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退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロス(東京都港区、代表取締役:谷本慎二)は、2025年1月31日に同サービスの利用状況に関する調査結果を公表した。約3年間で26,952人の利用者データを基に、退職代行が多用された企業の業種別ランキングを発表し、103回利用された企業をはじめとする実態が明らかになった。特に人材派遣業への利用集中が目立ち、離職理由として労働環境や企業の管理体制の問題が浮き彫りとなった。
調査概要と全体像
株式会社アルバトロスが運営する退職代行サービス「モームリ」は、2022年3月15日から2025年1月31日までの期間に26,952人を対象にアンケート調査を実施した。対象は10代から70代までの全国の男女で、調査では複数回利用された企業や業種別の利用回数を集計。
調査の結果、2,667社(全体の9.8%)が複数回退職代行を利用されており、そのうち上位40社の実態がランキング形式で示された。
【調査内容】
・調査対象者数:26,952名
・調査期間:2022年3月15日〜2025年1月31日
・調査方法:退職代行モームリ利用者へのアンケート
・調査対象地域:全国
・対象年齢:10代〜70代
退職代行モームリの利用が多かった企業ランキング
【TOP10企業(業種別)】(株式会社アルバトロス プレスリリースより)
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- 人材派遣会社(103回)
- コンビニチェーン(65回)
- 人材派遣会社(57回)
- 運送会社(55回)
- 自動車販売会社(49回)
- 人材派遣会社(48回)
- 運送会社(46回)
- 医療・福祉・教育関連サービス(46回)
- 食品製造・販売会社(45回)
- 人材派遣会社(41回)
上位10社は全て従業員数1,500名を超える大企業であり、人材派遣会社が4社を占めた。アルバトロスは「従業員数の多さが影響する一方で、本社方針が現場に届かず、管理体制の不備が退職理由に直結している」と分析している。
【11位~40位と退職の傾向】
上位40社のうち、人材派遣会社は16社を占め、全体の4割に達したとのこと。また、ファストフード、保険会社、家電量販店などサービス業が多く目立つ結果となったようだ。
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人材派遣業に利用が集中する背景
人材派遣業においては、派遣先で勤務する従業員が利用者の9割を占めているという。アルバトロスの分析によると、人材派遣業界で退職代行利用が多い理由として以下が指摘されている。
・雇用元と就業先の分離:労働環境の実態把握が難しく、トラブルの温床となりやすい。
・派遣契約による退職時の引き止め:企業間の契約が絡むため、強引な引き止めが起きやすい。
・現場と本社の管理体制不備:「本社の方針が現場に届いていない」との退職理由が多発
大企業に退職代行利用が多い要因
今回の調査で、上位企業はすべて従業員1,500名以上の大企業であることが判明した。アルバトロスは、従業員数の多さ自体が離職件数を押し上げる要因であるとしつつも、「現場と本社のコミュニケーション不足が根本的な課題」と指摘する。
特に、現場の労働環境やハラスメント問題が上層部に報告されないケースが散見され、これが離職理由に直結しているとみられる。