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法人のサステナビリティ情報を紹介するWEBメディア coki

特定非営利活動法人 キーパーソン21

http://www.keyperson21.org/

〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704

「カシオらしさ」を活かして。子ども・地域・社員がつながる10年

ステークホルダーVOICE 取引先
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CASIO×キーパーソン21
カシオ計算機株式会社 山田真弓さん(左)、佐藤啓祐さん(右) (撮影:安藤ショウカ)

腕時計ブランド「G-SHOCK」や関数電卓など、世代を超えて親しまれる製品を生み出してきたカシオ計算機株式会社(以下、カシオ)。製品を通じて教育にも携わる企業として、2016年度よりキャリア教育の認定NPO法人「キーパーソン21」への支援を続けている。

本社を置く渋谷区を中心に、地域の小中学校へプログラムを提供し、これまで2,000人以上もの生徒へプログラムを届けてきた。

10年目を迎え、これまでの取り組みを振り返っての気付きや学び、キーパーソン21との協働への思い、今後の展望について、ブランドコミュニケーション本部 サステナビリティ推進室の山田真弓さんと佐藤啓祐さんに伺った。

カシオならではの教育の切り口とは

はじめに、キーパーソン21を支援するに至った経緯を教えてください。

山田

2015年に、キーパーソン21様からご連絡をいただいたことがきっかけでした。弊社は、関数電卓やICT学習アプリ、電子辞書をはじめとする教育に関わる製品を取り扱う企業です。2015年にSDGsが採択された当時、教育に携わる企業として次世代のために何ができるかを模索している頃でした。

そのタイミングでご連絡をいただいたので興味を持ち、お話を伺ったところ、熱意あるプレゼンに当時の担当者が心を打たれまして。子どもたちへの向き合い方が素晴らしいと感じましたし、子どもたちへの直接の還元と地域への貢献、そして社員の育成にもつなげられると考え、ご支援させていただくことを決めました。

どのような活動を行っていますか?

山田

キーパーソン21様の2つのプログラムを協働で実施しています。1つ目が、弊社の社員が登壇する講演型のプログラム「おもしろい仕事人がやってくる!」です。仕事に対する考え方や失敗談などをお話ししながらQA方式で対話し、いろいろな価値観に触れてもらうことで自分の将来を考えるきっかけにすることを狙いとしています。

カシオ×キーパーソン21 プログラムの様子

2つ目はワークショップ型の「すきなものビンゴ&お仕事マップ」です。社員が子どもたちと一緒にどのような職業があるかを考えながら、自分の好きなものが世の中の仕事とつながっていることに気づかせ、子どもたちの主体性を引き出すことを狙いとしたプログラムです。

カシオ×キーパーソン21 プログラムの様子

プログラムの中でどのように「カシオらしさ」を出していますか?

佐藤

弊社は時計などの消費者向け(BtoC)の製品が多いため、実際の製品を見せながら私たちの仕事や取り組みを伝えられる点が「カシオらしさ」のひとつだと思います。

また、エンドユーザーとの関わりが深く、社員たちが常にエンドユーザーのことを考えている点も弊社らしい点です。プログラムの中ではその対象を生徒さんたちとして、どうしたら分かりやすく伝えられるか、楽しくコミュニケーションを取れるかをとても大切にしています。

山田

ワークショップの時は自社製品を身につけていったり、講演型の日でも何か製品を持っていったりしますね。プログラムの実施日がAIペットロボットの「Moflin(モフリン)」の発売日とちょうど重なり、実際の製品を持っていったこともありました。

また、弊社は環境に配慮したものづくりをしているので、ゲームで1位になった生徒さんへ環境に配慮した記念品をプレゼントするなど、実際の製品から弊社の取り組みや思いが伝わるようにも意識しています。

カシオ×キーパーソン21 プログラムの様子

10年間続くつながり。子どもから大人までつながる学び

プログラムにはどのような社員が参加するのですか?

佐藤

社内で募集をかけて希望した人に参加していただいています。この10年間、累計で250名が参加していて、リピーターになる方も多いんですよ。

社員からはどのような声が上がっていますか?

山田

一番多いのが「自分自身の“働く”の根幹にあるものを改めて確認できた」という声です。プログラムを通じて仕事や働くことについて考える機会は、子どもたちだけでなく、社員のためにもなっているのだと強く感じています。

また、「子どもたちに話すことで、自分の仕事が何かを再認識した」「子どもたちと触れ合うことがモチベーションにつながった」という声もあります。

ほかにも、教育に関心の高い社員も多いため、今の教育現場に興味関心を持って参加して新たな気づきや学びを得ている社員もいます。

お2人は、実際にプログラムに参加される中でどのようなことを感じたり学んだりしましたか。

佐藤

私も、自分自身を振り返るきっかけになったというのが大きかったですね。子どもたちと一緒に話しながら、自分が子どもの頃は将来何をしたかったか、何が好きだったかと振り返ったんです。その中で「自分はものづくりがずっと好きだったんだ。だから今この会社にいるんだ」という自分のルーツや強みを改めて認識できました。

山田

大人として、しっかり責任を持って発信しなければいけないということは大切な学びでした。プログラムが終わると、子どもたちからお手紙をもらえるんです。その中で、私がプログラムの際に伝えたメッセージに対して「もう少し家族や友達と向き合って、会話をしてみようと思いました。考え方が変わるだけで生活が変わるんだと分かりました」と書いてくれた子がいて。その言葉を見てすごく嬉しかったのと同時に、自分の発言や行動に責任を持たなければならないと改めて強く感じました。

子どもたちからの手紙を見る山田さん(左)と佐藤さん(右)
子どもたちからの手紙を見る山田さん(左)と佐藤さん(右)

活動を通じて地域社会へ貢献できている実感をどのように得られていますか?

