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高市総理が国会で“おこめ券いじり” 鈴木農水相が苦笑、議場に笑い…一方ネットは大炎上のワケ

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おこめ券
PhotoACより

補正予算をめぐる国会質疑の最中、思わぬ“ひと言”が議場をざわつかせた。
高市早苗総理が「農水大臣が大好きなおこめ券かもしれない」と口にした瞬間、周囲から笑いが漏れた。

しかしその裏側で、ネット上には“おこめ券批判”の嵐が吹き荒れている。米価高騰、減反政策、自治体の反発。軽い冗談に見える場面の背後には、深刻な政策不信が重く横たわっていた。

 

 

議場の空気を揺らした“おこめ券”の一言

12月9日午後、衆院予算委員会の会場は、緊張とざわめきが入り混じる独特の空気に包まれていた。
補正予算に関する質疑が続く中、立憲民主党・山岡達丸議員が現金給付の必要性を訴えると、高市早苗総理は淡々と答弁を進めた。

そして、問題の一言が飛び出した。

「自治体によっては…クーポンかもしれない、電子マネーかもしれない、ポイントかもしれない、そしてまた、農水大臣が大好きなおこめ券かもしれない」

その瞬間、議場の空気が変わった。
ざわっ、と小さな波が広がり、数秒遅れて笑い声が続いた。
高市総理は慌てるでもなく表情を変えず、言葉を続けた。

「地域の実情に応じて取り組んでいただけるように、と私どもは予算をつくりました」

だが、この冗談めいた一言は、ネット上では違った意味を帯びて受け止められることになる。

 

ネットでは冷笑「こんな状況で笑っていられるのか」

ニュースが配信されると、コメント欄には冷えた声が相次いだ。

「茶化すような話じゃない」
「冗談を言っている場合か」
「高市総理も鈴木大臣を“おこめ券の人”と認識しているんだ」

といった笑いの温度差が明らかとなる反応が並んだ。

背景には、鈴木農水相自身が「米価に影響を与える意図は一切ない」と必死に否定しているにもかかわらず、世論がそれを全く信じていないという状況がある。

高市総理のいじりは軽妙だったが、国民の受け止めは決して軽くなかった。

 

現金給付を求める野党、分散方式を主張する政府

山岡議員は、高市総理の発言に対し次のように応じた。

「地方交付金によるばらつきではなく、国が一律で現金給付すべきです」

高市総理は、
・自治体の負担を軽減するための既存口座の活用
・自治体が選べる複数の支援手法
を強調し、あくまで「国が方向性を示しつつも自治体の判断に委ねる」という姿勢を崩さなかった。

しかし、その「選択肢の一つ」が「おこめ券」であることが、議場の笑いとネットの冷笑を同時に誘った。

 

“経費率12%”の現実 自治体も疑問視

笑いの裏側で、「おこめ券」の効率性への疑問は深刻だ。

紙券の印刷費・流通コスト・発行元の手数料を合わせると、経費率は約12%とも報じられる。
さらに、額面500円で実際に使えるのは440円分。
配布準備にも時間がかかる。

大阪府交野市の山本景市長は、ついに明言した。

「おこめ券は絶対に配らない。市民のために選んではいけない選択肢だ」

代わりに採用したのは、上下水道基本料金の免除。経費率1%で済む施策だ。

地方の現場からの静かな反乱が、国の政策の限界を露わにしている。

 

「米価が高すぎる」根本問題には誰も触れられない

ネットの批判の多くは、単なるクーポン批判ではない。

「米が高いのが問題なのに、なぜ金券で買わせようとする?」
「減反による供給制限が高値を招いているのでは」
「おこめ券は高値維持の補助にしかならない」

元農水官僚・山下一仁氏も指摘するように、日本は1000万トンの生産能力を持つにもかかわらず、減反で700万トンに抑制され、価格が高止まりしたままだ。

構造が変わらない限り、消費者の負担は減らない。
1人あたり3000円のクーポンではビニールひもを切る程度の効果しかない。これが専門家の見立てだ。

 

政策議論が“おこめ券”に収束する奇妙さ

農政の専門家は、議論が「JA批判か?おこめ券擁護か?」に矮小化されていることを懸念する。

「本質は政策効果と手続きの問題だ」

自治体への決定期限は年内。
使用期限は2026年9月。
説明会では質問が相次ぎ、政策メニューの選定に混乱も生じている。

それでも、国会では「おこめ券」というワードが象徴的に扱われ、総理の“いじり”まで生まれてしまう。
それこそが、政策議論の不健全さを映し出している。

 

“笑い”の奥底に沈んだ、国民の疲労

補正予算21兆円という規模の中で、庶民の生活は少しも軽くなっていない。
ガソリン、食品、日用品。物価はじわりと上がり続ける。

「3000円のクーポンより現金5万円の方が助かる」
「政府はやっている感だけ」
「冗談にしてほしくない」

ネットにあふれる声は、疲れた生活者の本音だ。

議場の一瞬の笑いが、社会全体の苛立ちをより際立たせてしまった。

 

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ライター:

広告代理店在職中に、経営者や移住者など多様なバックグラウンドを持つ人々を取材。「人の魅力が地域の魅力につながる」ことを実感する。現在、人の“生き様“を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。

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