ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

イスラエルがイランの核施設を攻撃 テヘラン全域で爆発、革命防衛隊幹部死亡も 報復と中東戦争の危機拡大

コラム&ニュース コラム ニュース
リンクをコピー
イラン、イスラエルが攻撃

イスラエルが6月13日未明、イランの首都テヘランを含む複数都市に対し、大規模な軍事攻撃を実施した。狙いはイランの核施設および弾道ミサイル関連施設とされ、テヘラン全域では爆発音が響き渡り、黒煙が立ち上る様子が各通信社によって確認された。イラン国営メディアによると、革命防衛隊の幹部ら複数が死亡したという。

この攻撃をめぐっては、単なる軍事行動にとどまらず、国家間の情報戦・世論戦が激しさを増しているとの見方もある。イランの最高指導者ハメネイ師は「イスラエルは苦痛に満ちた運命に直面するだろう」と強い言葉で非難した。一方、イスラエル側ではネタニヤフ首相が「国家の存亡に関わる差し迫った脅威を排除する」として、作戦の正当性を国民と世界に訴えている。

 

情報の戦争:爆撃とともに展開される世論操作

この攻撃の背景には、イランの核開発そのものへの危機感に加え、両国がそれぞれの国内世論や国際社会に向けて仕掛ける情報戦略がある。イスラエルでは、ガザでの軍事作戦が長期化するなか、ネタニヤフ政権に対する国内批判が高まっていた。今回の攻撃は、そうした批判をかわし、「真の脅威」であるイランへの関心を向けさせる狙いも指摘される。

同時に、イラン側も攻撃を「革命防衛隊幹部が命を落とすほどの国家的危機」として描き、外敵による侵略に結束するよう国民に呼びかけている。テヘランの地下施設やナタンツの核施設周辺では、市民が防空壕へ避難したとするSNS投稿も多く、国民感情を刺激する“絵”が互いの国家を動かす材料となっている

 

核施設攻撃の“実効性”に疑問の声

イスラエルが狙ったのは、イランの核濃縮施設やミサイル開発拠点であるが、こうした軍事行動が実際に核兵器の製造や配備を「阻止」できるかどうかには、専門家の間でも評価が割れている。

アメリカの情報機関は、現時点で「イランは核兵器開発の意志を持っていない」としており、IAEA(国際原子力機関)も「透明性の欠如」を非難する一方、イランが実際にどの程度の技術的進展を遂げているかについては評価を明言していない。
このため、「核施設への攻撃が実際には逆効果となり、イランの姿勢を硬化させるだけではないか」と懸念する声もある。

さらに、今回の作戦では「複数の科学者が死亡した」との報道もあるが、核技術の知見は個人に属するものではなく、人的損失だけでは計画全体の停止には至らないとの冷静な分析もある。

 

日本の視点:中東に振り回されるエネルギーと外交

本件は日本にとっても決して対岸の火事ではない。日本のエネルギー政策は今なお中東依存度が高く、ホルムズ海峡を経由する原油輸入の安全保障が改めて問われている。今回の攻撃を受けて、ブレント原油価格が8%近く上昇し、早ければ数週間で日本のガソリン価格にも反映されると見られる。

また、日本政府は中東問題に対して明確な外交姿勢を示す場面が少なく、G7や国連安保理における影響力も限定的とされる。経済的には当事者でありながら、地政学的には傍観者に近い状況は、今後の国際的地位や外交信用にもかかわる重要課題だ。

2024年以降、日本が掲げる「自由で開かれたインド太平洋」は中東情勢との接続が不明瞭なままで、アジアと中東の連動性に鈍感であり続ける限り、世界の安全保障構図から取り残される危険もある。

 

報復の連鎖は避けられるか

ネタニヤフ首相は「数ヶ月以内に核兵器を持たれる可能性を断つための自衛」と強調するが、イランの反応次第では、イスラエル本土に対するミサイル攻撃やテロ活動の激化も懸念される。すでにイスラエル国内の空港やインフラは一時的に封鎖され、市民には避難命令が出されている。

カッツ国防相は「ミサイル・ドローン攻撃は時間の問題」と警告。報復の連鎖を断ち切る手段がないまま、情報、軍事、経済、外交のあらゆる戦線が開かれつつある

【関連するおすすめ記事】

Tags

ライター:

ライターアイコン

寒天 かんたろう

> このライターの記事一覧

ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

関連記事

タグ