フジテレビ記者会見、港浩一社長が謝罪と第三者調査委員会っぽい会設置を発表

2025年1月17日、フジテレビがタレントの中居正広と女性とのトラブルに関与していたとの疑惑に対し、港浩一社長が記者会見を行い、関係者に迷惑をかけたことを謝罪した。また、事実関係の解明と対応の適切性を検証するため、新たに第三者の弁護士を中心とした調査委員会を設置することを発表した。

記者会見で明かされた新事実

多くの報道でフジテレビ幹部社員が中居氏と女性のトラブルのきっかけとなった食事会を設けていたとされている。この件について、港社長は「視聴者および関係者の皆様に多大な迷惑をおかけし、説明が遅れたことを深くお詫びする」と陳謝した。

社長は、問題を認識したのは2023年6月初旬だったと明かし、当時の対応についても詳細を語った。当初、問題は女性の体調面に配慮し、医師の診断やプライバシー保護を最優先する方針が取られたという。その後、女性が仕事復帰を希望していたことから、事案を公にしない判断が下された。

また、港社長は記者会見の中で、トラブルへの対応が適切だったかどうかについて「最終的な判断責任は私にある」と述べ、自身の責任を明確に認めた。一方で、一部の対応については「当時の判断が正しかったか、今となっては疑問が残る部分もある」と語り、第三者委員会の調査に委ねる姿勢を示した。

第三者委員会ならぬ、第三者委員会っぽい会設置で誤魔化しか

ただ、この第三者委員会、どうやら本当の第三者委員会ではないらしい。フジテレビは昨年から外部弁護士を交えて調査を進めているそうだが、今回さらに独立性を確保するため、第三者も一部入る委員会を設置するという。で、その委員会で社員の関与や会社対応の適切性について詳しく調査が行われる模様だ。港社長は、「同委員会は日本弁護士連合会のガイドラインに基づくものではない」と言及している。これはどういうことか。

日弁連ガイドラインに基づく場合、委員会はより厳格な独立性が求められ、外部専門家が主導する中立的な調査が保障される。しかし、フジテレビの委員会はこの基準を採用しておらず、ようは身内も入り、お手盛り調査で終わる可能性があるということらしい。独立性や透明性の面で限界が指摘される可能性が高い。というか、第三者委員会設置に及び腰だという姿勢が、かえって不信感しか生まないだろうに、フジテレビはよほど触れられたくないキズがあるのだろうか。

記者会見への批判と広報対応の問題

今回の記者会見は、記者クラブ「東京放送記者会」に加盟する社のみが参加可能であり、週刊誌やネットメディアは排除された。この点について、広報の専門家・下矢一良氏は次のように批判した。

「記者会見を記者クラブ所属社に限定し、撮影も冒頭のみという形式は、あまりに不透明でメディア企業としての責務を果たしていない。港社長の指示によるものだろうが、このような対応は広報の範囲を超え、問題をさらに大きくしている」

また、下矢は港社長が辞任を視野に入れている可能性についても指摘した。「第三者委員会の調査結果を受けて引責辞任する覚悟があるのではないか。今回の会見は辞任を前提にした対応のように見える」と述べた。

さらに、「冒頭の撮影すら禁止したのは、広報的に完全に失敗」と言及。

「テレビで連続静止画が流れるという異様さが、フジテレビの逃げの姿勢を印象づけてしまった。冒頭の港社長の原稿丸読みパートだけでもテレビカメラ入れさせたら、こんな異常な映像を全局で晒さずに済んだのに」。

フジテレビが抱える信頼回復の課題

フジテレビは調査結果がまとまり次第公表するとしているが、被害者の証言や報道の不一致が浮き彫りとなっている。一連の対応に対する批判が高まる中、情報の透明性確保と関係者への適切な配慮が課題となる。

フジテレビの信頼回復には、調査の徹底と結果の速やかな公表が求められるとともに、広報対応の改善が急務となる。さらに、事件の背景や責任の所在についての透明性を示すことが、今後の信頼構築に不可欠だ。

他社や業界全体の反応

今回の問題に対し、他の民放各社や業界内からも懸念の声が上がっている。ある民放局の関係者は、「フジテレビの対応が不透明である限り、業界全体の信用にも影響を及ぼす可能性がある」と指摘。

また、広報対応の不備が繰り返される場合、広告主やスポンサーとの関係にも影響を及ぼす可能性があるとの見方も示された。業界内では、透明性の確保と迅速な対応が信頼回復の鍵を握るとの意見が多数を占めている。

一方で、今回の問題が各社のコンプライアンス体制の見直しや危機管理体制の強化を促すきっかけになるとの期待もある。