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チョコレート値上げ カカオの価格推移と今後の影響を解説

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カカオ価格の高騰が止まらない。2023年初頭から上昇を続け、2025年1月には1トンあたり10,000ドルを超えた。この影響でチョコレート製品の価格が急騰し、一部の洋菓子店は経営難に陥っている。なぜここまで価格が上昇したのか?本記事では、カカオショックの背景と今後の影響を徹底解説する。

 

カカオ価格の推移と高騰の実態

近年、カカオ価格は異常なまでの高騰を見せている。国際ココア機関(ICCO)のデータによると、2023年1月には1キログラムあたり2.62ドルだったカカオ価格が、2025年1月には10.75ドルにまで急騰した。この上昇幅は過去数十年で例がなく、業界関係者の間では「カカオショック」と呼ばれている。

カカオ価格の推移(2022〜2025年)

年月価格(USドル/kg)
2022/012.47
2023/012.62
2024/014.40
2024/049.74
2025/0110.75

このような急激な価格高騰が発生する背景には、複数の要因が絡み合っている。

カカオ価格高騰の主な要因

(1) 気候変動による供給不足

カカオの主要生産地である西アフリカ(コートジボワール、ガーナ)では、近年異常気象が頻発している。2023〜2024年のシーズンには、降雨量が例年より40%以上増加し、それに伴う洪水で多くのカカオ農園が被害を受けた。一方で、一部地域では干ばつが発生し、収穫量が大幅に減少している。

さらに、カカオの木は病害に弱く、「スウェリングシュート病(Swollen Shoot Disease)」と呼ばれるウイルス感染症により木が枯れ、収穫不能になることがある。この病気はアブラムシを媒介として広がり、感染した木は数年のうちに枯死するため、農家にとっては深刻な脅威となっている。2023年以降、この病害がコートジボワールやガーナで深刻化し、農家は壊滅的な被害を受けた。

(2) 生産コストの上昇

カカオ農家の多くは貧困層であり、十分な設備投資を行えないのが現状だ。しかし、最近では農家の待遇改善を目的とした国際的な圧力が高まり、各国政府は農家支援策を導入した。これにより、最低買取価格の引き上げが行われたが、結果として生産コストの上昇に直結し、価格がさらに高騰する要因となっている。

(3) 国際経済の影響

ウクライナ戦争や中東情勢の不安定化により、世界的な物流コストが上昇していることも要因だ。特に、カカオ豆を輸送するための船舶燃料や保険料が高騰し、輸送コストが大幅に増加した。また、日本国内では円安が進行しており、カカオの輸入価格がさらに押し上げられた。これにより、チョコレートを製造・販売する企業は価格の引き上げを余儀なくされている。

(4) 投機市場の影響

カカオ価格の高騰を見込んで、投資家やヘッジファンドがカカオ先物市場に参入し、価格の上昇を加速させている。特に、2024年以降は供給不足が続いているため、先物市場での価格操作が行われやすい状況となっている。これにより、実際の需給バランス以上に価格が吊り上げられ、カカオの市場価格が不安定化している。

「カカオショック」がもたらす影響

 

(1) チョコレート製品の価格上昇

2025年のバレンタインシーズンの調査によると、1粒あたりのチョコレート価格は418円と前年比5.8%の上昇。日本ブランドは400円(前年比6.4%増)、海外ブランドは435円(前年比6.1%増)と、過去最高額を更新した。

(2) 洋菓子業界の倒産増加

帝国データバンクによると、2024年1〜5月の「街の洋菓子店」の倒産件数は18件に達し、2019年の年間最多記録(49件)を超える可能性がある。倒産の主な要因は、砂糖やバター、小麦粉などの原材料価格の高騰に起因されるが、原材料の一つでもあるカカオ価格の高騰も大きな影響を与えていることは間違いない。

(3) シュリンクフレーションの進行

一部のメーカーでは、チョコレートの内容量を減らし価格を維持する「シュリンクフレーション」を実施。これにより、消費者が気づかないうちに実質的な値上げが進んでいることもある。また、カカオバターの代替として植物油を使用するケースも増えている。

今後の見通し

カカオ価格の高騰は一時的な現象ではなく、今後も継続する可能性が高い。特に、西アフリカでの気候変動や病害の深刻化、生産国の政策変更が価格に与える影響は大きい。さらに、EUが進める森林破壊防止政策により、生産地域の規制が厳しくなることで供給量の減少が予想されている。

また、大手チョコレートメーカーは、カカオバターの代替としてシアバターや植物油を使用するなど、コスト削減の動きを強めている。カカオ含有量の少ない製品の開発や、代替原料を活用した新たなスイーツの市場開拓も進められることだろう。

まとめ

カカオ価格の高騰は、気候変動、生産コストの増加、国際経済の影響、投機市場の動向など、さまざまな要因が絡み合って発生している。これにより、チョコレート製品の価格が上昇し、小規模な洋菓子店の倒産が増加するなど、業界全体に深刻な影響を与えている。

今後も価格の高止まりが予想されるなか、消費者は持続可能な選択を行うことで、カカオ産業の未来を支えることができるだろう。

【参照】
2025年シーズン「バレンタインチョコレート」価格調査(帝国データバンク)
「洋菓子店」の倒産動向調査(2024年1-5月)(帝国データバンク)

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ライター:

女性向け雑誌にて取材・執筆及び編集に従事。独立後は、ライフスタイルやファッションを中心に、実体験や取材をもとにリアルな視点でトレンドを発信。読者が日々の生活をより豊かに楽しめるような記事を提供し続けていることがモットー。

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