
2025年春、桜前線は例年通り列島を北上しているが、花の下に広がる景色は少し様っている。 友人や家族と過ごす花見の楽しみに決めて、今年は注目のが「ひとり花見」の姿だ。
「ひとり花見」他比2倍レジャーに潜む「心理的インフレ」
マーケティング会社インテージが今月発表した調査によると、2025年の「ひとり花見」は9.5%に達しました。
花見の平均予算も7407円と、昨年から535円増。
背景には、物価が高い「心理的インフレ」がある。食材、飲料、移動費など、あらゆるコストが上がる中で、人々は「同じ楽しみ方をするには、より多く払わなければいけない」現実と向き合っている。
イカ焼き1000円、焼きそば600円 屋台も「苦渋の春」
花見の楽しみの一角を決める屋台にも、物価高の影響は色濃い。 TBS系「Nスタ」の報道によると、都内で営業するある屋台では、かつては500円だったイカ焼きが、今年は1000円に設定されている。
2024年には一時1200円まで値上げされたが、イカの不漁と仕入れ価格の高騰により、同じサイズでは1500円でも利益が出ないという。
焼きそばも例外ではない。 釣り銭の都合から10円・50円単位での調整が難しい屋台業界では、「一気に100円単位での値上げ」という選択肢がない。 結果として、500円単位で600円への変更が起こっている。
ある店主は「値上げする以上、量で還元するしかない」と語り、従来より「山盛り」での提供を心がけているという。 買い手側も冷静につつ、「今年は2品ではなく1品で」と財布のひもを締めている様子が見られる。
花は咲き続ける――「ひとり時間」が主役の時代へ
花見といえば、宴と歓談。 ただし2025年の桜の下では、読書をする人、缶コーヒー片方に遠くを見つめる人、スケッチブックを開く人など、さまざまな「ひとり」の楽しみがある。
物価の上昇が生活を圧迫する中で、人々は「誰かと過ごす楽しさ」から「自分で味わう満足」へと、花見の意味を少しずつ変えているように映る。
桜は、人と出会うきっかけであると同時に、自分を見つめ直す鏡でもある。