
四方をエメラルドグリーンの海に囲まれた沖縄県は、観光業と公共事業を主軸に独自の経済圏を築く。中でも、ホテル・流通・建設・食品・通信といった多様な産業が地域経済を牽引し、独自の事業戦略で成長を続けている。本稿は決算短信・有価証券報告書など一次資料のみを突合し、連結売上高(金融は経常収益)を基準に“県内に本社(登記本店)を置く企業”20社で作成した最新ランキングだ。
20 位 沖縄食糧〈浦添市〉 売上 207億6,600万円〈2025/3〉
名門ポイント: 精米と米飯事業において県内トップクラスのシェアを誇り、沖縄の食生活に不可欠な存在。国内外から厳選した米を仕入れ、最新の技術で精米・加工することで、高品質な商品を安定的に提供している。仕入れ価格の高騰という厳しい経営環境の中、適切な価格転嫁により大幅な増収を確保。単なる米の加工販売に留まらず、米粉やグルテンフリー製品の開発にも注力し、消費者の多様なニーズに応えている。また、米の副産物である米ぬかを利用した飼料製造や、農業支援事業も展開し、食の循環にも貢献。安全・安心な食を追求する姿勢と、市場の変化に柔軟に対応する経営戦略が強みだ。
19 位 全保連〈那覇市〉 売上 256億5,800万円〈2025/3〉
名門ポイント: 家賃保証業界の最大手として、全国規模で事業を展開している。創業地である沖縄から事業を拡大し、家賃保証を通じて賃貸住宅市場の健全化に貢献してきた。強みは、独自に構築したAIによる与信審査システムにある。この技術の高度化により、審査の迅速化と精度向上を実現し、保証リスクを管理しながら収益を大きく伸ばしている。近年は、全国的な賃貸需要の高まりを背景に、順調に契約件数を拡大。これにより過去最高益を更新した。事業を通じて、賃貸住宅の貸主と借主双方に安心を提供し、社会インフラとしての存在感を高めている。DX(デジタルトランスフォーメーション)を積極的に推進する経営姿勢が、持続的な成長を支えている。
18 位 琉球海運〈那覇市〉 売上 280億円〈2025/3〉
名門ポイント: 沖縄の物流を海上から支える基幹企業。沖縄本島と離島間、そして本土を結ぶ内航海運事業を主軸に、生活物資や産業資材の安定輸送を担っている。特に、離島への物資輸送は、住民の暮らしと産業に不可欠なライフラインとしての役割を果たしている。近年は、世界的な原燃料高騰という厳しい事業環境に直面しながらも、効率的な船舶運航とコスト管理を徹底することで、堅調な収益を維持している。また、環境に配慮した船舶への更新や、モーダルシフト(自動車から鉄道や船舶への輸送転換)を推進することで、社会全体の物流効率化と温室効果ガス排出量削減に貢献している。単なる輸送企業に留まらず、離島を含む沖縄全体の経済と社会に貢献する、責任ある存在だ。
17 位 オリオンビール〈豊見城市〉 売上 288億6,600万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント: 沖縄の風土と文化に深く根ざし、県民にとっての「ソウルドリンク」として愛され続けている。新型コロナウイルス感染症の影響から回復した観光需要を追い風に、主力であるビールの販売が大きく伸長している。さらに、多様な消費者のニーズに応えるため、缶チューハイやハイボールといったRTD(Ready to Drink)商品のラインナップを拡充することに成功し、これにより2桁の増収を記録した。単なる酒類メーカーに留まらず、ブランド価値をさらに高めるための事業も積極的に展開している。自社のロゴをアパレルや雑貨など多岐にわたる商品にライセンス供与する事業を拡大し、新たな収益源を確立。また、沖縄県産の大麦や酵母を活用した製品開発にも力を入れるなど、地産地消の推進にも貢献している。環境保全活動や地域の祭りへの協賛など、地域社会との共生を目指す企業としての姿勢を明確にしている。これらの戦略的な取り組みが、オリオンビールの揺るぎない地位を築いている。
16 位 ホクガングループ〈糸満市〉 売上 306億円〈2024/3 連結〉
