「国内発の挑戦」が迎えた苦渋の結末

人気サッカー漫画を題材にしたブロックチェーンゲーム「キャプテン翼-RIVALS- Polygon/Oasys」が、2025年11月28日15時をもってサービスを終了する。運営チームは10月11日に発表し、「長期的なゲーム運営を目指してきたが、今後のゲームエコシステムを継続することが困難になった」と説明した。約3年に及ぶ挑戦は、歴史あるIPと最新テクノロジーの融合という野心的な実験であったが、苦渋の幕引きを迫られた。
段階的に閉ざされる「翼の舞台」
終了に向けて、サービスは段階的に停止していく。10月27日朝には入金やGEM購入、PvPモードやマーケットプレイスが打ち切られる。11月7日には「アリーナ(スペシャルマッチ)」が終了し、最終的に11月28日にアプリとサイトが完全閉鎖。終了後にはNFT閲覧も不可能になるという。
運営はユーザーに対し、保有するTSUGTやTSUBASAUT、POL、OASなどの仮想通貨を早めに出金するよう呼びかけている。
最高値から奈落へ 翼コイン暴落の軌跡
2023年11月14日、日本市場に上場した「キャプテン翼コイン(TSUGT)」は、同月27日に0.2489ドルの最高値をつけた。その裏には「青汁王子」ら著名投資家の参入もあり、熱狂は一気に広がった。だが、期待は長く続かず、2025年9月27日には0.0001301ドルまで下落。わずか2年足らずで99.9%の価値を失った。かつて「国産ブロックチェーンゲームの期待の星」と持ち上げられた存在は、今や投資家の失望の象徴となっている。
SNSにあふれる嘆きと冷笑
SNSではユーザーの落胆が相次いでいる。
「NFTもコインもサービス終了とともに消滅」
「ブロックチェーンで管理する必然性はなかったのでは」
「ゲームってお金を稼ぐためにするものじゃないだろ」
一方で、冷笑的な投稿も目立つ。
「暗号資産『キャプテン翼コイン』終了のお知らせ⚽️🪦」
「これがNFTゲームの現実。華やかさは幻想だった」
熱狂と冷笑が交錯する中で、ブロックチェーンゲームの脆さが改めて浮き彫りになった。
NFTは「所有証明」か、それとも「消えゆく幻」か
NFTは所有権を保証する仕組みとして喧伝されてきたが、サービスが終了すれば閲覧すらできない。ゲームの終了とともに価値が失われる構図は、投資家や業界関係者に深刻な疑問を突きつけている。「所有証明」とは何か。「ブロックチェーンゲームは本当に必要だったのか」。キャプテン翼の名を冠した一大プロジェクトの終焉は、国内暗号資産市場に冷や水を浴びせる象徴的な事件となった。