
サウジアラビア西部ターイフにある遊園地「グリーンマウンテンパーク」で7月31日、人気アトラクション「360 Big Pendulum(ビッグ・ペンデュラム)」が稼働中に突如崩壊する事故が発生した。現地報道によると、乗客を乗せてスイングする巨大な構造物の中心支柱が真っ二つに割れ、23人が負傷、そのうち3人が重体だという。現場の動画はSNSで拡散され、国内外に衝撃を与えている。
スリルの頂点から恐怖へ 一瞬で悲劇に転落
事故が起きたのは、夕暮れ時の多くの来園者が集まる時間帯だった。「360 Big Pendulum」は、半円を描いて大きく揺れる構造で、スリルを売りにしたアトラクションとして人気を博していた。しかしその最中、突如中央の支柱部分に亀裂が入り、乗客を支えるアームごと地面に崩落。座席に固定されたままの乗客が地面に叩きつけられた。
崩壊の瞬間を撮影したとされる映像には、周囲から響く歓喜の声が突如、悲鳴に変わる様子が記録されていた。一部の乗客は座席から投げ出され、他の乗客は衝撃と共にぶつかる部品によって負傷。現地の救急隊によれば、3人が重体であり、他の負傷者も病院に搬送されたという。
公園は即時閉鎖 知事が調査命令
この事故を受けて、ターイフ州のサウード・ビン・ナハル王子は、事故の徹底調査を命じ、公園の即時閉鎖を発表。地域政府の公式X(旧Twitter)アカウントを通じて声明を発出し、「複数の負傷者が確認されており、関係当局が対応中」と説明した。死亡者は報告されていない。
調査が完了するまで、グリーンマウンテンパーク全体は運営を停止する。事故の原因については「構造的な欠陥の可能性がある」と見られ、建設・保守体制の見直しが焦点となっている。
安全規制への疑問噴出 国民の不安と怒り
サウジアラビアでは近年、観光や娯楽産業の強化が進められ、国内外の企業がテーマパークの建設やアトラクションの導入を加速させていた。しかし今回の事故を機に、安全管理の不備が浮き彫りとなり、SNS上では「安全検査は本当に行われていたのか」「人命よりスリルが優先されたのでは」といった批判が広がっている。
現場では、事故直後に駆けつけた市民たちが負傷者を助けるなど混乱が続いたという。政府は今後、国内すべてのレクリエーション施設に対して安全点検を強化する方針を示している。
SNSで拡散されている映像には、倒壊後のアトラクションを取り囲む人々と、必死に負傷者を救助する様子が映っており、痛ましい現場の実態が可視化された形となっている。
今後の対応と責任追及に注目集まる
事故の発生から1日が経過し、当局は早ければ数日以内に予備調査の結果を発表する見通しだ。アトラクションの設計者や施工業者、運営管理者の責任の所在も調査対象となっており、今後は刑事責任の追及も含めて議論が広がるとみられる。
遊園地の崩壊事故は国際的にも稀であり、その深刻さと教訓は中東のみならず、世界中のレジャー産業に警鐘を鳴らすことになりそうだ。