
冷蔵庫の中に並ぶ野菜たちが、3日経ってもシャキシャキしている。
深夜のホテルで、知らぬ間に深い眠りに落ち、朝は自然と目が覚めた。
揚げ物の香りが厨房に充満せず、油の使用量も驚くほど減っていた――。
私たちの技術が社会にもたらしている変化は、ほんの小さな兆しから始まります。けれど、それが積み重なった先には、食を、健康を、暮らしそのものを変えていく力があると、私たちは信じています。
食材の命をつなぐ こども食堂と離島の希望に
私たちの技術の原点は、「空間に電位を発生させ、水分子に微細な振動を与える」という独自の特許技術です。この技術を冷蔵設備に応用したところ、食品の鮮度が驚くほど長持ちするようになりました。
たとえば、冷蔵庫を持たないこども食堂では、せっかく寄付された野菜や果物が傷んでしまい、廃棄されるという課題がありました。そこにDENBA技術を搭載した保冷コンテナを導入することで、寄付された食材をしっかり保存できるようになり、全国10ヵ所以上の施設で活用されています。

また、沖縄の離島では、台風による物流の遅れが農家の出荷に大きな影響を与えてきました。私たちのコンテナを使うことで、マンゴーの鮮度を保ったまま販売時期を柔軟に調整できるようになり、収益向上にもつながっています。
厨房に効率と健康を 揚げ物革命「DENBA FRYER」
私たちはこの技術を、厨房の現場にも応用しました。油に電位を与えることで熱の伝導を高める「DENBA FRYER」は、低温でもカラッと揚がり、油の劣化を抑えられます。つまり、コストを削減しながら、よりヘルシーな揚げ物が作れるということです。
実際に、全国約130店舗を展開する「名代富士そば」では、この機器を導入いただきました。結果、年間数千万円単位の油コスト削減を実現したほか、煙や油臭の軽減にも成功しています。厨房の快適性が上がり、スタッフの満足度にも貢献できたと聞いています。
睡眠の質をそっと支える ホテル客室での体験
この技術は、「人の身体」にも応用されています。空間に広がる電位が、体内の水分にやさしく作用することで、自律神経のバランスをサポートする健康機器として開発したのが「DENBA Health」です。
現在、全国26ヵ所以上のアパホテルで「グッドスリーププラン」として展開しており、宿泊された方からは「ぐっすり眠れた」「朝すっきり起きられた」というお声を多くいただいています。東京大学との共同研究でも、自律神経に対する良好な変化が確認されており、健康寿命をのばす可能性にも期待が寄せられています。
不妊治療に新しい選択肢を 受精卵を守る環境づくり
さらに、この技術は医療の現場でも応用が始まっています。
群馬県の上条女性クリニックと共同で、受精卵(胚)の培養環境にDENBA技術を取り入れた研究を行いました。その結果、妊娠率は日本平均の21%から32%に、出産率は15%から54%に向上。この成果は日本生殖医学会でも発表され、不妊治療における新たな希望として注目されています。
医療の繊細な現場でも、「空間を整える」というやさしいアプローチが受け入れられつつあることに、大きなやりがいと責任を感じています。
技術が人のそばにあるということ
DENBAは決して大きな装置でも、大げさな施術でもありません。
ただ静かに、空間に働きかける――それだけです。けれど、その「静かな変化」が、食品を、健康を、そして人の未来を守る力になっていると、私たちは日々実感しています。
TBSの『がっちりマンデー!!』や『THE TIME,』など多くのメディアにも取り上げていただきました。また、2023年には「ロジスティクス大賞 技術革新奨励賞」、2024年には世界的食品見本市「Gulfood」で「ベストフローズンプロダクト賞」を受賞しました。ですが、こうした評価よりも、現場の「助かったよ」「ありがとう」が、私たちにとって最大のモチベーションです。
「空間から整える」という日本発の技術で、社会課題のすき間を少しずつ埋めていきたい。
これが私たちDENBAの挑戦です。