日本郵便は12月23日、ヤマト運輸を相手取り、120億円もの損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。両社は小型荷物の配達委託で協業関係にあったが、ヤマト運輸側が見直しを申し入れたことで対立が激化。
提訴に至った背景には何があるのか。
両社の協業計画と突然の破綻
事の発端は、昨年6月に合意した配達委託の計画だ。ヤマト運輸の既存サービスである「クロネコDM便」と「ネコポス」を終了し、ヤマト運輸が集荷、日本郵便が配達する協業サービス「クロネコゆうメール」と「クロネコゆうパケット」に切り替える予定だった。「クロネコDM便」から「クロネコゆうメール」への移行は、2024年2月に完了している。
しかし、「ネコポス」から「クロネコゆうパケット」への移行については、10月1日から開始されたものの、配達日数の遅延が発生。これを受け、ヤマト運輸は12月18日のリリースで、配達委託スケジュールの見直しを日本郵便に申し入れたことを公表した。リリースでは、「お届けするまでの日数が伸びてしまう事態が発生」したため、「お客さまのニーズに応えられない状況を解決するため」と説明。協業の主旨および基本合意書に基づいた申し入れであり、協議を重ねていると強調している。
また、「配達委託を全て停止することを打診した」という一部報道については、誤解を招く恐れがあると否定している。
日本郵便側の主張:契約違反と巨額の損失
日本郵便側は、ヤマト運輸の行為は明確な契約違反だと主張する。すでに協業の準備に50億円を支出しており、さらに1年分の逸失利益70億円を合わせて、計120億円の損害が生じていると訴えている。ヤマト運輸側からは、来年1月から再来年3月までの薄型荷物の委託をゼロとする要望書が提出されたという。
ヤマト運輸側の反応:沈黙と現場の不安
ヤマト運輸側は、「訴状を見ていないので、現時点ではお話できない」と公式なコメントを控えている。
一方、SNS上ではヤマト運輸の社員と見られるユーザーから、不安の声が多数上がっている。
「今回問題については完全にヤマト側に非があると思う」
「恥ずかしいです。それがわからない経営陣は早く退陣して欲しいです」
「本当にこの先この会社は大丈夫なのか、不安でしかありません」といったコメントからは、現場の動揺が伝わってくる。
今後の展望:訴訟の行方と消費者への影響
今回の訴訟は、物流業界全体に大きな影響を与える可能性がある。訴訟の行方次第では、両社の関係はもちろんのこと、消費者へのサービスにも変化が生じるかもしれない。今後の展開に注目が集まる。
まとめ:120億円訴訟の争点
今回の訴訟の争点は、ヤマト運輸側の計画見直しが契約違反に当たるかどうか、そして損害賠償額が妥当かどうかだ。両社の主張は真っ向から対立しており、今後の裁判の行方が注目される。また、この問題は、大企業間の契約における信頼関係の重要性を改めて問うものとなるだろう。