名門ポイント: 沖縄の食卓を支える総合食品企業グループ。食品製造・卸売を中核事業に据え、水産加工品や冷凍食品、麺類、惣菜など幅広い食品を取り扱い、県内のスーパーや小売店に供給している。特に、沖縄近海で獲れた魚介類を使った水産加工品や、沖縄そばの製造においては高いシェアを誇り、県民の食文化に深く根付いている。同グループの強みは、製造から流通まで一貫して手掛ける総合力にある。グループ会社が食品製造や卸売、そして物流を担うことで、効率的なサプライチェーンを構築。これにより、新鮮かつ高品質な商品を安定的に提供している。さらに、健康志向の高まりに対応した減塩・低カロリー商品の開発や、高齢者向けの配食サービスにも注力するなど、食を通じて地域課題の解決に貢献。沖縄の食を支える基盤企業として、確固たる地位を築いている。
15 位 野嵩商会〈宜野湾市〉 売上 378億1,300万円〈2025/3〉
名門ポイント:「フレッシュプラザ ユニオン」の屋号で親しまれる、沖縄県民の暮らしに深く根付いたスーパーマーケットチェーン。その最大の強みは、24時間営業を基本とした利便性の高さと、徹底した低価格路線にある。これにより、夜間の買い物客や、日中の忙しい時間帯に買い物ができない顧客層から、根強い人気を獲得している。また、独自の仕入れルートと効率的な物流システムを構築することで、新鮮な食材をリーズナブルな価格で提供。定番の食料品だけでなく、沖縄独自の食材や加工品も幅広く取り揃え、地域の食文化を支える役割も担っている。顧客の声を反映した店舗づくりや、地域イベントへの積極的な参加を通じて、地域社会との結びつきを強めている。生活に密着したサービスと、コストパフォーマンスの高い商品提供が揺るぎない地位を築いている。
14 位 株式会社ピータイム〈那覇市〉 売上 399億円〈2024/4 連結〉
名門ポイント: 沖縄のレジャー産業を牽引する中核企業であり、遊技場事業で築き上げた強固な収益基盤を活かし、多角化経営を大胆に推進している点が最大の特長だ。県内各地に大型パチンコホールを展開し、快適な空間と最新の設備で堅調な集客を維持。単なる娯楽提供に留まらず、その事業で得た資本とノウハウを、社会の多様なニーズに応えるべく次世代事業へと積極的に再投資している。事業ポートフォリオは、ホテル事業、不動産事業、飲食事業、リハビリ介護事業、さらには航空機エンジンリース事業にまで及ぶ。遊技場事業で培った顧客満足度向上のノウハウは、各事業にも活かされており、専用アプリを通じた情報提供やオンラインでの来店予約システムなど、デジタル施策を強化することで顧客利便性を高めている。これらの取り組みは、単一事業に依存しない安定した収益基盤を確立するだけでなく、常に新しい価値を追求し、地域社会の発展に貢献する企業としての未来を切り開いている。
13 位 沖縄出光〈浦添市〉 売上 443億円〈2025/3〉
名門ポイント: 出光興産100%子会社として、沖縄県内のエネルギー供給を担う重要な存在。県内全域に広がるサービスステーション(SS)網と、戦略的に配置された油槽所を通じて、ガソリン、軽油、灯油といった各種燃料を安定的に供給し、県民の生活と産業活動の根幹を支えている。エネルギーの安定供給という社会的使命を果たすべく、災害時にも迅速に対応できる強固な供給体制を構築している。また、時代の変化に対応した新たな事業展開も進めている。再生可能エネルギー分野への投資や、EV(電気自動車)充電インフラの整備にも注力しており、クリーンエネルギーへの移行期における地域のエネルギーインフラの要としての役割を強めている。これらの事業は、単なる燃料供給企業に留まらない、持続可能な社会づくりへの貢献を目指す同社の姿勢を示している。未来を見据えた事業変革は、沖縄のエネルギー安定と環境保全を両立させる、力強い一歩となっている。
12 位 日本トランスオーシャン航空株式会社〈那覇市〉 売上 507億円〈2025/3〉
