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現場での共有か、SNSでの審査か。嵐ライブ 銀テープ36本の行方が問いかける、推し活の倫理

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ARASHI 嵐
嵐 公式Xより

現代のエンターテインメント空間における熱狂の共有は、時に予期せぬ摩擦を生み出す。
先日開催された嵐の札幌ドーム公演において、演出で使用された金・銀テープの取り扱いを巡り、SNS上で静かなる議論が巻き起こっている。ある一個人の参加者が大量にかき集めたテープを独自の基準で選考し、無償譲渡すると表明したことが発端である。
この事象は、単なるファン同士の感情的な対立にとどまらず、現場での応援マナーと、個人の正義感が生み出す複雑な課題を浮き彫りにしている。

 

一個人の正義感による独占と再分配の試み

アーティストのライブにおける銀テープは、座席位置によって取得の可否が大きく分かれる希少なアイテムだ。発端となった投稿者は、アリーナ席前方であったということもあり、同行者と合わせて36本ものテープをかき集めたという。

そして、自身の保存用と知人への譲渡分を除いた15本について、SNSを通じて希望者を募り、寄せられたリプライやダイレクトメッセージの内容を自ら審査した上で、無償で譲るという方針を打ち出した。約1〜2ヶ月という期間を設けて譲渡先を見極めるというこの個人の試みに対し、同投稿にはテープを切望するファンからの切実なメッセージが殺到する事態となった。

 

転売への警戒心が生んだ独善的なジレンマ

投稿者がこのような異例の行動に出た背景には、近年蔓延している転売ヤーへの、一個人としての強い警戒心があるようだ。本人の弁解によれば、公演前後にグッズの転売益について話す人物を目撃したことで、「営利目的の第三者にテープが渡るのを防がなければ」という一種の使命感に駆られたという。

時間をかけて応募者の熱量やSNSの履歴を審査し、本当のファンを見極めようとするこのプロセスは、あくまで一ファンとしての正義感や誠意の表れとして主張されている。

 

デジタル空間での審査に対する疑義と現場主義の倫理

しかし、こうした個人の思い込みにも近いアプローチに対し、コミュニティ内からはその振る舞いを疑問視する声も少なくない。
最も指摘されているのは、「なぜその場で周囲の観客に分け合わなかったのか」という、現場での共有の欠如についてである。

現場の感動を直接分かち合うというライブ本来の文脈において、大量のテープを一度独占して持ち帰り、後日デジタル空間のテキスト情報のみでファンの資格を審査するという手法は、まるで運営スタッフ気取りのようだと違和感をもって受け止められた。
現場で歓喜する人々に直接手渡すことこそが、最も確実な転売対策であり、ファン同士の自然な共助の姿ではないかという意見が相次いでいる。

 

ファンコミュニティが求める「本当の誠意」

この一連の波紋は、明確なルール違反ではないものの、一個人の「よかれと思って」の行動が、他のファンたちの感情と決定的にすれ違ったことによって生じた事象だ。

投稿者は転売対策や本当のファンを見極めるための誠意としてこの手法を正当化している。しかし、大量のテープをかき集めて持ち帰り、SNS上で人々を集めて長期間“審査”するその姿は、周囲からすれば「選ぶ側の特権階級を楽しんでいる」「自己満足ではないか」と映ってしまった。

本当に純粋な思いでファン同士の喜びを分かち合いたいのであれば、ライブの熱狂の最中、目の前で取れずに悔しがっている人にその場でそっと譲る。そうした損得勘定や選民意識のない自然な振る舞いこそが、多くの人が共感する素直なファンの姿だったのではないだろうか、という声も多く見られた。今回の騒動は、同じアーティストを愛する者同士における「本当の誠意とは何か」を静かに問いかけている。

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ライター:

Webライターとして活動。主にエンタメ系、サステナビリティ関連の記事などを扱っています。

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