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大阪万博2億円トイレ問題に建築家・米澤隆氏が反論「設計意図を理解してほしい」

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ネットで話題の“2億円トイレ” 設計者がXで説明

大阪・関西万博トイレ
米澤隆さんが公開した万博のトイレの写真(Xより)

大阪・関西万博で設置される“2億円トイレ”を巡る議論が加熱する中、その設計者である建築家・米澤隆氏がXで自身の見解を公表した。トイレの完成写真がネット上に流出し、「仮設トイレにしか見えない」「2億円の価値があるのか」といった批判が相次いでいたが、米澤氏は設計意図やコストの内訳について詳細に説明し、誤解の払拭を試みた。

 

「2億円」の背景とは? 米澤氏の説明

米澤氏は投稿の中で、まず流出した写真について「建築の一部に過ぎない」と指摘。実際には46基のトイレが配置されており、設計全体の評価には全貌を見る必要があると述べた。また、「2億円トイレ」という名称が、ラグジュアリーなものを想像させたことで、現実とのギャップを生み、批判につながったとの見方を示した。

「吉村洋文知事が『万博トイレ2億円!について説明します。まず小さいトイレでなく大規模トイレです。2箇所あり、平米単価は77万円と64万円です。建設物価調査会の調査では21〜22年の公共トイレ施設の平米単価は98万円です。』と説明されているように、公共事業としては決して高額ではありません」と米澤氏は主張。

さらに「半年間のイベントのために多額の費用をかけるのは経済的にも環境的にも負担が大きい」との問題意識が設計当初からあったと強調した。

 

設計の意図は? 簡素な素材に込められた狙い

「万博後の再利用を見据えた設計がコンセプトでした。トイレ建築を様々な形や色のブロックで構成し、閉会後はブロック単位で分解・移設できる仕組みを採用しました。公園や広場などで再利用することを前提にした設計です」と米澤氏は説明。さらに、「単体のトイレブースを見ると簡素なものに見えるかもしれませんが、積み木のように組み合わせることで、豊かな空間を創出することを意図しました」と付け加えた。

簡素な素材を採用した理由についても、「リッチなデザインを追求するのではなく、シンプルな素材を用いながらも新しい形態を模索しました。例えば、波板は軽量で扱いやすく、組み換えが可能な特性を持っています」と述べている。

 

「中抜き」批判に反論 公共入札の厳格なプロセス

建設費の「中抜き」疑惑についても言及。「公共建築物であるため、厳正なプロセスに基づいて施工者が選定されました。一般競争入札が行われ、2度の不落不調を経て3度目でようやく落札されたのが実情です」と説明した。さらに、「多くの方が指摘するような『中抜き』が行われるような経済的なうまみのある案件ではないことは、入札の難航が示していると思います」と強調した。

また、仕様についても「批判を受けて見直しを行い、最終的に解体費込みで約1.5億円(税抜)にまでコストを抑えました」と述べた。

SNSの反応 「2億円トイレ」に対するさまざまな声

米澤氏の説明を受け、SNSでは賛否両論が巻き起こっている。

「説明を聞くと、確かにちゃんとした設計意図があるんだなと思った。でも、それが伝わらなかったのも問題かも」 「移設を前提にした設計は面白いけど、やっぱり見た目がチープに見えるのは否めない」 「批判が先行しすぎて、ちゃんとした説明がないまま炎上していたのかもしれない」

一方で、「税金を使っている以上、もっと納得できる形で説明が必要だったのでは?」との指摘も見られ、引き続き議論は続きそうだ。

 

「実物を見て判断を」 米澤氏が呼びかけ

米澤氏は「様々なご意見があると思いますが、ぜひ実際に万博会場に足を運んで、実物をご覧いただければ」と呼びかけた。万博終了後の活用方法についても、今後の議論の行方が注目される。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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