
公共図書館や学校図書館で働く非正規職員の雇用の安定や待遇改善を求める院内集会が2月19日、東京都千代田区の衆議院第1議員会館で開催された。地方自治体が運営する公共図書館では職員の4割以上、学校図書館では9割近くが「会計年度任用職員」として1年ごとに契約される形で雇用されている。集会では、こうした不安定な雇用形態による労働環境の厳しさが浮き彫りとなった。
集会は、図書館問題研究会や公務非正規女性全国ネットワークなど6団体で構成される実行委員会によって開かれ、日本図書館協会(日図協)も協力した。与野党の国会議員や関係省庁の担当者も参加し、図書館職員の労働環境の実態について意見が交わされた。
この問題を報じた弁護士ドットコムのニュースがSNSで話題となり、多くのユーザーが現状に対する意見を発信している。
過酷な労働環境、低賃金が常態化
文部科学省は「1校につき学校司書1人」の配置を推進しているが、現場では1人の職員が複数の学校を掛け持ちしている実態があることが報告された。また、2023年に日図協が実施した調査によると、会計年度任用職員の平均月収はフルタイム勤務で約17万3000円であり、正規職員の平均月収31万9000円とは大きな差がある。
こうした状況について、職員からは「20年近く働いているが、待遇は一向に改善されない」「ボーナスが支給されたものの、時給が100円下げられ、年収は変わらない」といった厳しい現状を訴える声が寄せられた。
現場の声:非正規職員の嘆き
図書館で20年以上働いている非正規職員の佐藤さん(仮名)は、厳しい現状をこう語る。
「これだけ長く働いていても、昇給は一切なく、いつ雇い止めになるかもわからない。毎年契約更新の不安を抱えながら、図書館の運営を支えてきたのに、私たちの仕事は正当に評価されていないと感じる。正規職員と同じ仕事をしていても、給料は半分以下です」
佐藤さんは、日々の仕事にやりがいを感じながらも、生活の不安が尽きないと訴える。
「子どもを育てながら働いていますが、非正規の低賃金では教育費の負担が大きい。何度も転職を考えましたが、図書館の仕事が好きだからこそ踏みとどまっている。だけど、このままでいいとは思えません」。
SNSの反応
SNSでは、非正規雇用の現状に対して多くの意見が寄せられている。「人が働くのは生活のためであり、趣味ではない」と訴える声もあり、非正規雇用が経済的な合理性のもとで推進される一方で、少子化や社会不安を助長しているのではないかと危惧する意見が見られる。
また、「国や自治体が積極的に非正規雇用を活用している限り、一般企業でも改善は期待できない」とし、長期的な視点に立った雇用政策の必要性を指摘する声も上がっている。さらに、「図書館の役割は依然として重要だが、デジタル化の進展と財政難によって職員の雇用が脅かされている」という懸念も広がっている。
「専門職としてのスキルを持つ人々が低賃金で働かされているのは大きな問題だ」との指摘もあり、待遇の向上がなければ、専門性の高い職員を確保し続けることが難しくなるとの見解が多く見られた。「実際に現場で働いている人々の声を聞くべきだ」との意見もあり、SNS上では非正規雇用の仕組みそのものを疑問視する声が相次いでいる。
賃金格差と今後の課題
非正規雇用の待遇問題は図書館職員に限らず、広範な職種に共通する社会的課題となっている。総務省のデータによると、非正規雇用の平均賃金は正規雇用の約6割程度にとどまり、特に女性や専門職の非正規労働者において賃金格差が深刻化している。
「このままの状況を放置すれば、図書館のみならず、日本社会全体で専門職の衰退が進んでしまうのではないか」——こうした懸念が広がる中、今こそ雇用の在り方を見直す時ではないだろうか。