「収録後に突然ノーギャラ」 説明なき通告で一気に火がつく

公明党が運営するYouTube「サブチャンネル」で、出演した社会学者・西田涼介氏が「収録後に突然ノーギャラを告げられた」とX(旧Twitter)で明かした件が炎上している。
西田氏ははっきりと断言する。
「なお誤解はありません。僕はギャラを払えとも、動画を公開するなとも一言も言っていません。説明がなかっただけです」
これが投稿されるや、政党案件としては前代未聞の“説明なき無償出演問題”として急速に拡散した。
SNSでは《政治コンテンツで事前説明がゼロは異常》《政党の広報がこのレベルなのか》と驚きと呆れが入り混じった声が広がった。
制作はAmbeeに“完全丸投げ” 公明党の担当者は現場に不在
炎上の幅を一気に広げたのが、次の投稿だ。
西田氏は、収録現場の様子についてこう説明する。
「サブチャンネルの制作はAmbeeに完全丸投げで、現場に公明党の担当者は見当たりませんでした。名刺交換もなく、誰が責任者なのかもわかりませんでした」
政治案件では通常、公党の広報担当が立ち会うのが一般的だ。
だがこの現場には政治側の姿はなく、制作会社Ambeeが単独で進行していたという。
そのため、「通例でノーギャラ」という説明が党の方針なのか、Ambeeの判断なのかすら不透明な状態だった。
西田氏は疑問を呈した。
「制作費を受注している会社が“通例ノーギャラ”と言われても理解できません」
政治広報の看板を背負うチャンネルとは思えない雑な運用が露呈した格好だ。
浮上する“下請法違反”の影 しかも公明党が推進したフリーランス保護法制
さらに問題を重くしたのは、西田氏が改正下請法3条(フリーランス保護)への抵触を示唆した点だ。
同条は発注側に対し、事前説明、条件の明示、一方的な不利益変更の禁止などを求めるもの。無償扱いの事後通告は、規制の核心とかち合う。
「端的に違反だと思いますね」(西田氏)
ここで皮肉なのは、このフリーランス保護法制を強く推進した政党のひとつが公明党そのものであることだ。
つまり、自ら旗を振った法制度を、自らの公式チャンネル(委託制作物)で踏みにじっていた可能性があるというわけだ。
SNSでは、この“皮肉の極致”とも言える構図に非難が殺到した。
《フリーランス保護を推進した公明党が、出演者には説明なしのノーギャラ?笑えない》
《自分が作った法律に違反する政党って前代未聞》
《Ambeeが悪いにせよ、公明党が把握してなかったならなお悪い》
公明党が掲げてきた自称「カネにクリーン」というスローガンが、この件で完全に裏目に出た格好だ。
“公明党信者”と思われるSNS投稿も炎上に油を注ぐ
今回、さらに火種を拡大させたのが“公明党信者”と思われる投稿だ。
あるアカウントは、今回の件を擁護しようとして次のように投稿した。
《出演者側も確認しなかったんだから自己責任では? 公明党は悪くない》
しかしこれが逆効果だった。西田氏は淡々と反論したことで、公明党擁護側の歪さが浮き彫りとなったのだから。
「事前説明をするのは発注側の義務です。こちらには責任はありません」
SNSでは《信者が逆に炎上を広げている》《政党の広報危機管理が終わっている》と批判が飛び交った。
さらに、別の“信者系”アカウントはこう主張した。
《公明党がそんなミスするわけない。制作会社が勝手にやったのでは?》
これにもネットは冷静だった。
《丸投げした時点で公明党の責任は消えない》
《政治コンテンツの責任主体を理解していない擁護が一番危険》
擁護のつもりが、かえって“党の運営管理能力への疑問”を増幅させる皮肉な展開になった。
若手出演者への影響を懸念 “無償慣行”の存在にも光が当たる
西田氏は、自身の落ち度も認めたうえで、こうも語っている。
「過去の若手出演者も、ノーギャラだった可能性があると思うと複雑です」
これは単なる公明党の広報トラブルに留まらず、政治系YouTube全体に無償慣行が存在している疑いを生む。
制作会社Ambeeや同種の外注業者が、出演者の権利に配慮していなかった可能性は否定できない。
Ambeeにも連絡したが“返信なし” 西田氏は絶縁宣言
西田氏は制作会社Ambeeにも連絡を取ったが、返信は得られなかったという。
「公明党サブチャンネルには、もう二度と出演しません」
この“絶縁宣言”が投稿されると、SNSは再び炎上。
政治、制作会社、出演者の三者に跨る構造的問題として、一気に注目度が高まった。
公明党とAmbeeは説明責任を果たせるか 透明性が問われる局面に
今回の騒動は、公明党だけでも、制作会社Ambeeだけでも片がつかない。
公明党は政治的責任を、Ambeeは制作会社としての契約・運用責任を問われる。
政党広報とフリーランス保護の整合性、外注構造の透明性、出演者への説明義務、これらすべてに対し、説明責任が求められている。
この炎上はもしかしたら、序章にすぎないのかもしれない。



