
10月11日、3人組ユニット「Number_i」の全国ツアーが北海道・真駒内セキスイハイムアイスアリーナで幕を開けた。年末まで全国8都市25公演を駆け抜ける大型ツアーで、ファンの期待は高まっていたが、SNS上には早くも複雑な感情が渦巻いている。
きっかけとなったのは、ダンサー・Ni-NaによるSNS投稿だった。
ダンサー中傷の余波 「関係ない友達にまで」届いた嫌がらせ
10月9日、Ni-Naは自身のX(旧Twitter)に《私にDMとかアンチコメントするのは全然いい。関係ない友達にまでメッセージ送ったりインスタ消そうとするのは本当に気持ち悪い》と投稿した。
彼女は「GENERATIONS」「三代目 J SOUL BROTHERS」「北山宏光」など多くのアーティストのバックダンサーを務めており、Number_iのステージでも活躍している。
芸能記者によると「Ni-Naさんは『ミュージックステーション』『CDTVライブ!ライブ!』などの音楽番組でNumber_iと共演していましたが、一部ファンが“女性ダンサーとメンバーの距離が近い”と批判的な投稿をしていた」と明かす。
Ni-Naが告白した嫌がらせの詳細は不明だが、過激なファンによる攻撃とみる向きが強い。
SNSではすぐに良識あるファンからの声が広がった。
《3人が大切にしている人を私たちも大切にしなきゃ》
《一部のイタいファンの行動がNumber_iのイメージを下げている》
といった投稿が相次ぎ、同じファンの間でも分断が見え始めている。
「チーム」という言葉に生じた温度差
神宮寺勇太が10月2日にInstagramストーリーズで投稿した
《絶賛リハーサル期間 チームみんなで盛り上げるのでお楽しみに》
という一文も、波紋を広げた。
「この“チーム”という言葉に対し、『応援しているのは3人だけ』と反発するファンが一部で出ました」と前出の記者は語る。
もちろん、多くのファンはダンサーやスタッフを含めて応援しているが、Ni-Naへの誹謗中傷が続いたことで、グループを支える人々への敬意を欠いた行動が目立つ形になった。
King & Prince脱退からNumber_i結成へ ファンが見守った決断
Number_iの3人――平野紫耀、岸優太、神宮寺勇太は、かつてKing & Princeの中心メンバーとして活動していた。
2018年のデビュー曲『シンデレラガール』は大ヒットを記録し、国民的アイドルとして人気を博した。だが、2023年5月、3人はグループを脱退し、旧ジャニーズ事務所を退所。ファンに衝撃が走った。
脱退理由については「目指す方向性の違い」と説明されたが、長年のファンの間には「夢を諦めずに海外を目指すための決断」と受け止める声が多かった。
その後、同年10月に立ち上げたのが「Number_i」だ。
平野は「“1番になる”という決意を込めた」と命名の理由を語り、アーティストとしての新たなスタートを切った。
しかし、ジャニーズ時代に築かれた「ファンと近い距離感」から、よりストイックで芸術的な表現へと舵を切ったことで、ファンの心に“置いていかれる”感覚が芽生えたのも事実だ。
全国ツアー初日 「1時間半のライブ」に賛否の声
今回のツアー初日は、生オーケストラを交えた構成や、ダンサーとの連携によるパフォーマンスなど、音楽的完成度を追求したステージだった。
しかし、SNSには「メインステージしかなくて寂しかった」「ライブが1時間半しかなく物足りない」との投稿も相次いだ。
旧ジャニーズ時代のライブは、花道やセンターステージを駆使して観客と一体感を生む演出が特徴だった。
芸能ジャーナリストは「Number_iはアイドルではなく“アーティスト”としての表現を追求している。ファンが感じる距離は、進化の証でもある」と話す。
一方で、「旧キンプリ時代から応援してきたファンにとっては、その変化が“寂しさ”として映っている」とも指摘する。
変化の痛みと、ファンの愛情のかたち
Ni-Naへの中傷騒動は、ファンの中に潜む矛盾を浮き彫りにした。
“3人を守りたい”という純粋な思いが、時に周囲への攻撃へと変わってしまう。
そして、Number_iが追い求める「世界」という舞台は、かつての“近さ”を前提とした応援文化とは異なる場所にある。
平野、岸、神宮寺――彼らが再び同じステージに立つまで、多くのファンはその背中を見守り続けてきた。
だからこそ、今の「遠さ」は、愛ゆえの戸惑いでもある。
だが、変化を恐れては、彼らの夢を共に歩むことはできない。
アーティストとファン、それぞれが“新しい関係”を模索する過程にこそ、Number_iの現在地がある。
そしてその道の先に、3人が目指す「世界一のグループ」が待っているのかもしれない。