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星野源、紅白歌合戦2025“不出場”の背景――園子温監督の性加害疑惑と「地獄でなぜ悪い」騒動の禍根

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星野源
星野源さん Instagramより

2025年の紅白歌合戦に、常連アーティスト・星野源(44)の名前がなかった。昨年の「地獄でなぜ悪い」騒動、そしてその背景にある映画監督・園子温氏の性加害疑惑が、今年の“不出場”を決めた要因とみられている。

 

紅白常連・星野源が初の“不在”に

 11月14日、NHKが『第76回紅白歌合戦』の出場歌手を発表した。アイナ・ジ・エンド、FRUITS ZIPPER、ちゃんみな、M!LKといった初出場組の名前が並ぶ一方で、ファンの目が釘付けになったのは“ある常連”の不在だった。

 星野源(44)。2015年に「SUN」で初出場して以来、10年連続で紅白のステージに立ち続けてきた。俳優としてもシンガーソングライターとしても国民的な地位を築き、NHKの番組『おげんさんといっしょ』や『星野源のおんがくこうろん』の司会も務めてきた。

 その常連が、今回の発表にいない――。

この知らせに、X(旧Twitter)上では《紅白の顔がいない》《星野源がいない紅白なんて考えられない》という驚きと喪失感の声が相次いだ。なかには、昨年の出来事を引き合いに出す投稿も多く見られた。

 《去年の紅白であんな騒動があったら、もう出たくなくなるよな》
 《地獄でなぜ悪い聞きたかったのに、結局あの事件のせいで全て変わってしまった》

 昨年末、紅白本番直前に巻き起こった“選曲騒動”は、星野の心に深い影を落としたとみられている。

 

「地獄でなぜ悪い」騒動の余波

 発端は2024年12月23日。紅白出場歌手の曲目が発表された際、星野が披露する予定だったのは『地獄でなぜ悪い』。2013年に公開された同名映画の主題歌で、星野自身が出演も果たした楽曲だった。

 しかし、発表直後からSNSでは「その映画の監督は性加害疑惑で問題になった園子温氏ではないか」との指摘が噴出した。被害を訴えた女性の中には映画関係者もおり、「被害を想起させる」との批判がNHKや星野の公式サイトに殺到した。

 NHK内部では急きょ協議が行われ、最終的に星野は出演3日前に曲目を変更。代わりに選ばれたのは、2010年のアルバム曲「ばらばら」だった。

 星野は自身の公式コメントで《この曲を紅白歌合戦の舞台で歌唱することが、二次加害にあたる可能性を完全に否定することはできません》と発表。誠実に言葉を選びながらも、表現者としての痛みがにじんでいた。

 「星野さんは本来、“人を傷つける音楽”を最も嫌うタイプです。自身の曲が誰かの記憶を刺激してしまう可能性を考え、苦渋の決断をした」(NHK関係者)

 

性加害疑惑の園子温とは

 園子温氏(63)は『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』など、過激で独自の作風で知られる映画監督だ。長らく“鬼才”として評価を受けてきたが、2022年4月、『週刊女性』が複数の女性からの性加害告発を報道したことで状況は一変した。

 記事では「ワークショップを通じて知り合った女性に性的関係を迫った」「出演を条件に肉体関係を要求した」とする証言が掲載された。園氏はこれを否定し、名誉毀損で出版社を提訴したものの、2023年12月に和解。報道は削除されたが、完全な“潔白”が証明されたわけではない。

 さらに2025年5月、別件の名誉毀損訴訟で、園氏が女性に性的要求をしたという投稿の一部が「真実」と認定された。このため、疑惑の火は消えず、映画界でも園氏を巡る議論が続いている。

 こうした経緯から『地獄でなぜ悪い』という作品タイトルは、単なる映画の象徴ではなく、“加害を連想させる存在”として扱われるようになった。星野がその楽曲を歌えば、被害者の傷をえぐる恐れがある――そうした懸念が、騒動の根底にあった。

 

星野の沈黙と変わった歌詞に込めた想い

 迎えた2024年大晦日の紅白本番。星野はNHKの別スタジオから中継で登場した。司会の呼びかけにも表情は硬く、「ありがとうございます。頑張ります」とだけ言葉を残して歌唱に入った。

 ギターを抱え、静寂の中で「ばらばら」を歌い出す星野。その歌詞の一節「本物はあなた わたしは偽物」を、「本物はあなた わたしは本物」と変えて歌った。わずかな言葉の違いだが、そこに込められた意味は重い。

 音楽ライターはこう指摘する。
 「“自分を偽物と感じていた過去”から、“本物であろうとする現在”への意思表示。彼なりの決意表明だったのだと思います」

 SNSでは《怒りと悲しみが混ざったような表情だった》《沈黙の15秒が心に刺さった》といった声が並び、彼の誠実さを称える投稿も多かった。

 

NHKとの深い関係と“距離”

 星野はこれまでNHKとの信頼関係が極めて深かった。『おげんさんといっしょ』では音楽を通じて家族の在り方を描き、『おんがくこうろん』では音楽哲学を語るなど、公共放送の精神に寄り添う姿勢を見せてきた。

 それだけに、今年の“不出場”は異例だ。NHK関係者の間では「星野側から辞退の申し出があった」との声が上がっている。昨年の炎上が本人に精神的ダメージを残したことは想像に難くない。

 「NHKとしても、再び同様の批判が起きれば“対応の誤り”として追及を受ける可能性がある。互いに慎重になった結果の“静かな不出場”だろう」(放送関係者)

 星野は今年、アルバム『Gen』を発表し、海外ツアーも成功させた。音楽活動は順調であり、紅白に出場しない理由は“活動不足”ではない。彼にとって、紅白は特別な場であると同時に、あの騒動の象徴でもあった。

 

禍根を乗り越える日は来るのか

 紅白の常連がいない2025年。SNSには《また笑顔の星野源が見たい》《彼の音楽に救われた》という声があふれた。

 星野の選択は“逃避”ではない。誰かを傷つけないための、彼なりの誠実さの表れだ。騒動から一年、彼は今なお静かに音楽と向き合っている。

 紅白という大舞台に再び立つ日が来るとすれば、それは彼自身が“音楽の力を信じられるようになった時”だろう。


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ライター:

千葉県生まれ。青果卸売の現場で働いたのち、フリーライターへ。 野菜や果物のようにみずみずしい旬な話題を届けたいと思っています。 料理と漫画・アニメが大好きです。

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