ログイン
ログイン
会員登録
会員登録
お問合せ
お問合せ
MENU

法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

テンダーロイン(TENDERLOIN)に異変 アカの他人?塩崎裕也が商標取得でブランドを勝手に復活!

コラム&ニュース コラム ニュース
リンクをコピー

往年のファンは憤るも合法の悲劇

テンダーロイン、商標問題

かつてのストリートを彩ったあのロゴが、知らぬ間に他人の手に渡っていた――。
1990年代後半の裏原カルチャーを象徴したブランド「TENDERLOIN(テンダーロイン)」が、2024年秋、再び“復活”を名乗ってオンライン上に登場した。
だが、その運営者はかつてのメンバーではない。
商標登録を行ったのは、まったく関係のない人物。
裏原カルチャーを支えたファンたちは今、「名前を私物化された」と憤っている。

 

ブランドが消え、名前だけが歩き出した

TENDERLOINは1997年、ロサンゼルスで誕生した日本発のブランドだ。もともと海外在住の5人の日本人クリエイターにより、1997年にLAで歴史をスタートしたファッションブランドとして名高い。辺見馨氏と西浦徹氏を中心に、アメリカ西海岸のバイカー文化やヴィンテージカルチャーの空気を取り込み、クラシックで無骨なアメカジを再構築。

ブランド名は、サンフランシスコの犯罪多発地区「テンダーロイン地区」に由来する。来店販売にこだわり、オンライン販売を拒み続けた。「服は人の手から人へ渡るもの」という哲学を貫き、裏原カルチャーを代表するブランドとして熱狂的な支持を得た。

だが時代の流れは容赦なかった。オンライン販売の主流化に逆行したスタイルは次第に時代とずれ、2023年、ブランドは活動を終了。静かな幕引きのはずだったが――その“名前”だけが、別の人物の手で歩き始めた。

 

火種はブログ「注意喚起(テンダーロイン)」

「革靴を紹介するブログ」に10月2日に投稿された一本の記事が、沈黙を破った。タイトルは「注意喚起(テンダーロイン)」。筆者は怒りをにじませながら、こう書いている。

「2023年に消滅したテンダーロインが商標登録をしていなかったようで、この業者が商標を勝手に登録。それをいいことに過去のロゴやアーカイブを丸パクリし、自分が“テンダーロイン”を名乗ってネット販売しているんです。

お金を出してライセンスを買ったわけではない。2023年に消滅したテンダーロイン風に装ってるだけ。それでいて公式サイトには小さく“過去に存在したTENDERLOINとは関係ございません”と書いてある。関係ないけどデザインは丸パクリって、やばくないですか?」

記事はアメカジファンの間で拡散され、「ブランドをレイプされたようだ」「墓を荒らされたような気分」といったコメントが相次いだ。

 

拡散の起点はZ李氏

数日後、X(旧Twitter)で社会問題を追及してきたインフルエンサー・Z李氏(@ShinjukuSokai)が、このブログを引用して一連の投稿を開始した。

「テンダーロインが商標更新を忘れた隙に、関係のない人間が商標を取得して“復活商法”をしている。箱までコピーしてるし、木村拓哉の写真まで使って販売してる」

投稿は瞬く間に拡散され、SNS上で炎上。Z李氏が示した商標データには、出願人の名として塩崎裕也が記されていた。

2024年9月19日に「TENDERLOIN&CO.」として出願されており、登録区分は「デニム製衣類」「アメリカ製被服」など。法的には成立しているが、その商品群は本家を模したものばかりだ。

現在、“新TENDERLOIN”を名乗るECサイトでは、かつての名作を思わせるバッファロージャケットなどが販売中。往年のファンなら誰もが“あのテンダーロイン”を想起するラインナップだ。しかしサイトの片隅には、「過去に存在したTENDERLOINとは関係ございません」とだけ記されている。

 

SUBCULTURE・瀬尾氏の怒り

波紋は業界にも広がった。ファッションブランド「SUBCULTURE」の代表・瀬尾氏が公式Instagramで異例の声明を発表した。その文面は、冷静でありながら痛烈だった。

「最近、【TENDERLOIN】という商標が新たに登録され、オンライン上で商品展開が行われておりますが、これは私たちが長年敬意を抱いてきた、かつてのTENDERLOINとは一切関係がありません。
加えて、その運営者である『塩崎裕也』氏は【AHSUBCULTURE】という名称でも活動しており、SUBCULTUREの製品であるかのような誤認を誘う表記・画像使用を行いながらオークションサイト等で販売を行っています。

さらに問題なのは、この“新TENDERLOIN”のブランドコンセプトが、SUBCULTUREの発信してきた内容と極めて酷似している点です。『アメリカ西海岸のサブカルチャー』『質・着心地にこだわる』『ヴィンテージにアレンジを加える』など、当ブランドが公式サイトやSNSで繰り返し発信してきた思想・表現・構成を流用しているように見受けられます。

私たちはカルチャーを尊重し、独自のスタンスで服作りを続けてきました。ブランドの信頼、歴史、表現を模倣・流用する行為を、決して看過いたしません。」

瀬尾氏は現在、弁理士と連携し、法的措置を視野に入れているという。
「文化を尊重しない行為」に対し、業界内でも“沈黙を破る”声が少しずつ上がっている。

 

“思いつき商標男”の再登場

塩崎裕也――どこかで聞いたことのある名前だと思った人も多いだろう。2018年、日本経済新聞のW杯特集に登場した「“大迫半端ないって”をローマ字で商標登録した大阪府東大阪市の会社員」として報じられたのが彼だった。当時の取材では、「思いつきで出願しただけ」と語り、Tシャツを200枚製作して販売していた。

6年後、彼の“思いつき”が、裏原カルチャーの名を巻き込むことになるとは誰が想像しただろうか。
SNSでは「法的にはセーフでも、文化的にはアウト」「半端ないのは倫理観のなさ」との声が相次ぎ、ファンの怒りは収まらない。

 

名前を取られたカルチャー

商標法上、権利を持つのは早く登録した者だ。だが、文化を築いてきた人々にとって、その名を奪われることは“もう一度失われる”ことに等しい。
裏原カルチャーのファンは今も憤る。

「TENDERLOINは服じゃない。生き方そのものだった」と。

静かに燃え続ける怒りの中で、問いがひとつ残る。

テンダーロインの名は、誰のものなのか。

Tags

ライター:

ライターアイコン

寒天 かんたろう

> このライターの記事一覧

ライター歴26年。月刊誌記者を経て独立。企業経営者取材や大学、高校、通信教育分野などの取材経験が豊富。

関連記事

タグ

To Top