
不要PCを地域支援へつなぐリングローの新プロジェクトが動き出した。リユースと子ども支援を結びつける独自の仕組みが、企業寄付や社会貢献の新たな選択肢として注目されている。
初の寄付実績が示す「不要PCから生まれる支援」
IT機器リユースを手がけるリングロー株式会社が、不要PCの査定額を子ども支援団体へ寄付する「PC for Good〜未来とリユースをつなぐ募金〜」の初実績を公表した。今回の寄付は個人から提供されたノートPCやデスクトップPCが対象となり、総額4,800円が豊島区内の三つの子ども食堂へ配分された。
大塚子ども食堂や要町あさやけ子ども食堂、ニシイケ食堂はいずれも、物価高で逼迫する運営費の補填として役立つ支援だと受け止めている。現場の声からは、食材費や光熱費が重くのしかかる日常が垣間見えた。
PCリユースを寄付に変える新モデルの仕組み
本プロジェクトは、不要PCを廃棄物として扱わず、再資源化と社会貢献を一体化する仕組みを構築している点が特徴だ。査定額を寄付することで、利用者は処理負担を軽減しつつ、地域支援に参加できる。
衣料品や家具に比べ、IT機器はデータ消去や廃棄手続きの煩雑さからリユースが進みにくい。リングローがその障壁を引き受け、寄付につなげる流れを整えたことで、従来にない循環の形が生まれている。
IT機器の再活用が進まない理由とリングローの解決策
市場ではまだPCのリユース活用が広がりきっていない。背景には、個人情報管理の不安や「手続きが煩雑」というイメージが根強い。
リングローはこれまで中古PCの販売・修理・買取を進める中で、廃校を活用した「おかえり集学校プロジェクト」など、既存の枠を超える取り組みを展開してきた。モノを社会に再接続する一貫した思想が、今回の寄付型リユースにも貫かれている。
地域の子ども食堂に広がる支援の波
寄付を受けた子ども食堂からは、運営費の補填やイベント費用の確保につながるとの声が寄せられた。ニシイケ食堂では、子どもたちを対象にした茶道体験会の実施に活用する考えも示された。
小さな寄付が地域に確実に届き、子どもたちの体験や食の場を支えていく。不要PCから始まった循環が、地域コミュニティの活力となりつつある。
企業が活用できる循環型寄付の可能性
企業・団体が保有する不要PCは少なくない。更新時期の一括入れ替えや備品整理の際に本プロジェクトを利用すれば、電子廃棄物削減やCO₂削減への貢献が見える化され、CSR施策としても評価しやすい。
資源再利用と社会支援を同時に実現するこのモデルは、寄付の形を拡張する新たな選択肢となる。今後は自治体との連携や教育機関への展開など、循環の広がりが期待される。



