中居正広氏の性加害疑惑を受け、27日フジテレビは幹部社員の関与を否定する声明を発表したのは既報の通りだが、その対応の妥当性や、被害者がSNSで闘病生活を伝えることの影響、示談契約のあり方など、様々な議論が巻き起こっている。
広報専門家と弁護士の見解を基に、この問題を多角的に考察する。
中居正広氏性加害疑惑報道とフジテレビの対応
今回のトラブルにおいて一番の問題は、フジテレビが、被害者からの相談に対し適切な対応をとったのかという点であり、ネット上でも疑問視されている。広報専門家の下矢一良氏は、フジテレビが中居氏を起用し続け、被害者への支援を怠った点を指摘する。物証の有無にかかわらず、企業として被害者保護の姿勢を示す必要があったのではないか、という指摘だ。
被害者による告発とSNSの影響力
また、今回の事件がネット上で盛大に炎上した理由として、被害者がSNSで闘病生活を自ら発信していたことが、世論形成に大きな影響を与えていると指摘。下矢氏は、SNS以前と比べ、被害者の苦しみがより直接的に伝わるようになったと分析する。新聞や週刊誌では伝えきれない生々しい情報が、画像と共に発信されることで、共感や批判の声が大きくなっているのだ。
示談契約と情報公開、そして警察への相談の是非
弁護士の渡辺輝人氏は、示談における口外禁止条項の解釈について言及している。被害者本人が中居氏を名指ししていないにもかかわらず、週刊誌が詳細な情報を報道できたのは、フジテレビ内部の告発者によるものと推測される。
ネット上では、示談した被害者が示談後に被害のことを喋るのはおかしいという意見がある。確かに、この手の示談では口外禁止条項が一般的。渡辺氏は、「この批判は本件には当たらないと思う」と投稿している。
「被害者が喋らなくても、深刻な悪事は露見するものだし、そこで加害者側の側に立って話が漏れるのはおかしい、みたいに言うのは異常な姿勢だ」
被害者はフジテレビとは示談していないため、告発に問題はないと渡辺氏は主張する。
「被害者が今後もしフジの安全配慮義務違反を追及したら、その際に中居正広の名前が不可避に出てくるし、それ自体もやむを得ないことだ(口外禁止条項はその程度のもの)」
そもそも、フジテレビがこの件を放置してきたのが考え難い失態だとも指摘している。
また、被害者が警察に相談しなかったことについても、警察への不信感を理由に擁護している。
PTSDと被害者の苦しみ
渡辺氏は、被害者がPTSDを抱えながらオリンピックに参加していたという一部批判に対し、PTSDの症状は常に現れるものではないとも反論する。フラッシュバックは特定の状況下で起こるものであり、被害者が常に苦しんでいると決めつけるのは誤りだと指摘する。
これらの専門家の見解を踏まえることで、今回の報道は単なる芸能スキャンダルではなく、企業の責任、SNSの影響力、そして被害者の苦しみといった、現代社会における重要な問題を浮き彫りにしていることがわかる。