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クマ被害が各地で過去最多に 出没地域・時間帯の傾向と「遭遇しないための10か条」徹底解説

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クマ被害防止対策
DALL-Eで作成

クマの出没が、これまでの“山の中の出来事”では済まなくなってきている。住宅地周辺や河川敷、公園、さらには首都圏にまでその影響は広がり、人身被害も過去最多ペースで増加中だ。こうした異常事態の背景には、エサ不足や生息域の変化に加え、クマの行動範囲が拡大していることなどが指摘されている。本記事では、全国で警戒すべき地域や出没傾向を整理し、福島県が策定した「クマ被害防止の10か条」や、遭遇時の具体的な対処法を紹介する。人とクマが近づきつつある現実の中で、私たちに求められている備えとは何か――その視点から考える。

 

クマ被害急増の背景

福島県内では今年度、クマによる人身被害の件数が過去最多ペースで推移している。県の集計によると、11月上旬までの被害件数は19件(22人)に上り、昨年度の最多件数をすでに上回っている。10月15日までの目撃情報も1,038件に達し、「非常事態」との認識が広がっている。

背景には、山間部で餌となるブナやミズナラなどの木の実が凶作であることに加え、前年の豊作による子グマの増加が影響しているとされる。特に母グマが子連れで人里に出没するケースも報告され、出没の広域化・長期化が懸念されている。

 

出没地域・時間帯の傾向(全国)

以下に、報道や公的機関により明らかになった全国の地域別・時間帯別の出没傾向を整理した。

地域区分主な発生(目撃・被害)場所時間帯・状況備考
東北・北陸・中部(例:岩手県、秋田県、長野県、新潟県等)・岩手県・秋田県を中心に里山や集落近くでの出没が多発。
・長野県・新潟県では低標高の山麓でも注意喚起が出されている。
早朝~午前中/夕暮れ前後に活動が集中。餌不足・繁殖増加の影響で人里への進出拡大。
全国(広域)・全国34都道府県でツキノワグマ・ヒグマの常時分布が確認。
・都市近郊や住宅地近くにも出没が拡大。
明け方・夕暮れの“薄明”時間帯がリスク高。「川沿い」「藪」「果樹園」「道路脇草むら」などが典型的な出没地。
山間部・森林域(例:山菜採り・林道周辺)・沢沿いや山林での山菜採り、キノコ採取中の遭遇例多数。日中~午後も標高300~400mの低山域で発生。観光・レジャーで山に入る機会が多い場合は特に警戒。

※表は報道情報・自治体資料をもとに整理しており、すべての発生を網羅するものではない。最新情報は各都道府県・自治体の出没情報マップなどを確認。

 

クマ被害防止の「10か条」

福島県は今年10月、過去の事故データ129件を基に「クマ被害防止の10か条」を策定。実践しやすい内容として、以下が示されている。

  1. 藪など見通せない場所には昼夜を問わず近付かない。
  2. 日の出前と日没後は徒歩の外出を控える。
  3. 日中でも音の出る物を携帯し、単独行を避ける。
  4. 河川敷や農地はクマの移動ルートになり得る。
  5. 果樹・菜園の収穫残さ、生ゴミ、ペットフードを放置しない。
  6. 倉庫・納屋にクマが侵入する場合があるため、施錠を徹底。
  7. 子グマを見かけた場合はすぐ離れ、母グマへの警戒を高める。
  8. クマに出会っても背を向けず、ゆっくりと後退する。
  9. クマを見かけたら速やかに自治体・警察に通報。
  10. 被害時はクマの特徴・発生場所・状況を地域で共有する。
 

実践のヒント

10か条のうち特に重要なのは「見通しの悪い場所を避ける」、「音を出しながら行動する」、「クマを引き寄せる要因をなくす」の3点である。クマは嗅覚と聴覚に優れ、見た目より匂いや気配に敏感なため、人間側が存在をあらかじめ知らせる知恵が必要となる。

また、果樹園や家庭菜園に実ったままの柿やリンゴ、生ゴミの屋外放置などもクマの誘引源となり得るため、日常生活圏にこそ対策の目が必要である。

 

なぜ今年度の被害が“異常”とされるか

専門家によれば、今年度はクマの餌資源となる堅果類(ブナ・ナラ類)の深刻な凶作が確認されている。加えて、前年の豊作による子グマの生存率が高まったことで、母グマを含む複数頭で人里に移動するケースも出ているとされる。

異常気象の影響や、生息分布の拡大なども指摘されており、「過去の常識では判断できない事態」に至りつつあるといえる。

 

今後も警戒を要する地域・場所(全国)

各地でクマの活動範囲は広がっており、以下の地域・場所では今後も注意が必要である。

  • 北海道(例:道東・十勝・日高などヒグマ生息域)
     広域に自然が広がる一方で、市街近郊への進出も報告されている。
  • 東北地方(青森・岩手・秋田・山形・宮城)
     河川敷や農地・住宅地付近でも目撃され、里山部を介した人との距離が縮まっている。
  • 長野県・新潟県・富山県・岐阜県(中部~北陸)
     標高の低い里山・麓での出没が春・秋に増加している。
  • 埼玉県・栃木県(秩父・日光・那須地域など)
     首都圏近郊でもクマ目撃例があり、人とクマの境界線が曖昧になってきている。
  • 兵庫県・鳥取県・岡山県(中国山地一帯)
     東中国地域ではツキノワグマの活動が春と秋に活発で、注意が呼び掛けられている。
  • 山麓・里山・河川敷・農地周辺
     全国的に「川沿いの藪」「放置果樹」「苫屋・倉庫」などは典型的な出没ポイントとされる。
  • 薄暗い時間帯(早朝・夕方・濃霧・降雨中)
     環境が静かで視界が悪い時間帯にはクマが活動しやすく、遭遇リスクが高まる。

これらの条件に当てはまる地域・場面においては、「クマに出会わないための準備」や「クマを引き寄せない生活」が求められる。地域に応じた警戒レベルを把握し、10か条を基本としつつ、季節や環境に応じた具体的対策を心がけたい。

 

万が一クマに遭遇してしまった場合の対処法

  • 静かに後退し、距離を取る(走って逃げるのは逆効果)。
  • 大声を出さず、騒がない。驚かせないようにする。
  • 子グマを見た場合は、母グマの存在を意識して直ちに退避。
  • クマを刺激するような行動(石を投げる・威嚇する)は避ける。
  • クマに襲われたら、腹ばいになり体を丸めて頭や首を守る。
  • 遭遇後は警察・自治体に通報し、地域で情報共有する。

住民・関係者への呼び掛け

「ここまで具体的な防止策が示された事例は珍しい」と専門家も指摘する。県や自治体は地域の学校・農業関係者などと協力し、情報を共有しながら広域的な対策を取る必要があるとしている。住民一人ひとりの備えが、異常事態の被害拡大を防ぐ要となるだろう。

 

最新情報の参照について

クマの出没や人身被害に関する状況は日々変化します。この記事は複数の報道機関・自治体・公的資料をもとに執筆しておりますが、最新の出没情報は各自治体や警察の公式発表をご確認ください。
特にご自身が暮らす地域や訪問予定の場所について、出没情報マップや防災アプリの利用をおすすめします。

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SHOEHORN くつべらマン

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児童養護施設の職員。特に中学~新卒年齢の若者の生活・医療・福祉・自立支援に従事している。勤務時間外では、様々な職業の方へ取材活動を実施しており、大人になる若者たちへ情報を提供している。

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