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フジ大みそか特番は「新しいカギ」に決定 紅白の裏で若年層を狙う5時間の勝負

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新しいカギ
DALLーEで作成

フジテレビが2024年の大みそかに選んだのは、笑いと青春を融合させたバラエティ『新しいカギ』だった。
紅白の裏で5時間超。霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコの3組が全国の学校を舞台に「かくれんぼ」と「ダンス」で挑む。
視聴率ではなく、共感で勝負するフジの年末戦略が始まる。

 

 

フジの大みそか、紅白の裏に「カギ」を差す

冬の空気が少しずつ張りつめてくるころ、各局の年末特番のラインナップが明らかになっていく。
そのなかで、フジテレビが選んだのは意外なカードだった。
格闘技の「RIZIN」でも、体力勝負の「逃走中」でもない。2024年の大みそかは、霜降り明星・チョコレートプラネット・ハナコがレギュラーを務めるバラエティ番組『新しいカギ』で勝負をかける。

夕方から夜にかけて放送予定の5時間超特番。年またぎはしない。裏番組は言うまでもなく「NHK紅白歌合戦」だ。
「今年は中居正広さんの問題などもあり、明るく締めくくりたい。若い世代と一緒に笑って年を越す番組にしたい」と、関係者は語る。
紅白が“国民的イベント”であるなら、『新しいカギ』は世代的イベントを目指す番組になる。

 

「学校かくれんぼ」と「カギダンス」共感が生む一体感

今回の大みそか特番では、番組内で特に人気の高い2つの企画が柱となる。
ひとつは「学校かくれんぼ」。全国の中高生の学校にタレントたちが潜入し、生徒とかくれんぼを繰り広げる。
廊下を駆け抜ける足音、放送室に潜む息づかい、体育館のカーテンの影に隠れる笑い声。テレビの前の生徒たちは、まるで自分の学校での出来事のように感じてしまう。

もうひとつが「カギダンススタジアム」。全国の高校ダンス部がレギュラー陣と本気の勝負をするステージ企画だ。
かくれんぼは収録、ダンスは生放送になる予定。TikTokでは「#カギダンス」の動画が数千万回再生を突破しており、SNS発の熱気がそのままテレビ画面へと流れ込む。
関係者は「かくれんぼ部ができる高校もあるほど。自分たちの学校が出るかもしれないという期待感が視聴の原動力」と話す。

 

視聴者は“観る”から“出る”へ

この番組の面白さは、ただの視聴体験ではない。
ある高校生はSNSでこう書いた。「テレビを見るというより、自分たちが出ている感覚に近い」。
“観る番組”から“参加する番組”へ。その変化こそ、『新しいカギ』が若年層から支持を集める理由だ。

だが一方で、外側にいる視聴者からは冷静な声も上がる。
「学生たちが楽しんでいるのは分かるけど、文化祭を見せられているよう」「霜降りやチョコプラの持ち味をもっと活かす企画が見たい」。
こうしたコメントが示すのは、共感の輪の内と外にいる人々の温度差だ。
フジが狙う若年層は確実に反応しているが、世帯視聴率で苦戦する背景には、この分断もある。

 

「RIZIN」から「共感バラエティ」へ 変わるフジの戦略

フジテレビの大みそか番組は、時代の変化を映す鏡でもある。
2015年から2021年までは格闘技イベント「RIZIN」で盛り上げ、22年と23年は『逃走中』を放送した。
だが昨年の『逃走中』の平均世帯視聴率は3.9%(関東地区)と、民放最下位。大みそかの夜に視聴者を引きつける難しさを痛感した。

そこからの路線転換は鮮やかだ。
「競技」や「挑戦」ではなく、「共感」や「参加」を軸に据えた。
「新しいカギ」は、若者のリアルな日常を笑いに変える数少ない番組であり、SNSとの親和性が極めて高い。
放送後すぐにTikTokで関連動画が投稿され、翌朝にはYouTubeでハイライトが拡散される。
テレビとネットが共存する番組作りを、フジはようやく実現しつつある。

 

テレビはまだ終わっていない

紅白が家族の団らんを描き、テレ朝が中高年層を安心させる構成を貫くなかで、フジは未来の視聴者を育てようとしている。
テレビ離れが進む時代に、あえて若者向けバラエティで挑むのは、リスクを承知のうえの決断だ。
広告代理店関係者は言う。「短尺動画に慣れた世代でも、自分が出るかもしれない番組なら最後まで見る。共感があれば、テレビはまだ戦える」

家族で紅白を観る人もいれば、リビングの片隅でスマホ片手に“学校かくれんぼ”を笑う高校生もいる。
そのどちらも、令和の年越し風景だ。
2024年の大みそか、『新しいカギ』は単なるバラエティ特番ではなく、テレビというメディアが再び息を吹き返すための実験場になるかもしれない。

 

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ライター:

広島県在住。福岡教育大学卒。広告代理店在職中に、経営者や移住者など様々なバックグラウンドを持つ方々への取材を経験し、「人」の魅力が地域の魅力につながることを実感する。現在「伝える舎」の屋号で独立、「人の生きる姿」を言葉で綴るインタビューライターとして活動中。​​https://tsutaerusha.com

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