
幕張メッセで今月開催予定の大型音楽フェス「SAMURAI SONIC 2025」と「GIGA GIGA SONIC」で、出演予定だったFRUITS ZIPPER、CUTIE STREET、≠ME、≒JOYの4組が突如出演困難となる異常事態が発覚した。
公式発表によれば、正規の契約関係者を装った人物が偽の契約を結んでいたことが判明。実行委員会は謝罪するとともに警察に相談し、法的対応を進めると明らかにした。前代未聞のトラブルは、ファンや業界に大きな衝撃を与えている。
偽契約の実態 運営の落ち度と説明
10月2日、イベント公式サイトおよびXで発表された声明は、ファンに大きな動揺を広げた。声明によれば、当初「出演決定」と発表されていた4組は、実際には正規の出演契約が結ばれていなかった。
「各事務所関係者を名乗る人物と正規の効力を持たない出演契約を締結していたことが判明した」と公式が説明したように、主催者側が信じた契約相手は“偽物”だったのである。
さらに驚くべきは、運営が「従来から付き合いのある代理店」を経由して出演調整を進めていたという点だ。その代理店を介す過程で、正規ではない人物が紛れ込み、結果的に主催者も偽契約に気付けなかった。声明には「代理店を通じていたため気付けなかった落ち度がある」と記され、実行委員会の監督不行き届きも浮き彫りとなった。
警察介入へ 業界を揺るがす法的リスク
実行委員会は「すでに警察に相談を行い、法的機関の助言を受けながら厳正に対応していく」と表明。関係各所の調査で、当該人物がFRUITS ZIPPERを抱えるアソビシステムや、≠ME・≒JOYの代々木アニメーション学院には在籍していないことも確認された。
つまり主催者、アーティスト事務所ともに“被害者”の立場であり、これは詐欺的なスキームが介在していた可能性を強く示唆している。
業界関係者によれば、「もし金銭の授受が裏で行われていれば、刑事事件に発展する可能性が高い」との見方もある。警察の動き次第では、出演交渉の仕組みそのものを見直す必要に迫られるだろう。
ファンの失望とSNSの炎上
突然の出演中止は、何よりファンに大きな衝撃を与えた。Xには数時間のうちに数万件の投稿が溢れた。
「FRUITS ZIPPER目当てで新幹線とホテルまで予約したのにどうしてくれるの?」
「ノイミー(≠ME)に会えると思ってチケット取ったのに、信じられない」
「これは運営も代理店も責任重大。再発防止策を示してほしい」
ハッシュタグ「#FRUITSZIPPER」「#ノイミー」「#ニアジョイ」は一時トレンド入り。なかには「被害者はアーティストとファン。責めるべきは偽契約者だ」と冷静な声もあるが、主催への不信感が大きく渦巻いている。
また、返金対応が告知されたものの、交通費や宿泊代といった二次的な損失は補償対象外。SNSでは「返金だけでは不十分」という意見が目立ち、イベント全体の信用性に傷がついた形だ。
出演予定だった4組の背景
FRUITS ZIPPER(フルーツジッパー)
「わたしの一番かわいいところ」でTikTokを中心に大ヒット。Z世代の象徴的存在へと躍進し、国内外でライブを積極展開する新鋭アイドル。
CUTIE STREET(キューティーストリート)
若い女性を中心にカラフルなファッションとストリート感あるパフォーマンスで注目されるユニット。フェス出演が決まればさらなる飛躍が期待されていた。
≠ME(ノットイコールミー)
指原莉乃プロデュース。確かな歌唱力と透明感あるビジュアルで「ノイミー」の愛称とともに着実にファン層を拡大。武道館公演も成功させるなど実力派の地位を築きつつある。
≒JOY(ニアリーイコールジョイ)
≠MEの姉妹グループとして2022年に誕生。勢いあるステージングで“次世代アイドル”と称される。SNSを中心にファンが急増中。
匿名関係者が語る“業界の盲点”
ある大手レーベル関係者は今回の件を「業界の慢心が露呈した」と指摘する。
「代理店を通すのは効率的ですが、チェック体制を緩める危険性もある。フェスは多数の出演者を扱うため、一件ごとの契約確認が疎かになりがちです。今回はその盲点を突かれたのでしょう」
別の関係者も「ここまで大規模イベントに波及した例は前例がない。海外公演やフェスが増えるなかで、同様のトラブルが発生するリスクもある。今後は“契約の多重チェック”を徹底しなければならない」と危機感をにじませる。
今後の影響と再発防止への課題
今回のトラブルは単なる“出演中止”に留まらず、音楽フェス文化全体の信頼性を揺るがす。特にアイドルフェスは「推し」に会うことを目的とした来場者が多く、出演者の変更や中止は致命的なダメージにつながる。
運営の落ち度をどう改善するのか、そして警察の調査が進んだ場合に刑事責任がどの範囲に及ぶのか。音楽業界全体にとって、今後の再発防止策は喫緊の課題となる。
「SAMURAI SONIC」と「GIGA GIGA SONIC」で明らかになった偽契約トラブルは、前代未聞の大問題として波紋を広げている。ファンの信頼を失い、運営の信用を揺るがし、音楽業界の契約管理体制に警鐘を鳴らした。警察の捜査と業界全体の対応次第で、この事件は“フェス文化の転換点”になる可能性すらある。