スターバックス コーヒー ジャパンは2025年1月、紙ストローを廃止し、植物由来のバイオマスプラスチック製ストローを導入する。環境配慮と飲用体験向上が狙いだ。
紙ストローからバイオマスプラスチック製へ、5年ぶりの刷新
スターバックス コーヒー ジャパンは2025年1月23日より、店舗で提供するストローを紙製からバイオマスプラスチック製に切り替える。新たに採用されるのは、株式会社カネカが製造する「カネカ生分解性バイオポリマー Green Planet®」を素材とするストローだ。このストローは、バイオマス度99%という高い環境性能を誇る。
紙ストローが導入されたのは2020年のこと。それ以来、環境配慮の象徴的な製品として注目を集めてきたが、一方で耐久性や飲み心地に対する不満の声も少なくなかった。今回の刷新は、そうした課題に対応すると同時に、さらなる環境負荷軽減を目指したものだ。
まずは沖縄県内の全32店舗で先行導入し、2025年3月以降には全国の店舗に拡大。さらに4月上旬には太い口径のストローも順次導入される計画であり、全国約2000店舗での展開が見込まれている。
なぜ紙ストローを廃止するのか ― 背景と新素材の特長
スターバックスが紙ストローの廃止を決定した背景には、環境負荷削減と顧客満足度の向上という2つの目的がある。
新素材の「Green Planet®」は、石油由来の資源を使用せず、植物油などを主原料としている。海水や土壌中の微生物によって自然界で生分解され、最終的には水と二酸化炭素(CO2)に分解される仕組みだ。これにより、海洋マイクロプラスチック問題などの環境汚染の解決にも繋がる。
また、紙ストローと比較して新素材のストローは耐久性が高く、使用中に形状が崩れたり独特の匂いが気になったりすることがないという。
スターバックスの水口貴文CEOは、紙ストローの導入に際し、以下のようなコメントをしている。
「スターバックスは、一杯を通した体験を全国の店舗で日々、届けています。お気に入りのビバレッジを楽しんでいただけるよう、飲み心地に関して、お客様からいただいたお声を真摯に受け止め、ストローの強度や耐久性の向上、素材について検討を重ねてきました。飲み心地の良さと環境負荷低減の両立を決してあきらめることなく、新たに提供するグリーンのストローは、アイスビバレッジも多く提供している沖縄県内の店舗から先行導入し、全国に順次展開していきます。スターバックスの思いに共感いただけるよう、これからも事業活動におけるサステナブルな行動を加速してまいります。」
消費者の声とSNSでの反響
スターバックスの発表を受け、SNS上では歓迎の声が多数寄せられた。
「紙ストローだとすぐヘナヘナになって飲みづらかった」「バイオプラスチックは環境にも配慮されていて良い」「紙特有の匂いがなくなるのが嬉しい」「他の紙ストローを使ってる店舗も準じてくれるとうれしい」といった意見が目立つ。
環境問題解決へ企業が果たすべき役割
スターバックスは2018年から石油由来のプラスチック製ストローの全廃を進め、紙製ストローやバイオマス素材のカトラリー、リユース可能なグラスの導入など、環境配慮を徹底してきた。
今回の切り替えもその延長線上にある。
しかし、日本は1人当たりのプラスチック廃棄量が世界でも上位に位置し、その多くが適切に処理されないまま海外に輸出されている現状がある。この問題を解決するには、企業が製品設計の段階から環境負荷を考慮し、リユースやリサイクルを可能にする仕組みを構築することが重要だ。
スターバックスの取り組みは、プラスチック廃棄物削減の一助となるだけでなく、消費者意識の変革を促す契機ともなり得る。
今回の新たなストロー導入が、他の企業にも波及効果を生み、日本全体の環境問題解決に繋がることが期待される。
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