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サンステイ共生福祉株式会社

https://sunstay.co.jp/

〒170-0013 東京都豊島区東池袋3-2-4 共永ビル3階

障害者福祉の課題と向き合う新たなモデル。日本の変革を目指すサンステイ

ステークホルダーVOICE 経営インタビュー
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サンステイ 津山氏

利用者一人ひとりと向き合い、支え、周囲のあらゆる人の幸福を最大化する。障害者支援のプロとしてグループホームを展開するのが、サンステイ共生福祉株式会社(以下、サンステイ)だ。

アカデミア・政策・経営の3つの柱でキャリアを築き、障害者福祉に課題感を感じていた代表取締役の津山謙氏は、その確かな知見をもとに障害者支援の新たなモデルを作り上げ、仕組みを根本から変えようとしている。

適正規模の拡大と質の向上にこだわる同社の取り組みや理念、展望を伺った。

 

利用者と家族を支えるプロ集団。質の高い支援で幸福を最大化

誰ひとり取り残さない社会の実現を目指して、障害者グループホームを営むサンステイ。全ての利用者が自己実現できるよう、暮らしと住まいをサポートし、利用者にとっての「もうひとつの実家」となっている。現在は埼玉県を中心に展開し、千葉県、神奈川県を含む27棟のグループホームで約150名の利用者をサポートしている。

同社が最も大切にしているのは「幸福の最大化」。そのために「利用者満足」と「従業員満足」を理念に、支援の質の向上にこだわっている。

「利用者と従業員の満足を同時に実現する。そのためには、まずは支援の質の向上によって利用者満足を高めることが大切です。そして事業や人員を拡大しながら地域内である程度の組織を作り上げ、研修やマニュアル、業務フローを整備し、従業員も幸せに働ける環境を作らなければならないと考えています。小規模の事業体では、管理者や従業員への負荷がどうしても大きくなりがちです。そうなれば働き手は疲弊し、辞めていってしまいます。

そこで、グループホームを増やすことに加え、訪問看護ステーション、相談支援事業所、就労支援施設などの関連事業体と有機的に連携することで、24時間どこかの事業体が利用者様を支援できるモデルを作り、負荷が偏らずしっかり休める環境を実現するのです。実際、休みが少ない・取りにくいと言われるこの業界において、弊社ではサービス残業を禁止し、土日祝相当の休みに加えて、夏季休暇、冬季休暇、有給を取ることができます」(津山氏)

サンステイは事業の拡大を続けており、現在は「訪問看護ステーション ソラリス」も運営。質の向上と適正規模の発展にこだわることで、利用者も従業員も幸せになる仕組みを作り上げている。

サンステイ グループホームの様子

そして、その先でサンステイが目指しているのが「プロフェッショナル集団」だ。その原点は、津山氏の過去にさかのぼる。津山氏は精神障害を持つ家族の実態を目の当たりにし、本人と周囲で支える家族がどれだけ大変かを実感してきたのだという。さらに、高齢者福祉事業所で働いていた母の言葉からも、プロによるサポートの大切さを感じていた。

「母は『私が認知症になったら必ずプロの手に任せてほしい』と常々言っていました。仕事を通じて、家族だけで障害を抱えることの限界を目の当たりにしてきたからです。家族の頑張りや愛情でなんとかなるものではない、プロに任せることも愛情だと言っていました」(津山氏)

「プロが担うべきところはプロが担うべき」。その思いは、実際に障害者福祉の事業に関わり始めてからますます強くなったという。

障害者福祉は「簡単で楽に儲かる、参入しやすい」と誤解されることもあり、事実、参入要件もさほど厳しくはなかった。というのも、グループホームの利用者は軽度〜中度の障害者が多く、自分で食事や入浴もできるために、支援に特別なスキルはいらないかのように見えるからだ。津山氏は、そんな「楽に儲かる」という幻想を一掃したいと話す。

「この仕事は実際にやってみると非常に大変で、知識もスキルも覚悟も必要です。やればやるほど、支援のプロフェッショナル集団を目指さなければならないと実感しています。また、『楽に儲かる』なんて言われたままでは、従業員の働く誇りとモチベーションもなくなってしまいます。運営にはパート・アルバイトの方も必要ですが、たとえ昨日まで素人だったとしても、今日からシフトに入るなら『自分はプロだ』という意識を持ってもらえるよう、マニュアルや教材、研修体制を整備しています」(津山氏)

パート・アルバイトも含めて従業員はしっかり学び、プロとしての自覚と誇り、喜びをもって利用者に質の高い支援をする。そんなプロフェッショナル集団を目指しているのが、サンステイのオリジナリティなのだ。

こうして、サービス、運営体制ともに質を追求してきたサンステイ。新たに立ち上げたグループホームは半年程度で満床にしており、その後も入居率はおおむね90%以上を維持。近隣の相談支援事業所や地元からも評価されており、「もっとグループホームを作ってほしい」と求められるプロ集団となっている。

縁が結んだ障害者福祉

津山氏はこれまで福祉とは異なる領域でキャリアを築いてきた。もともとは学者を目指して国際関係学を学び、博士号まで取得している。また、いくつもの会社の経営にも関与し、経営スキルを磨いてきた。その彼がハーバード大学院に留学していた際に転機が訪れる。大学の先輩からの誘いを受けて政治の世界に入ることになったのだ。

試験合格していた政策担当秘書資格を活かし、みんなの党の国会議員政策担当秘書に就任。10年間、国会で勤務するうちに、政界再編の流れで野党第一党に所属し、筆頭として野党全体を取りまとめる役割となり、刑法や民法、会社法などの主要法案のほぼ全ての審理を務めた。この過程で福祉分野も研究し、障害福祉の領域に課題を見つけることとなったのだ。