名門ポイント: 日本航空(JAL)グループの一員として、沖縄本島を拠点に、離島、そして本州・九州を結ぶ路線を運航している。沖縄の空の玄関口として、年間を通じて観光客やビジネス客の輸送を担い、県経済の活性化に不可欠な存在だ。特に、宮古、石垣、久米島といった離島を結ぶ路線は、離島住民の生活を支える重要な交通インフラであり、天候不良時や災害時においても、安全かつ安定した運航を維持する社会的使命を全うしている。近年は、国内外からの観光需要が急回復したことを受け、運航便数を増便し、機内設備の改修や最新鋭機材への更新も積極的に進めている。例えば、ボーイング737-800型機を主力とし、快適性と燃料効率を高めることで、顧客満足度の向上と環境負荷の低減を両立させている。機内サービスでは、沖縄の文化や食を体験できるオリジナルメニューや、県産品に特化した機内販売を展開。単なる移動手段に留まらず、空の旅そのものを沖縄観光の一部として位置づけることで、顧客体験価値を高めている。また、サステナブルな航空会社を目指し、運航ルートの最適化や、CO2排出量削減に向けた運航効率化にも積極的に取り組む。これらの多角的な経営努力は、JTAが地域社会の発展と持続可能性に貢献する企業であることを強く示している。
11 位 おきなわフィナンシャルグループ〈那覇市〉 経常収益 587億5,600万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント: 沖縄銀行を中心とした総合金融グループである。グループとして、銀行事業の「沖縄銀行」に加え、証券、リース、コンサルティング、地域商社機能を持つ企業群を傘下に収めている。これにより、顧客の多様なニーズにワンストップで応える「金融+非金融」の総合サービスを提供しているのが最大の強みだ。特に、地域経済の活性化を目的としたスタートアップ支援や、産業振興に向けたコンサルティング機能は、金融機関の枠を超えた取り組みとして高く評価されている。また、沖縄の地域特性を活かした事業、例えば観光関連企業への融資や、インバウンド需要に対応したサービス開発支援にも注力。地域経済のインフラとしての役割を担い、県民の暮らしと企業の成長を力強く支えている。安定した経営基盤と、未来を見据えた革新的な事業展開により、沖縄県経済を牽引するリーディングカンパニーとしての地位を確固たるものにしている。
10 位 琉球銀行〈那覇市〉 経常収益 691億9,300万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント: 預貸収益および市場収益の改善により増収を確保した、地方銀行。長年にわたり、地域経済の基盤を支える資金循環の中核を担ってきた。個人向けには住宅ローンや教育ローン、法人向けには企業の成長を後押しする事業性融資を積極的に展開し、県民の暮らしと企業の発展に不可欠な存在である。近年は、デジタル戦略を加速。スマートフォンアプリを通じた送金・決済サービスや、オンラインでのローン申込手続きを強化することで、顧客利便性の向上を図っている。また、地域商社機能を通じて県内特産品の販路拡大を支援するなど、地域経済の活性化に貢献している点も大きな強みだ。さらに、環境に配慮したサステナブルな経営を推進しており、地域の未来を見据えた取り組みにも積極的である。これらの多様な事業展開と地域貢献活動が、琉球銀行の高い企業価値と揺るぎない信頼を築いている。
9 位 沖縄ファミリーマート〈那覇市〉 売上 825億円〈2025/2〉
名門ポイント:沖縄県全域に約330店舗以上を展開し、県内コンビニエンスストア業界で圧倒的な首位のシェアを誇る。強みは、全国のファミリーマート商品に加えて、地元の食文化に根ざした独自の商品開発に注力している点にある。沖縄そばやポーク玉子おにぎり、限定スイーツなど、地元食材を活かした弁当・惣菜を積極的に展開し、地域住民だけでなく観光客からも高い支持を得ている。こうした地場商品と独自の企画がヒットし、堅調な増収を確保。地域の食文化の担い手として、また生活インフラとしての役割を強化することで、揺るぎない地位を築いている。
8 位 沖縄セルラー電話〈那覇市〉 売上(営業収益)843億円〈2025/3 連結〉
