
人気アイドルグループ「モーニング娘。’25」の北川莉央(21)が、年内をもってグループを卒業すると発表した。翌日にはテレビ東京アナウンサー内定の報道が相次いだが、ネット上では「信じられない」「倫理観を疑う」と批判が集中している。
というのも、北川は今年4月、“裏垢流出騒動”で活動休止に追い込まれた張本人。メンバーへの誹謗やプライベート暴露とも取れる投稿を行っていたことを自ら認めており、ファンの信頼を失ったままの転身報道に疑問の声が止まらない。
年内卒業と内定報道に広がる違和感
10月20日、北川は公式サイトで「年内をもってモーニング娘。を卒業します」と発表した。
そのわずか翌日、一部スポーツ紙が「北川莉央、テレビ東京アナウンサー内定」と報じた。局側は「内定者等の情報についてはお答えしておりません」とし、否定も肯定も避けた。
だが、活動休止中の北川にとって、これは“異例の朗報”だった。グループ活動を離れたまま“華麗なる転身”が報じられたことで、「あの騒動は何だったのか」「責任を果たしていない」と批判が噴出している。
「局アナ転身は珍しくないが、時期と経緯が不自然すぎる」と関係者は語る。元メンバーの紺野あさ美(38)は大学進学後にモー娘。を卒業し、努力の末にテレビ東京へ入社した。だが北川は、活動休止からの“内定報道”という急転直下。まるで禊を経ずして抜け出したように映っている。
“裏垢流出”が暴いた素顔――投稿の中身と謝罪の経緯
2025年4月、SNS上に「北川莉央の裏アカウント」とされる投稿が拡散された。
その内容は、仲間への侮辱、暴言、そしてプライベート情報を含むものだった。以下は実際に確認された主な投稿だ。
「牧野このツインテールで電車乗ってきた怖」
「牧野のバカでかいダンスによりマイクを思いっきりぶつけられて負傷」
「まじで生田早く辞めてくんねえかな」
「ディズニー朝7時から行かされそうでしぬ」
「いつもほまめいほまめい言ってんだから2人で行ってこいよ」
内部関係者しか知らないエピソードやメンバーの日常をにおわせる記述も多く、「本物ではないか」とファンの間で騒然となった。
沈黙を貫いていた北川は、4月14日に公式ブログで謝罪文を掲載。
「この度は私の未熟な行動により、メンバー、ファンのみなさんを傷つけてしまい、申し訳ございません。いま出ているものは全て私が書いたもので間違いありません」
さらに「約2年前、友人とのSNS上のやり取りだった」と説明したが、騒動の規模は収まらず、3日後には活動休止を発表。以降、公の場に姿を見せていなかった。
“許された”構図――小片リサ騒動との違い
同じハロー!プロジェクト内で2020年に発生した“小片リサ裏垢騒動”では、本人は活動停止ののちグループ脱退という重い処分を受けている。
だが北川の場合、謝罪から半年足らずで卒業、さらにキー局内定と報じられるという異例の展開だ。
「同じような行為でも、扱いがこれほど違うのは不公平だ」とファンの間では不満が噴出。
SNSには、
「結局、かわいければ許されるってこと?」
「裏垢で人を傷つけておいてアナウンサー? 倫理観ゼロ」
「テレ東も採用するなら説明責任ある」
といった声が相次いだ。
活動休止中にもかかわらず、処分や再発防止策についての公式な説明はなく、事務所側の“沈黙”がさらなる不信を招いている。
アイドル産業とメディア倫理の綻び
今回の問題は、単なる“裏垢炎上”では終わらない。アイドル産業、そしてテレビ局というメディア機関の倫理意識の低下を象徴している。
まず、アイドルという職業は「夢」「信頼」「仲間との絆」を前提に成立している。裏で仲間を侮辱する発言をしていた事実が公になった時点で、その信用は致命的に損なわれた。
また、SNSという“私的空間”を自制できなかったことは、事務所側の教育不足でもある。デジタルネイティブ世代のマネジメントを怠ったツケが、こうして露呈した。
そして、採用側のテレビ東京もまた問われるべきだ。もし本当に内定しているのであれば、問題の経緯をどう評価し、どのような再発防止・倫理教育を行うのか、説明責任がある。
「お答えしておりません」で済ませるのは、公共メディアとしての誠実さを欠く。
信頼なき“転身”に待ち受ける現実
北川が卒業後、本当にアナウンサーとして歩むとしても、その先は決して平坦ではない。
報道に携わる者として、発言一つで世論を左右する立場に立つ以上、過去の言動は常に問われ続ける。
かつて仲間を蔑み、ファンを裏切った言葉の数々は、画面越しに伝える“ニュース”の一言にも重なる。
「言葉の重み」を知らぬまま表舞台に立てば、視聴者の反感はさらに強まるだろう。
清純派アイドルとしてのブランドを失い、報道の現場で“再生”を図るには、誠実さと覚悟が不可欠だ。
裏垢の過去を美談に変えることはできない。彼女が今後、信頼を取り戻すために必要なのは、沈黙でも涙でもなく、行動で示す責任である。
北川莉央の卒業と転身報道は、単なるキャリアチェンジではない。
“夢を売る側”としてのアイドル、“現実を伝える側”としてのアナウンサー――その両立を果たすには、言葉の誠実さこそが試金石となる。ファンの心に残った裏切りの記憶をどう払拭するのか。
その答えを出せるのは、本人自身だけだ。