、「2年生の対外試合がなくなってもいいのか?」と圧をかけるようなやり取りを繰り返した。さらに、「出されたら困りますやろ」と言葉を封じる場面もあったとされ、当初、事件の“揉み消し”が図られた可能性がある。
高野連からの「厳重注意」と転校、その後の被害届提出
学校側は事件を受けて独自の聞き取り調査を行い、指導を実施。高野連にも報告し、2025年3月に「厳重注意処分」が下された。しかし、被害を受けた部員はすでに退学・転校しており、7月には警察に正式に被害届が提出された。
これにより事件は再燃し、SNSを中心に批判の声が噴出している。
SNS上に広がる怒りと疑問
SNS上では、「いじめという言葉で済ませるレベルではない」「刑事事件であり、なぜ甲子園出場が認められているのか理解できない」といった声が相次いでいる。
「被害者の子も広陵に入れるほどの実力のある選手。夢を持って努力してきたはずなのに、集団で暴行され、相談しても監督に責められ、最後は学校を去るしかなかった。これが“厳重注意”で済むのか」
「これは野球部の問題というより、学校全体のガバナンス問題。出場を辞退しないこと自体が信じられない」
高校野球の「美しさ」や「感動」が強調される中で、その裏側にある現実に対し、失望の声が高まっている。
広陵高校・高野連の対応と今後の行方
学校側は8月5日、報道機関の取材に対し「事実関係は確認済みであり、しかるべき処分はすでに行われた」と説明。高野連も同様に「厳重注意処分」で決着を図っていたが、警察への被害届提出後の対応については明言を避けている。
広陵高校は8月7日に甲子園で初戦を迎える予定だが、「関係した上級生の出場を見合わせるべきではないか」「チーム全体で辞退すべきだ」という世論が高まりつつある。
また、SNS上では事件の詳細を知る内部関係者と見られるアカウントからの告発も複数拡散しており、今後さらなる証言が明らかになる可能性がある。
スポーツと暴力の断絶は可能か
かつてから高校野球界には、厳しい上下関係や寮生活における指導と称した暴力・いじめの問題が根深く存在してきた。SNSでは他校での類似事例や、元プロ選手による後輩への暴力といった証言も投稿されている。
今回の広陵高校の件が一石を投じ、「甲子園出場=正義」とするような社会的空気の見直しや、高校スポーツにおけるガバナンスの再構築につながるのかが注目される。