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岸産業、町工場発の「次世代エネルギー」でSDGsに挑む

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製造廃材をバイオコークスに再生、循環型社会への一歩

バイオコークス、岸産業
DALL-Eで作成

1958年に創業した特殊扉メーカーの岸産業株式会社(大阪府堺市)が、製造過程で発生する木片や切りくずといった廃材をバイオコークスへと再生する取り組みを本格化させている。

これまで産業廃棄物として処理されていたこれらの廃材を、再資源化することで、地域資源の有効活用と脱炭素社会への貢献を両立する挑戦だ。

 

特殊扉製造の町工場が環境貢献へ転換

同社は、防熱扉の設計から製造・販売・施工までを一貫して手がける。冷蔵倉庫や危険物保管所など、温度制御が求められる空間に設置される同社の扉は、断熱性・気密性に優れたオーダーメイド品だ。その扉の枠組みに使用される木材の加工工程で発生する端材が、これまで月に数回、コストをかけて産廃業者に引き取られていた。

しかし、防熱扉の需要増により廃材量が急増。数トン単位の廃材が週に1回の頻度で発生するようになり、生産現場の作業効率にも支障が出ていたという。そんな折、代表取締役の岸晃広氏が、植物性廃材を固形燃料「バイオコークス」として再利用する事例に着目。自社の廃材も同様に活用可能と知り、この新事業に舵を切った。

地産地消型エネルギーとしてのバイオコークス

 

バイオコークスは、植物由来の未使用バイオマスを圧縮成形して作る固形燃料。燃焼時のCO₂排出量を抑えられる環境配慮型エネルギーとして注目されている。岸産業の廃材はバイオコークスの原料として非常に適しており、現在は近畿大学と連携して製品化を進めている。

「この取り組みは、地域の未利用資源をエネルギーに変える“地産地消”の形そのものです。次世代のエネルギー教育や持続可能な社会構築にもつながる」と岸社長は語る。さらに、廃材の一部は野菜の肥料にも転用され、地域の農業とも接点を持ち始めているという。

廃棄コスト削減と新たな収益モデルの構築

こうした取り組みにより、産業廃棄物の発生量が減少し、処理コストの大幅な削減にもつながっている。今後は、同社で製造されたバイオコークスを販売し、製鉄所などへの納入を視野に入れた事業化を進める計画だ。

これまで「不要物」として処理されてきた町工場の副産物が、地域エネルギーとして循環する。こうした小さな企業による地道な実践が、脱炭素社会の確かな一歩となりうることを示している。

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ライター:

サステナブル情報を紹介するWEBメディアcokiの編集部です。主にニュースや解説記事などを担当するチームです。

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