名門ポイント: KDDIグループの地域中核通信会社。沖縄県内における高い携帯電話・固定通信サービスのシェアと、安定した通信インフラ基盤を強みとする。第5世代移動通信システム(5G)ネットワークへの積極的な投資を進め、高速・大容量通信サービスの普及を推進しており、個人顧客のデータ通信需要の増加に対応している。さらに、法人向け事業にも注力し、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)をサポートするクラウドサービスやIoTソリューションの提供を強化。スマート農業や遠隔医療など、沖縄の地域課題を解決する新たな分野での事業創出にも積極的に取り組んでいる。これらの戦略が奏功し、過去最高益を更新。単なる通信事業者としてだけでなく、地域の成長を支えるパートナーとしての存在感を高めている。
7 位 國場組グループ〈那覇市〉 売上 929億4,200万円〈2024/6 グループ〉
名門ポイント: 県内最大級の建設グループ。創業以来、長年にわたり沖縄のインフラ整備と都市開発を牽引し、建設業を中核に、不動産、ホテル、観光、ゴルフ場など多角的な事業を展開している。主力の建設事業は、公共工事や大規模商業施設、ホテル、マンション建設など幅広い分野で堅調な受注を確保。特に、沖縄の観光需要の高まりを背景に、リゾートホテルや空港関連施設の建設で高い実績を誇っている。また、不動産事業では、オフィスビルの賃貸や分譲マンション開発を手がけ、安定した収益基盤を確立。観光・ホテル事業では、自社でホテルを運営し、建設から運営まで一貫して携わることで、事業間のシナジー効果を生み出している。堅実な経営と多様な事業ポートフォリオが、グループの成長を支えている。
6 位 イオン琉球〈南風原町〉 売上高 1,008億7,900万円〈2025/3〉
名門ポイント:イオングループの県内中核企業である。総合スーパー「イオン」、スーパーマーケット「マックスバリュ」、ディスカウントストア「ザ・ビッグ」などを展開し、県内各地に64店舗を構える。食品主体のスーパーマーケット事業を強みとし、地域密着型の店舗展開で県民の支持を得ている。生鮮食品や惣菜に力を入れ、地元生産者との連携を深めることで、沖縄の食文化に寄り添った商品を提供。近年は、オンラインでの買い物サービス「イオンネットスーパー」を強化し、非対面での購買を促進している。また、地域社会への貢献活動にも積極的で、地元のイベントへの協賛や、環境保全活動にも取り組んでいる。これらの取り組みにより、単なる小売企業に留まらず、地域に不可欠な存在としての地位を確立している。
5 位 金秀グループ〈那覇市〉 売上 1,064億円〈2025/3 グループ〉
名門ポイント: 沖縄経済を牽引するリーディングカンパニーである。建設、流通、リゾート、金融、など多角的な事業を展開し、それぞれの分野で高いプレゼンスを誇る。中核事業の一つである建設部門は、大型公共事業から民間建築まで幅広い実績を持ち、沖縄のインフラ整備と都市開発に貢献。特に、県内の米軍基地関連事業でも豊富な実績を有し、安定した事業基盤を築いている。流通部門では、食品スーパー「タウンプラザかねひで」を県内各地に展開し、地域住民の食生活を支えるとともに、グループ全体の収益の柱となっている。観光事業では、リゾートホテルやゴルフ場を運営し、国内外からの観光客誘致に貢献。近年は、観光需要の高まりを背景に、リゾート開発やホテル事業を強化しており、ゴルフ場事業ではPGAツアーの開催誘致など、国際的なイベント誘致にも貢献している。これらの多角的な事業展開による各事業間のシナジー効果は、グループ全体の安定した収益基盤と持続的な成長を確保し、地域社会に深く根ざした事業構造を構築している。
4 位 りゅうせき〈浦添市〉 売上 1,103億4,200万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント: エネルギー事業を中核とする総合企業グループである。創業以来、沖縄の生活と産業に不可欠な石油やガスの安定供給を担い、県内経済の基盤を支えてきた。強みは、その広範な事業ポートフォリオにある。石油・ガス事業は、卸売から小売まで一貫して手掛け、県内各所のガソリンスタンドや工場、家庭にエネルギーを届けている。それに加え、モバイル事業、人材サービス、介護事業、さらにはホテルや飲食店事業も展開するなど、多角化経営を積極的に推進。特に、物流部門では、自社で輸送ネットワークを持つことで、効率的なサプライチェーンを構築し、サービス品質の向上に繋げている。また、IoT技術を活用したエネルギー管理ソリューションや、ITコンサルティング事業にも注力し、単なるインフラ企業に留まらず、新たな付加価値を創出する取り組みも進めている。これらの事業シナジーが、安定した収益基盤と持続的な成長を支えている。
