フジテレビで放送される番組のCM出稿を当面見合わせる企業が相次いでいる。これまでにトヨタ自動車や日本生命保険、さらに明治安田生命やアフラック生命保険が、同局での広告出稿を取りやめることを発表した。
背景には、タレント中居正広さんをめぐる女性トラブルと、それに関連して報じられたフジテレビ幹部社員の関与問題がある。
スポンサー離脱の動きが広がる
1月18日、トヨタや日本生命は、自社のCMを公益社団法人ACジャパンの公共広告に差し替える措置を講じている。具体的には、日本生命は「千鳥の鬼レンチャン」や「Mr.サンデー」、朝の情報番組「めざましテレビ」などで同様の対応を取るとしている。また、明治安田生命は「報道内容を総合的に勘案した結果」として、フジテレビでのCM放映を差し止めることを決定した。
これに続き、他のスポンサー企業が対応を検討する可能性も指摘されている。というか、まず間違いなく雪崩が起きるだろう。
フジテレビ社長が謝罪、調査委員会を設置
フジテレビの港浩一社長は1月17日に緊急記者会見を開き、「視聴者や関係者に多大なご心配をおかけしていることについておわび申し上げる」と謝罪。第三者の弁護士を中心とした調査委員会を設置し、社員の関与有無や事実関係を徹底的に調査する方針を示した。しかし、会見内容や対応に関する説明の不足を指摘する声が多く、視聴者やメディア内部でも疑問が広がっている。
何より、女性アナウンサーとのトラブル把握後も中居正広氏を1年半継続起用し続けたことは、弁明の余地がなく、港浩一社長の責任問題発展は必須だろう。
スポンサー離脱が示す「ジャーナリズム不在」
今回の一連の動きは、2023年のジャニーズ事務所をめぐる問題と同様、広告主が行動を起こすことでメディアの対応が変化するという日本のマスメディアの構造的課題を浮き彫りにしている。性加害問題が明らかになっても、マスメディアは当初報道を控え、スポンサーが撤退する段階になってようやく本格的な対応を開始するパターンが繰り返されている。
SNSでは、「トヨタや日本生命の対応はブランドイメージを守るために適切だ」と評価する声が多い一方、「フジテレビが本質的な説明責任を果たしていない」とする批判も後を絶たない。さらに、視聴者離れが進めば広告収益が減少し、経営基盤が揺らぐ可能性も懸念されている。
「視聴者の信頼」を取り戻せるのか
フジテレビ社員の宮司愛海アナウンサーは、17日のニュース番組で「第三者の目を入れて根本的な調査を行い、会社が生まれ変わる一歩にすべき」と語り、視聴者の信頼回復に向けた姿勢を強調した。その言葉はネット上で称賛を集めたが、フジテレビの経営陣がどのような改革を行うのかは依然として不透明だ。
一方、スポンサー企業は一連の問題に敏感に反応し、ブランド保護のために迅速な対応を取る姿勢を見せている。この動きが他のスポンサー企業や視聴者にどのような影響を及ぼすのか、まず間違いなく、ジャニーズ問題と同じく皆が見直しになるだろう。そして、フジテレビは経営陣が総入れ替えとなる改革に踏み切らざるをえないだろう。
そのとき、親会社のフジメディアHDまで問題が波及するか、あるいはその奥のフジサンケイグループ、ようは日枝久の進退問題まで迫れるか、引き続き注視していきたい。