佐藤

この10年間、渋谷区という地域のつながりのある学校にプログラムを提供してきました。その中で「渋谷区の会社で働く人と生徒が触れ合える機会があってよかった」といったお声を学校からたくさんいただいており、地域で実施することの意義を感じています。

山田

この活動を通じて、職場体験させてほしいとお声をいただくことも増えています。小学校6年生の時にプログラムを受けた子が、中学校1年生になって弊社へ職場体験に希望して来てくれたこともありまして。職場体験が終わった後には「カシオに入社したい」と言ってくれたんですよ。そういう子が大人になって一緒に働けたら、こんなに嬉しいことはないですよね。

また、地域の学校との関係ができたことで、教育関連の製品開発の際にヒアリングをして、アドバイスをいただいた事例もあるんです。地域を通じて、貴重な関係が構築できたと思っています。

子どもたちと、地域と、素晴らしい関係を築いてきたのですね。

山田

コロナ禍でもオンラインで実施して、10年間途切れることなく、活動が続けられているんです。続けられていること自体嬉しいですし、地域の学校の皆様にも、キーパーソン21様にも非常に感謝しています。

思いをつなぐプログラム。より多くの子どもたちと社員へ届けたい

これまでの10年を振り返って、キーパーソン21の魅力をどのように感じていますか?

佐藤

キーパーソン21様が提供されているプログラムの秀逸さを常に感じています。子どもも大人も楽しく体験でき、遊びの要素もありながら、自分の本質や本音など内面を引き出せるプロセスが本当に魅力的だと思います。

学校の先生方からも「プログラムを通じて生徒の初めて知る内面があった」という声も多く聞いていまして。これまでいろいろな学校で次世代教育に携わってこられたキーパーソン21様だからこそのプログラムだと感じています。

山田

プログラムが素晴らしいだけでなく、キーパーソン21様にいらっしゃるひとりひとりがパワフルで元気がもらえますし、一緒に活動していて非常に気持ちがいいです。私たちまで前向きな気持ちになれる点も魅力だと思っています。

もうひとつ、子どもたちからのお手紙はキーパーソン21様がまとめてくださるのですが、参加した社員に合わせて工夫して作ってくださっていることが伝わってくるんです。キーパーソン21様の子どもたちへの愛情と、私たち企業への誠実な姿勢もいつも感じています。

カシオ 山田さん
山田真弓さん

これから取り組みたいことはありますか?

佐藤

10年の節目を迎えて、これからは渋谷区の外へも活動を広げようと考えています。まずは「G-SHOCKが生まれた地」とも言われ、弊社の世界中の製品を開発する技術センターがある東京都羽村市での取り組みを検討しているところです。

羽村市と渋谷区は離れているため、これまでプログラムに参加したい社員がいてもなかなかできないという課題もありました。活動を広げることで、より多くの社員に参加してもらえると考えています。

また、建物の老朽化に伴って新棟の建設工事が進んでいます。より地域の皆様との関係を強化していくためにも、羽村市でプログラムを実施したいです。

CASIO 佐藤さん
佐藤啓祐さん

この取り組みへの思いや展望を教えてください。

佐藤

10年もの間続けられたこと自体、非常に貴重なことであり、誇らしく感じています。これを絶やさず、学校教育、地域、会社、社員のために、この先もずっと続けていきたいです。

山田

弊社は「驚きを身近にする力で、ひとりひとりに今日を超える歓びを。」というパーパスを新たに策定したのですが、これは製品開発に限ったことではないと考えています。「ひとりひとり」が誰かを明確にし、活動の中で何を伝え、何を提供したいかを考えながら、活動をより充実したものにしていきたいです。

活動を通じて、子どもたちにどんなことを伝えたいですか?

山田

失敗を恐れずにたくさんのことに挑戦してほしい、と伝えたいです。私自身、子どもの頃に失敗するのが怖くて、失敗しないようにと動いていたんです。それが今になっても悔やまれるので、挑戦の大切さを伝えられたらと思っています。

佐藤

私は祖母から「学生時代は宝の山を歩くようなものだ」と言われていたんです。下に落ちている宝で拾えるものはとにかく拾いなさいと。それを子どもたちに伝えたいですね。挑戦できることは、何でもやってみてほしいと思います。

◎企業情報
社名:カシオ計算機株式会社
本社所在地:東京都渋谷区本町1-6-2
設立日:1957年6月1日
資本金:485億9,200万円
連結売上高:2,617億5,700万円
連結従業員数:8,801名
※2025年3月31日現在

◎団体情報
団体名:認定NPO法人キーパーソン21
事務所所在地:神奈川県川崎市中原区新丸子東2-907-25 ハイツ武蔵小杉704
設立日:2000年12月10日

◎インタビュイー
カシオ計算機株式会社 ブランドコミュニケーション本部 サステナビリティ推進室
山田真弓
佐藤啓祐

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ライター:

フリーライター。昔から感想文や小論文を書くのが好きで、今なお「書くこと」はどれだけしても苦にならない。人と話すのが好きなことから、取材記事の執筆が主軸となっている。新潟県で田んぼに囲まれて育った原体験から、田舎や地方への興味があり、目標は「全国各地で書く仕事をする」こと。

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