3 位 リウボウグループ〈那覇市〉 売上 1,138億6,900万円〈2025/2 グループ〉
名門ポイント: 百貨店「デパートリウボウ」を中核に、スーパーマーケット、コンビニエンスストア(沖縄ファミリーマート)、外食、ホテルなど多角的な事業を展開し、沖縄の流通業界を牽引する存在だ。富裕層向けの高付加価値商品の導入や外商事業の強化で顧客単価を向上させている。また、地域に根差したスーパー事業では、地元食材や特産品を積極的に取り扱い、地域経済の活性化に貢献している。グループ再編を通じて、各事業間の連携を強化し、物流効率化や顧客データの共有を進めることで、グループ全体の収益性を向上させている。観光客の増加に伴うホテル・飲食事業の好調も、グループ全体の成長を後押ししており、多様な事業シナジーを創出している点が、リウボウグループの高い競争力の源泉となっている。
2 位 沖縄電力〈浦添市〉 売上 2,240億4,300万円〈2025/3 連結〉
名門ポイント:沖縄本島および周辺離島を含む広大なエリアへの電力供給を一手に担う、県民の生活と産業活動を支える中核企業である。電力の安定供給という使命を果たす一方で、時代の要請に応じた事業変革にも果敢に取り組んでいる。近年の燃料価格高騰や、世界的な脱炭素化の動きに対応するため、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進。太陽光発電や風力発電の導入量を拡大するとともに、蓄電池システムの活用にも注力し、クリーンエネルギー比率の向上と供給安定性の両立を図っている。自然災害の多い沖縄において、レジリエンス(強靭性)の高い電力インフラを維持・強化している点は、企業としての社会的責任を全うする姿勢を示している。また、スマートメーターの普及や電力消費量の「見える化」サービスを通じて、顧客の省エネをサポートするほか、地域の活性化を目的としたイベントへの協賛、環境保全活動にも積極的に参加している。これらの取り組みは、高い企業価値と、地域社会からの揺るぎない信頼を物語っている。安定した経営基盤と、未来を見据えた革新的な取り組みにより、地域経済の発展に不可欠な存在であり続けている。
1 位 サンエー〈宜野湾市〉 売上(営業収益)2,371億5,600万円〈2025/2 連結〉
名門ポイント: GMS(総合スーパー)チェーンで、県内全域に約80店舗を展開する沖縄最大の流通企業である。総合スーパー「サンエー」を中心に、スーパーマーケット「V21」、ドラッグストア、そしてコンビニエンスストアの「ローソン沖縄」などを傘下に持ち、地域住民の生活に不可欠な存在である。近年は、商品の自動発注システム導入や、AIを活用した需要予測など、物流効率化とDXを積極的に推進。これらの取り組みが収益性向上に繋がり、堅調な売上成長を支えている。さらに、ECサイトの強化やモバイルアプリを通じた販促活動を展開し、多様な顧客ニーズに対応する強固な事業基盤を築いている。
総評
沖縄県は観光依存度が高い一方で、ランキング上位を占めるのは流通、エネルギー、建設、金融といった生活基盤産業である。サンエーやイオン琉球などの流通各社はドミナント戦略とデジタル施策で増収基調を維持し、沖縄電力やりゅうせきはエネルギー供給を通じて地域経済の安定を下支えしている。金融では琉球銀行やおきなわフィナンシャルグループが金利上昇局面を追い風に収益改善を進め、國場組や金秀グループは建設・不動産・観光を絡めた多角展開でプレゼンスを示している。
中位以下では、オリオンビールや沖縄食糧、ホクガングループといった食品・飲料関連が観光復調や価格転嫁によって売上を伸ばしている。沖縄セルラーは通信インフラとDX需要の両輪で成長し、全保連は全国展開によって沖縄発企業として特異なポジションを築いた。
総じて、沖縄県の経済は観光とインフラ、金融・流通の多角的構造で支えられており、今後は観光需要の高付加価値化、GX・再エネ投資、地域金融のコンサル機能高度化が次の成長ドライバーとなる見通しだ。