東京都の小池百合子知事は1月12日、大学生や高等専門学校生を対象にした海外留学費用の助成制度を新設する方針を明らかにした。この制度は、渡航費や授業料、現地での生活費などを助成するもので、短期留学の場合は最大90万円、中・長期留学では最大315万円の支援が受けられる。
最大315万円の支援規模
新制度の支援額は、留学先の物価水準を考慮して設定される。短期留学(4週間から3カ月程度)の場合、渡航費と授業料として最大90万円が助成される。一方、中・長期留学(おおむね半年から1年程度)では、現地活動費として月に最大15万円が支援される。この場合、1年間の留学で渡航費や授業料、現地活動費を合わせて最大315万円が助成されることになる。
対象となるのは、保護者など主要な生計維持者が東京都内に在住し、本人が日本国籍を持ち、国内の大学や高等専門学校に在学している学生だ。また、所得制限は設けられていない。なお、語学留学は対象外とし、基本的に海外の大学への留学が支援の対象となる。
留学希望者を年間600人支援予定
東京都によると、短期留学は年間500人、中・長期留学は年間100人を支援する予定で、2025年度の予算案に約1億円を計上している。今年中に募集と審査を開始し、来年夏以降に派遣を始める計画だ。
小池知事は制度の意義について、「日本の国際競争力が低下しており、特に若者が内向き志向になっている。世界で活躍できる人材を輩出するため、若者への投資を一層加速する必要がある」と説明した。
社会の反応と課題
日本若者協議会の代表理事・室橋祐貴氏は、「本来は国主導で整備すべき制度だが、東京都が先行して独自の支援を進める意義は大きい」とYahoo!コメントで評価した。一方で、「地方自治体の財源不足が深刻で、教育分野の支援は国全体で行う必要がある」とも指摘している。
また、SNS上では、留学支援よりも国内の大学進学や大学院学費の助成を求める声も多く、「社会貢献度や学業の目的を審査するスカラーシップ制度を設けるべき」「留学は社会人になっても可能であり、国内の教育支援を優先すべき」といった意見も見受けられる。
東京都が提示した2025年度予算案は、一般会計総額が前年度の8兆4530億円を上回り、過去最大規模となる見込みだ。小池知事は、教育分野での新たな取り組みを含めた政策を進めることで、東京が全国のモデルケースになることを目指している。