
10月9日、テレビ東京の木ドラ24枠で放送が始まる『できても、できなくても』(毎週木曜 深夜0:30)。主演を務めるのは、アナウンサーから俳優・執筆活動へとフィールドを広げてきた宇垣美里だ。今回が、彼女にとって連続ドラマ単独初主演となる。テレ東 木ドラ24『できても、できなくても』
原作は、朝日奈ミカによる同名の電子コミック。電子書籍配信サービス「コミックシーモア」とテレ東が組む制作プロジェクトの第2弾として映像化が決まった。題材に選ばれたのは“不妊症”。社会の中でいまだ語りにくいテーマを、丁寧に、そして大胆に描く作品となる。
主人公・翠の痛みと選択
物語の主人公は32歳の桃生翠(ものう・すい)。ブライダルチェックで不妊症と診断されたことをきっかけに、7年間交際した恋人に去られ、噂が広まった職場も辞めざるを得なくなる。
「産めるか産めないか」で価値が測られるような視線の中で、心身ともに打ちのめされる翠。そんな彼女の前に現れるのが、年下のイケメン・月留真央(つきどめ・まお/26)。ナンパ男から助けてくれたことを機に、彼女の人生に新しい風が吹き込む。
宇垣美里の決意
「“普通”という呪いから解放され、自分なりの幸せを掴む翠の姿は、きっと誰かの救いになれる」
宇垣はコメントの中でそう語った。未婚で出産経験のない同世代の女性として、主人公の葛藤に強い共感を覚えたという。アナウンサー時代から歯切れのよい言葉で知られてきた彼女が、今回の役では“沈黙の痛み”をどう演じるのか注目が集まる。
相手役・山中柔太朗が担う存在感
翠の前に現れる真央を演じるのは、ダンスボーカルグループM!LKの山中柔太朗。『飴色パラドックス』『君がトクベツ』などで着実に俳優としてのキャリアを積んできた彼にとって、本作はテレ東ドラマ初出演となる。
「デリケートな題材に真摯に向き合いたい。宇垣さんとの芝居が今から楽しみ」との言葉からは、若手俳優としての挑戦心がにじむ。
制作陣の熱
脚本を手がけるのは、『夫の家庭を壊すまで』で3000万回再生を記録した加藤綾子。監督は高橋名月。さらにプロデューサーの吉川肇は「“できることを一つずつ可能性に変えていく”主人公の姿は、必ず誰かの心に届く」と語る。
作品に携わる人々が共通して掲げるのは、“明日へ一歩を踏み出す物語”を紡ぐことだ。
テーマの核心に迫る
不妊症は、誰もが語りやすいテーマではない。しかし、人生の選択肢が広がる時代にあって「産む/産まない」は誰かに評価されるものではなく、あくまで自分自身のものだ。本作が描こうとしているのは、まさにその価値観の転換点である。
宇垣美里が体現するのは、“普通”の枠に押し込められた女性の姿であり、そこから抜け出そうともがく力だろう。ドラマを通して観る者が自身の生き方を重ねるとき、「できても、できなくても」という言葉は、きっと一つの救いになる。