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三井住友FGが離脱した気候変動対策グループ(NZBA)とは?国際脱炭素戦略はどう変わる?

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三井住友フィナンシャルグループ(FG)が、国際的な気候変動対策グループ「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」から離脱する方針を固めた。国内大手金融機関としては初の決断であり、国際的な脱炭素金融戦略に影響を及ぼす可能性がある。本記事では、NZBAとは何か、三井住友FGの脱退の背景、そして今後の金融業界への影響を詳しく解説する。

 

NZBAとは? その目的と役割

NZBAの概要

ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)は、2021年4月に国際連合環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)によって設立された。加盟銀行は、2050年までに投融資のポートフォリオ全体の温室効果ガス排出量を実質ゼロ(ネットゼロ)にすることを目指し、具体的な目標とロードマップを策定することが求められる。

現在、130以上の金融機関が加盟しており、JPモルガン・チェース、シティグループ、ゴールドマン・サックスなどの米大手金融機関も当初は参加していた。しかし、2023年末から2024年初頭にかけて、米国の主要銀行が相次いで脱退を発表している。

NZBAに加盟するメリットと制約

メリット

国際的な環境対策の先進的な取り組みに参加
ESG(環境・社会・ガバナンス)投資家からの評価向上
ネットゼロ達成に向けた国際的な協力体制の構築

制約

・化石燃料関連企業への融資制限などの厳格な基準
・各国の政治的状況や経済戦略との整合性が必要

NZBAへの加盟は、環境対策を強化する一方で、特定の業界への投融資が制限されるため、企業の経済活動や競争力に影響を及ぼす可能性もある。

三井住友FGの離脱の背景と理由

三井住友FGの公式見解

三井住友FGは、2050年までのネットゼロ目標に向けた取り組みを継続するものの、NZBAの枠組みに頼らず独自の戦略で対応できると判断した。ブルームバーグの報道によると、同行の広報担当者は、「社内体制の整備・高度化が進んでおり、NZBAへの加盟を継続しなくとも独自の対応が可能な状況にある」と回答したようだ。

米国の金融機関の脱退の影響

米国では、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェース、シティグループなどの主要金融機関がNZBAから脱退を表明している。背景には、米共和党の一部議員から「銀行同士が化石燃料業界への投融資を制限することは、反トラスト法(独占禁止法)に違反する可能性がある」との批判が出ていたことがある。

米国での脱退の動きは、日本の大手金融機関にも影響を及ぼした可能性がある。

国内の金融機関への波及

現在、日本では三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、みずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングス(HD)など6社がNZBAに加盟している。今回の三井住友FGの脱退を受け、他の邦銀も脱退を検討する可能性もあるかもしれない。

国際的な脱炭素戦略はどう変わる?

 

NZBAの影響力低下の可能性

NZBAからの脱退が相次ぐことで、その影響力が低下する可能性が指摘されている。加盟金融機関が減少すれば、NZBAが掲げる2050年ネットゼロ目標の実効性が疑問視される懸念がある。

金融業界全体の脱炭素戦略の変化

NZBAを離脱した銀行は、独自の脱炭素戦略を推進する動きを強めると考えられる。例えば、各銀行が個別に設定する炭素排出量削減目標や、ESG関連投資の強化が進む可能性がある。

また、国際的な気候変動政策の枠組みも変化する可能性があり、NZBAに代わる新たな金融機関向けの環境対策プラットフォームの創設が議論される可能性がある。

日本の脱炭素金融戦略の今後

日本政府や金融庁が今後どのような指針を打ち出すかも注目される。
カーボンクレジット市場の活用や、国内での新たな脱炭素金融枠組みの構築が進むかが鍵となるだろう。

まとめ

三井住友FGは、独自の脱炭素戦略を進めるため、国際的な気候変動対策グループNZBAを離脱した。社内体制の整備が進み、NZBAに頼らずとも対応可能と判断したことが背景にある。また、米国の主要銀行が相次いで脱退した影響も大きい。

NZBAは、金融機関が2050年までに投融資の温室効果ガス排出量をゼロにする枠組みだが、化石燃料関連企業への融資制限などが求められるため、一部の金融機関にとっては負担となっている。

今後、NZBAの影響力が低下し、各金融機関が独自の脱炭素戦略を進める動きが加速するとみられる。日本国内でも他の大手金融機関が脱退を検討する可能性があり、政府の方針や新たな脱炭素金融の枠組みに注目が集まっている。

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ライター:

新聞社・雑誌の記者および編集者を経て現在は現在はフリーライターとして、多方面で活動を展開。 新聞社で培った経験をもとに、時事的な記事執筆を得意とし、多様なテーマを深く掘り下げることを得意とする。

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