
ワークマンは「#ワークマン女子」ブランドを「Workman Colors」へ改名し、店舗展開を拡大する方針を発表した。かつて職人向け作業着を主力としていた同社は、近年一般アパレル市場への進出を進めてきた。しかし、近年の売上の鈍化や客離れの兆候も指摘される中、この戦略転換が功を奏するのか注目される。
Workman Colorsへの転換の背景
ワークマンは2020年に「#ワークマン女子」ブランドを立ち上げ、女性向けアパレル市場に参入した。しかし、同ブランドはその店名のために男性客の来店を妨げる要因となっていたことから、「Workman Colors」へ改名する方針を決定した。
また、ワークマンはこれまで都市部の直営店を中心に出店を進めてきたが、今後はフランチャイズ展開を軸に地方ロードサイド出店を強化する。これは、都市部でのブランド認知を一段落させ、広範な顧客層へのリーチを狙った動きといえる。
一般向けアパレル市場への挑戦と課題
ワークマンは2018年に「WORKMAN Plus」を立ち上げ、アウトドア市場へ進出。これにより売上は急成長し、2023年度には1,327億円を記録した。しかし、キャンプブームの収束とともに、売上の伸びが鈍化し、既存店客数は微減が続いている。
特に女性向け商品市場は流行の変化が早く、定番商品が強みのワークマンにとって難しい市場である。競合にはユニクロやGU、しまむらなど強力なブランドが並ぶ。ワークマンは機能性と低価格を武器に戦ってきたが、ファッション性の高い市場ではその強みが通用するかは未知数だ。
SNSの声から見る消費者の反応
SNS上では、ワークマンの変化に対し賛否が分かれている。かつては低価格で手を出しやすいことが魅力だったが、高価格帯の商品が増えたことへの指摘もある。一方で、アウトドアやカジュアルウェアの分野では、高機能なウェアを手頃な価格で購入できる点を評価する声がある。また、女性向け商品の充実により、選択肢が広がったことを歓迎する意見も見られる。
作業服の欠品やデザイン重視への転換に不満を持つ声もあり、「以前は必要なときにすぐ買えたが、今は売り切れが多い」「作業着ブランドとしての強みが薄れた」との指摘もある。職人層の中には、「プロ向けの商品が減り、他のブランドに移行した」といった意見があり、アウトドアやカジュアル向けのラインナップ強化が職人層の離脱につながる懸念もある。
一方で、若年層を中心に、機能性とデザインを両立した製品を求める傾向が強まり、ワークマンの新たな展開を前向きに捉える声も増えている。特に、低価格で機能性に優れたアイテムが魅力とされ、実用性とトレンドを兼ね備えた商品に期待が寄せられている。
ワークマンの未来と成長戦
ワークマンの一般アパレル市場への本格参入は、ブランドのさらなる成長を狙った戦略である。しかし、作業着専門店としての信頼を失わずに、競争の激しい一般アパレル市場で勝ち抜くのは容易ではない。
成功の鍵は、一般アパレル市場でのブランド認知の強化、職人向け市場の維持とバランスの取れた展開、供給体制の改善による欠品問題の解消にある。これらを適切に進められるかが今後の業績を左右するだろう。ワークマンが「職人向け」と「一般向け」の両立をどこまで成功させられるか、今後の動向に注目が集まる。