「政策実務をしていると、地元の福祉事業者や当事者、ご家族、職員と接する機会が多く、障害者福祉の課題が特に大きいことを知りました。福祉事業所が多い一方で、地域に偏見が残り、誤解や偏見のある利用者やご家族もいました。現在、人口の約1割が何らかの障害(身体・知的・精神)を持った方です。にもかかわらず、そこに医療や福祉といった支援の手が届かなければ、地域社会は健全に育たないと思いました」(津山氏)

そんな時、グループホームを立ち上げた知人から相談を受ける。2019年末に立ち上げたものの、年明けからコロナ禍に見舞われ、1人しか入居できないまま緊急事態宣言で動けなくなってしまった。にもかかわらず、家賃・光熱費・人件費は毎月かかり、このままでは赤字でもたないとのことだった。

政策秘書の仕事の傍ら複数の事業会社にも関与しており、経営の知見もあった津山氏。この事業を存続するには資金投入と業務改革が必要で、本格的な企業体として運営しなければならない。そう考えた津山氏は引き受けることを決め、サンステイとして事業を始めたのだ。

「障害者福祉の業界で成功している大手の事業者は少なく、我々にもチャンスがある」と語る津山氏。障害者福祉の課題に向き合い、チャンスを掴んで業界を変える覚悟で挑戦している。

 

経験と実務がつながり、目の前の一人から国を良くするサイクルへ

——障害者支援の本質をどのように考えていますか?

障害者の支援は千差万別です。いわゆる健常者に近い生活を送ることやスキルアップを望む方もいれば、できないことは無理せずサポートを受けたいという方もいます。利用者個人の障害特性、性格、嗜好、人生の目標は違いますから、どちらの支援を求め、必要とするかは人それぞれなのです。

ですから、一人ひとりに最適な支援とは何かを、その都度、考え続けるしかありません。具体的な支援の組み合わせのパターンは無数にあります。それを常に考える現場を作るのが弊社の社風であり、強みです。

——どのような時に働きがいを感じますか。

利用者やそのご家族から喜ばれて誇らしげな従業員たちの表情を見る瞬間は、利用者満足と従業員満足が両立できていることを実感でき、大きなやりがいを感じますね。目の前にいる利用者や従業員の笑顔、幸せ、変化を直接見られるのはこの仕事の魅力です。

周辺の相談支援事業所や病院等から「利用者を紹介するならサンステイがいい」と言っていただけることが増えました。それが満床率や定着率といった数字や、現場の手応えに現れているのを見ると、この事業をやっていて良かったと感じます。

そして、仕事をする中で新たな課題を認識した際、私のバックグラウンドと直結して、現場の経験をもとに政策提言ができるようになってきています。目の前の一人を幸せにする日々の延長線で、自分の経験をもとに国全体を良くするサイクルがまわり始める。国会で働いていた時とは違うやりがいを実務の中に見出しています。

サンステイ 津山氏

適正規模の拡大と質の高い支援で「日本一」へ

——10年後、福祉業界はどのように変化していると予測しますか?

近年、精神障害者の数は増えており、厚生労働省のデータによれば2017年は4百万人台だったのが5年あまりで6百数十万人になっています。精神障害の認知が高まり、家族や職場も昔と比べて寛容になって社会的な偏見が緩和されてきているのも要因の一つとされます。「障害は個性である」と捉え、障害に対処しようという動きが社会全体で高まっています。利用者の母数は年々増えていますし、これからも人口の約1割が障害者という状態は続いていくのではないでしょうか。そのため、障害者福祉のニーズは減らないと思います。

サンステイ 津山氏

——今後の展望を教えてください。

質の高い運営にこだわって積み重ねてきた知見やノウハウをスケールさせていきます。新たな課題に気づいたらすぐに取り入れて、より質の高い運営をしたいです。そして、質で日本一になり、皆さまに求められる会社になり、規模も日本一になる。これが私たちの目指す姿です。

加えて、利用者様にとって最適な支援のかたちを、同じ志を持つ事業者とともに全国津々浦々に広げ、日本中のグループホームの質向上と適正化を目指したいと考えています。そのために、障害者福祉事業を支援する「日本福祉政策研究所」の事業も開始しました。運営方法を教えてほしいという小規模事業者は多く、短期間で多数のご相談をいただいています。この事業を通じて、他の事業者へも適正な仕組みを広げていきたいです。

また、満床運営ができるグループホームもどんどん増やしたいと考えています。2025年末には200床を超える予定で、2026年は350〜400床を目指します。そして、2029年には1,000床を突破し、そこから本格的な全国展開をしていきたいと考えています。経済合理性を維持しつつ、質の高いサービスを提供できる仕組みを各地で作ることができれば、全国に広げていくことも十分に可能だと考えています。

適正規模の拡大と支援の質向上を両輪で進める。そんなリーディングカンパニーになりたいですね。

◎会社情報
社名:サンステイ共生福祉株式会社
住所:〒170-0013 東京都豊島区東池袋3-2-4 共永ビル3階
設立:平成30年11月15日
資本金等:1億5000万円
代表者:津山謙
URL:https://sunstay.co.jp/

◎インタビュイー
津山 謙
サンステイ共生福祉株式会社 代表取締役

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ライター:

フリーライター。昔から感想文や小論文を書くのが好きで、今なお「書くこと」はどれだけしても苦にならない。人と話すのが好きなことから、取材記事の執筆が主軸となっている。新潟県で田んぼに囲まれて育った原体験から、田舎や地方への興味があり、目標は「全国各地で書く仕事をする」こと。

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