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テレビCM効果に疑問の声 POSデータで判明か フジテレビCM問題でスポンサーのテレビCM離れに?

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テレビCMが売れない未来
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フジテレビの幹部社員が女子アナウンサーを接待や懇親会の席に同席させていた疑いが浮上するなか、スポンサー企業が相次いでCM放送の見合わせが決定し、その数は70社以上に上っているという。

この動きを受け、業界内では「フジテレビのCM放送に効果がないことがスポンサー企業にバレてしまうのでは」との声も上がっていたが、ついにPOSデータを突合して、実際に売り上げに変化がないことがSNS上で指摘され始めた……

CM放送見合わせによる経済的打撃

これまでCMをだしていたスポンサー企業の離脱が相次ぐなか、フジテレビの広告収入への影響は甚大だ。2024年4~9月期の放送収入は、番組スポンサーとしてCMを放送する「タイム」が368億円、放送時間を指定する「スポット」が343億円で、計約712億円。仮に2~3月の放送収入がゼロになれば、約240億円の減収要因となるようだ。また、改変期の4月以降もスポンサー契約が途絶えることは必至の流れであり、半年間で最大700億円規模の売上減少につながる可能性がある。

スポンサー企業の中には、トヨタ自動車や日本生命保険といった大手企業も含まれており、その影響力は大きい。広告業界では「この動きを機に、テレビCMの広告効果そのものが問われる可能性がある」との見方も広がっている。

テレビCMの費用対効果、業界の見解

テレビCMの費用は、在京キー局の場合、特定番組内で放送する「タイム」が1カ月で数十万~数千万円、番組を指定しない「スポット」は1回当たり数十万~100万円ほどとされる。しかし、その費用対効果については疑問の声が上がっている。

CMの視聴率指標である「GRP(Gross Rating Point)」を用いて広告効果を説明する。GRPは「視聴率×CM本数」で算出され、数値が高いほど視聴者への露出量が多いとされる。しかし、「テレビCMは視聴者の行動に間接的に影響を与えるものであり、ダイレクトに商品の購入につながるものではない」との見解が一般的だ。

インターネット広告と異なり、テレビCMの効果は明確に測定できないが、効果がなければ淘汰されるのが市場原理。料金が下がったことで、スポンサー企業はコストと効果のバランスを見ながら投資を続けているのがこれまでだった。

また、BtoB企業にとっては、テレビCMが求人や企業イメージ向上のために利用される側面もある。「社員の親に安心感を与えるためにCMを流している」という冗談交じりの声もあるように、視聴者の信頼を得る手段として一定の価値を持つという見方もある。

テレビCMの効果に疑問の声 費用対効果に厳しい悩み

しかし、特定の業界によっては、既にテレビCMには効果がないことがまことしやかに共有されているところもあるという。例えば、スマホゲーム業界がそれだ。

数年前までテレビをひねれば、どこでもスマホゲームのCMが流れていたものだが、いまはめっきり少ない。多くの人が感じていることだろう。これは、業界バブルが弾けて、冬の時代に突入しているというのもあるが、それ以上に、当時テレビCMを増やしてもアクセス数に大きな影響なかったのでテレビCMをやめたんだと語る業界関係者が多いのも事実である。

経済評論家で作家の渡邉哲也は、1月31日にXでフジテレビに出している「自社広告をACに切り替えても、posデータから売り上げの変動はほぼなかった事がわかりました。テなレビ広告の費用対効果問題となり、テレビ局全体を揺るがし始めた」と投稿。

1か月では時期尚早との声もあるが、広告業界やテレビ局にとって深刻な課題となる可能性が高いだろう。企業の広告戦略がデジタルシフトする中で、テレビCMの役割は今後さらに問われることになりそうだ。

SNS上での議論

SNSでは、今回のフジテレビの問題をきっかけに、テレビCMの実際の効果について活発な議論が交わされている。

上記した趣旨と同じく、「フジテレビのCM差し替えでも売上が下がらず、実は宣伝効果がないのでは?」という声や「テレビCMの効果を短期間で測れるなら、新規CM出稿時にも効果を測れるはず。今回の件で急に気づいたというのはおかしい」「テレビCMはBtoCよりもBtoBの販促としての側面が大きくなっている」や「広告主や代理店は思考停止でCMを流しているわけではない。今回の件でCMの効果が可視化されたといっても、すぐに予算が大きく変わるわけではない」という冷静な見方も見受けられる。

しかし、こうした冷静な見方がSNSで多いのも、これらの多くが代理店の関係者なのではないかという穿った見方をする人もいるようだ。代理店関係者はいまCMが売れなくて大変だから、SNSにテレビCMは効果あるという話をあげているのだろう、と。さもありなん、という話である……。

テレビCMの今後

スポンサー企業の中には、CM放送時間ごとに問い合わせ電話番号を変えて効果測定を行っている例もある。しかし、全体としては定量的な効果を厳密に測る手法は確立されておらず、テレビCMが今後も続くかどうかは市場環境次第だろう。

フジテレビの一件を契機に、大企業がテレビCMから撤退し、広告市場の構造が大きく変わる可能性もある。今後、広告主がどのような判断を下すのか、その動向に注目が集まる。

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寒天 かんたろう

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ライター歴25年。月刊誌記者を経て独立。伝統的な日本型企業の経営や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

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