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ミュゼプラチナム、社員給料遅配に取締役解任 創業者高橋仁から船井電機まで流転の人生悲喜こもごも

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全国展開を果たした脱毛サロンの雄、なぜ苦境に?

ミュゼプラチナム
ミュゼプラチナム PRTIMESより(提供:KOC JAPAN)

かつて脱毛サロン業界のトップを走り続けた「ミュゼプラチナム」が、経営難により存亡の危機に瀕している。累計会員数450万人を誇り、CMや広告で広く知られた同社だが、拡大戦略の裏で財務状況は悪化。経営権は次々と移り変わり、最終的には香港系企業KOCが親会社となったものの、再建の見通しは不透明だ。

ミュゼといえば、山手線の電車内広告に有名女優を起用し、一世を風靡したことでも知られる。しかし、その輝かしいブランドイメージとは裏腹に、会社の財務状況は厳しさを増していた。

創業者・高橋仁氏の圧倒的カリスマ性と企業成長の軌跡

ミュゼプラチナムは2003年、福島県出身の実業家・高橋仁氏によって創業された。高橋氏は立教大学卒業後、不動産会社を経て美容業界へと転身。美容部門の責任者として活躍しながら、2002年に独立してジンコーポレーションを設立した。

筆者は過去に高橋氏と対面したことがあるが、その際、彼のオーラに圧倒された。確か恵比寿に会社があり、フロアに入ると、美女たちがずらりとデスクワークをしていた。その大部屋のなかに、ガラス張りの仕切り部屋があり、そこにスラリとした立ち姿の高橋氏がいた。腕には、見たこともないガチャガチャしたパーツのついた高級時計が見え、一代で富を築いた創業社長のパワーを象徴するかのようだった。馬主オーナーとしても由目立った彼の手腕によってミュゼは瞬く間に業界のトップへと駆け上がった。

低価格で手軽に脱毛できる「100円脱毛キャンペーン」を打ち出し、当時の若年層女性から圧倒的な支持を受けた。同時に、積極的な広告展開により全国規模のブランドへと成長。しかし、この急成長が同社の財務状況を圧迫することになる。

急拡大の代償、オーナー流転の経営難

莫大な広告費と急速な事業拡大が経営を逼迫し、2015年には旧ライブドアの流れをくむ医療機器メーカーRVHが買収。しかし、脱毛サロンの経営ノウハウがなかったRVHは事業再建に苦しみ、たかの友梨氏へと転売。その後、昨年倒産で話題となった船井電機が買収。そもそも美容家電とのシナジーを狙ったものの、ミュゼの放漫経営による負債を支えきれずに経営破綻したのが船井電機の真相だ。

現在は香港系企業KOCの傘下にあると思われるが、経営再建の兆しは見えず、顧客離れも進んでいる。

ミュゼプラチナム KOCJAPAN
KOCはミュゼプラチナムの100%親会社であるミュゼプラチナシステムズ合同会社を2024年4月1日をもって買収したことを開示していたのだが……提供:KOC JAPAN

給与遅配、取締役全員解任 崩壊の兆し

ミュゼの経営不振は従業員にも影響を及ぼしている。2024年11月から3カ月連続で給与遅配が発生し、2025年2月14日には全取締役が解任される事態に発展した。このニュースは「週刊文春」の報道によるものであり、内部情報のリークによって明らかになった。

SNS上では、「生活費が足りず困窮している」 「シングルマザーの同僚が家賃滞納に追い込まれている」などの悲痛な声が広がっている。

また、前社長の三原孔明氏は社内向けZoom会議で「神社でお祈りしてきました」と発言し、従業員の不信感を募らせた。サロンの備品削減が進み、施術時に必要な紙ショーツが有料化されるなど、サービスの質も著しく低下している。

顧客対応にも影響──クーリング・オフの返金遅滞

経営難の影響は顧客にも及んでいる。本来、契約後8日以内であればクーリング・オフ制度を利用できるはずが、資金繰りの悪化により返金が滞っている状態だ。従業員は本部から「システムエラーで処理が遅れている」と説明するよう指示されており、顧客からの信頼も失われつつある。

また、店舗で販売していたコスメ商品が欠品し続けているにもかかわらず、顧客には「好評につき売り切れ」と虚偽の説明をするよう指示されているという証言もある。

SNSでも厳しい声「脱毛サロン業界の未来は厳しい」

SNS上では、「かつては予約が取れないほど人気だったが、今は家庭用脱毛器の方がコスパが良い」 「倒産リスクのある企業を安易に紹介するのは問題」といった意見が相次いでいる。美容業界全体が、SNSインフルエンサーの影響を受けやすい状況の中で、ミュゼの信頼回復は容易ではない。

美容脱毛サロン業界の今後

かつて一代で築かれたミュゼプラチナムは、急成長の代償として迷走を続けている。現在の親会社KOCの下で経営再建が成功するかは未知数だが、従業員や顧客からの信頼を取り戻すことは容易ではない。脱毛サロン業界の競争が激化する中で、ミュゼが再び市場で存在感を示せるのか、厳しい局面が続いている。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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